2 異世界転生成功
ぼんやりとした意識の中、何かが前髪に触れた気がして目が覚めた。
「いつき‥せんせ‥」
身体が熱い。どうやらベッドに横たわっている様だ。ベッド脇には白い服を着た丸眼鏡の人が「意識が戻ったようです」と周囲に声をかけている。
「ここは‥」
自分から聞きなれない声が出る。すると、頭の中に今の身体の情報が流れ込んできた。
なるほど、私は転生したのだ。
マジか‥心で呟くと強い眠気に襲われ目を閉じた。
次に目が覚めると大分身体が楽になっていた。
周りを見ると、私は中世ヨーロッパ風の豪華な部屋で天蓋つきのベッドに横たわっていた。
起き上がり侍女に身体を拭いてもらった後、訪ねてきた丸眼鏡の医者に診てもらった。
「一時はどうなるかと思いましたが、奇跡の回復ですね。食事もスープから始めて大丈夫です。」
両親や侍女達が胸を撫で下ろし喜んでくれた。
私は皆が部屋から出て行ったあと、脳内に流れてきた記憶を整理し始めた。
ここはベルラド王国、王宮の近くにあるスペンス家の別邸。私の名前はデイジー・スペンス。スペンス伯爵の三女、18歳。姉達は既に嫁いでおり、王宮で働く19歳の兄がいる。
前世では色々なゲームや小説、漫画を読んできたが、この世界のような名前の設定は記憶が無い。
という事はシナリオのある世界では無さそうだ。
この度、デイジーは流行り病に倒れたが、それまで風邪もひいた記憶がないくらい丈夫な身体だったようだ。
そして、意識がはっきりして思い出した。デイジーは亡くなる寸前、私の魂を受け入れてくれたのだ。うっすらとデイジーの優しい気持ちが残っている。春奈は涙を流し胸の前で手を合わせて感謝をした。




