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ニニデ解放 4 フローライト

残酷な描写がありますです。

薄暗がりに彼女は囚われていた。

その手足には頑丈な鎖が繋がれ目隠しに猿轡、首には魔力封じの魔道具が取り付けられている。


 なんだ?身体が動かない??

 ここは、、どこだ??

 私は、、??


意識は覚醒したが記憶が追いつかない。

「ふっ、身動きできまい?

 まだ当分は術が効いておるはずだ

 貴様には随分梃子摺らされたからな

 易々とは殺さんよフローライト」

落ち着いた低いその声には聞き覚えがあった。

黒の王。

一瞬で記憶が蘇る。

自分はフローライト、黒の里に囚われた者達を奪還する作戦で不覚を取ったのだと。

それでも半分近くは逃がせた筈だ、、だが全員ではない。

どうせ囚われるなら全員逃がした後ならよかったのに、、と悔やまずにはいられない。


そう広くは無い空間に多くの気配がある。

黒の一族共だろう、指の一本でも動かせれば唯ではおかぬのに、、。

「術が切れる前に両手足の腱、靱帯を切り膝と肘も潰しておけ

 魔力は首の魔具で封印してあるからな

 回復魔法も使えまい、さすれば貴様とて唯の女よ

 フローライト」

くくく、と笑う黒の王の手がフローライトの顎を掴む。

「女と生まれたことを呪わせてやろう

 お前を嬲りたい者ならこの城に掃いて捨てるほどおるぞ?

 誇り高い貴様にとって耐え難い屈辱を与えてやる

 そうそう、自害など出来ぬように舌も切っておかんとな

 さんざ嬲って皆がその身体に飽きたら

 喜ぶがよい拷問攻めで殺してやるゆえ」

そう言い黒の王は高笑いをする。

フローライトに旋律が走る。

戦場に赴くつどに母が語った言葉が蘇る。

どんなに力があろうともフローライトは女性、出来れば戦場に出したくは無い

もしも囚われたらどのような目に遭うかは安易に想像出来る。

相手はあの黒の一族なのだ、温情など一欠けらも無いのだから、、と。

暴れようと身を捩ろうとしたがまるで自分の身体ではないかのように

その身はピクリとも動かなかった。


「王、殺す前にぜひ試してみたい事があるのですが」

高笑いする黒の王に静かに進言する魔導師がいた。

「ゼルマンか」

ゼルマンと呼ばれた男は静かに一礼する。

わたくしかねてより黒の一族と白の一族を掛け合わせてみとうございました

 今まで試した白の女は弱くて母体が持ちませなんだが

 この王女ならあるいは、、と」

「なるほど、孕ませるか白の王女に黒の子を

 それは中々に面白い趣向だな」

「御意

 勿論存分に嬲り飽きた後で宜しゅうございます

 嬲る際に孕むのもそれはそれで宜しいかと」

ゼルマンは静かに笑う、その瞳は残忍に光っている。

「ならばまずこの女がすでに孕んでおらぬか確かめねばのぅ

 白の子種を宿しておるなら堕胎させておかんとな」

黒の王が顎で合図を送ると傍に控えていた衛兵が2名、心得ましたとばかりに頭を下げ

フローライトの左右からそれぞれ足を押し広げる。

囚われた際に甲冑は脱がされアンダーウェアのみの姿だ。

スカート部を捲り上げられ下着を剥ぎ取られる。

別の衛兵から槍を受け取り王はその柄をぽんぽんと手のひらで弄び

ふんっと鼻で笑いながらその柄をフローライトの下部に差し入れた。

声にならない叫びがフローライトの喉から飛び出る。

ぐいっと手首をひねったかと思うと黒の王はその柄を引き抜く。

フローライトの股間から一筋の血が流れる。

「これはこれは

 フローライト殿はまだ男知らずでしたか」

黒の王の口元が歪み。

「処女を槍の柄に捧げるとは実に武勇猛々しい

 黄金の乙女には実に相応しい相手ですな」

堪りかねたように大笑いになる。

背後の黒の一族からも野卑た笑いが起こる。

フローライトは猿轡をきつくかみ締め只耐えるしかなかった。

「それとも柄よりは黒でも肉柱のほうがよろしいかな?」

冷たい声だった。

背筋が凍るほどの。

容赦なくアンダーウェアを引き破られ裸身が露になる。

「手足を潰して足枷をはづせ

 そのままでは犯しにくかろう」

冷めた声で王が命じ衛兵たちはその言葉に従いフローライトの腱や靱帯を切断し肘、脛を潰す。

激痛に意識が飛んだ。

意識を手放したフローライトに黒の男たちが群がる。

気がつけば犯されていた、入れ替わり立ち代り黒の男たちに蹂躙される。

よほどフローライトが憎いのだろう、罵詈雑言を浴びせ彼女を甚振り陵辱を繰り返す。

来る日も来る日もそれは際限なく続きフローライトにはもう時間の感覚さえ解らなくなっていた。


その様子をグローリアは身を抱きながら見つめる。

母の身に起きた惨劇に涙を流しながら。


フローライトが只の白の一族の女性ならとっくに衰弱死していただろう。

だが、類稀な彼女の生命力はそれを許さなかった。

無理やり流し込まれる質素な流動食でその命を永らえさせている。

彼女が捕らえられてから既にかなりの月日が流れていた。

その間、白の一族も手をこまねいていたわけではない。

弟のシュリアン王子を始めフローライトを救出せんと何度か潜入を試みていたが

黒の王城まではたどり着けずにいた。

シュリアンは強行突破を何度も進言したがここで白の王子まで失う真似は出来ないと

臣下に縋られその思いは果たせずにいた。

もし、その事実をフローライトが知れば臣下を褒め称えたであろう。

自分の為に弟が、いや、他の誰であれ命を懸けて危険を冒すなど彼女には許せる事ではなかったからだ。

自分がやった事を思えば同じ事であると言うのに彼女はそれを望まない。

恥辱に耐え、暴力に蹂躙される今も彼女に後悔は無い。

総ては自らが決め招いた結果であるから。

だが、、、。


 子が宿ったかもしれない、、、

 それは奇妙な確信だった


両目を潰され光を見ることも叶わず、動かせぬ肢体、舌を噛み切ることさえ出来ない。

只々黒の一族に蹂躙される日々を疎ましく思わぬ訳が無い。

その身を弄る男達、稀に女も居たようだがその手の感覚には嫌悪感しか無い。

視覚を無くした為否応無く研ぎ澄まされる聴覚に罵声と呪詛にも似た呟き、忌まわしい体液の音が絡みつく。

それは、まさに地獄だった。

何時までこの地獄が続くのか、正気を手放せればどんなに楽だろう。

そう彼女が思うのも又、致し方ない事だった。

フローライトとて妙齢の乙女である、白の王女として参戦した時から女性として生きることは捨てたとはいえ侍女達や諸侯の姫たちと共に恋を夢見た時もあったのだ。

そう、弟が生まれるまでは。


シュリアンが生まれたのはフローライトが成人してからであった。

フローライトはこの年の離れた弟が可愛くてしょうがなかった。

自分と同じ黄金の髪と瞳を持ちよちよちと自分の後を追ってくる姿が昨日のことのように浮かぶ。

既に立派な青年に育ちその物腰の優雅さ、白の王子に相応しい聡明さと魔力、諸侯の姫君が頬を染め噂話の中心に居る今となってもフローライトに映るのは幼い弟の姿だった。

黒の一族との大戦が始まったのはまだシュリアンが少年の頃であったからそのせいも在るのかもしれない。

フローライトは幼い弟を戦場に送るのを由としなかった。

父王や母は止めたが何より白の一族随一の魔力を誇る戦士としてフローライトは戦いに身を投じる決意をする。

その時に女性として生きることは捨てた筈なのに今その自分の子宮には命が宿っている。

愛の結晶などではないむしろ憎悪の結晶とも言える黒の子が。

睦言ではなく囁かれたのは呪詛。

愛の営みではなく行われたのは陵辱。

その結果の子である。

産みたくなかった。

呪われた黒の子など産みたくない、、、。

結局自分は女だということを思い知らされる。

悔しいのだろうか、悲しいのだろうか、両方なのだろう。

我を忘れ大声で泣きたかった、たとえ黒を喜ばせる行為であったとしても、、。


 それは不意に訪れた

 泣き声が届く。

 いや声ではない。

 だが全てを憂い悲嘆にくれる想い。

 始めは自分が泣いているのだと思った。

 だが、、違った。 


気がつけば自分を見下ろしていた。

今も黒の男に陵辱されている動かぬ体躯。

傷だらけの肢体でありながらフローライトは美しかった。

碌な食事も与えられず不衛生な地下の一室に閉じ込められているにも係わらず彼女の美貌は損なわれてはいない。

そんな自分をぼんやりと見下ろしながらフローライトは自分の手足を確認する。

動く、眼も見える。

動かぬ体躯が目下にあるというのに不可思議な事だ。

裸体を包むドレスを思い描くとそれは現れフローライトの身を包む。

思い描いたのは甲冑ではなくドレスだった。

自虐の笑みが浮かぶ。

そして耳を凝らす、自分を呼ぶ声を求めて。

何処かで誰かが泣いている。

今の彼女は自由だった、黒の王城を時空の彼方まで飛べる。

フローライトは微かな気配を辿り飛ぶ。

それは未来。


黒の城内の廊下フローライトが降り立った先に彼はいた。

蒼銀色の髪、黄金の瞳サイズの合っていない夜着を纏い手には血にまみれたリネンを握り締めている。

よく見ると彼の身体にもふき取られたような血の跡があった。

怪我をしているようには見えないので彼のものではないのだろう。

 子供、、。

フローライトを見つめるその少年の瞳には感情というものが読み取れなかった。

微かに瞳の奥に悲しみが見えた気がしたがフローライトを呼んだのは彼ではない。

彼も気にはなったがフローライトは瞳を閉じ自分を呼ぶ彼方の声に集中する。


今度の転移は長かった。

未来なのか過去なのか現在なのかも解らない。

フローライトの降り立った部屋にその人はいた。

白い壁に囲われた部屋には窓も出入り口さえ見当たらない。

品のよい調度品も必要最低限しかないようだ。

囚われてでもいるのだろうか?

様子を伺うフローライトに気が付く様子でも無い。

俯き加減に座るその人の表情は深々と被るベールのせいで解らない。

だがその頬を涙が伝う。

そしてフローライトの瞳からも涙があふれ出る。

その事実にフローライトは驚く。

その涙は自分が流したものではなかった。


 この子?


ふいにその涙は宿った子の思いだと解る。

それは小さな声だった。


 ナイデ、、

 ナカナイデ、、

 

 マモッテアゲル

 ダカラ、ナカナイデ、、


只一人座して泣くその人を守りたい、助けたいとその小さな魂は言う。

フローライトは初めて我が子を見た。

自らに宿った小さな魂を。

この子には心がある。

優しい心が。

呪われた子ではない、どの様な状態で宿ったとはいえこの子達に罪は無い。

この子は無垢な存在、こんなに優しい心を持つ子なのだ、、。

私の愛しい子供達、、。

それは震えるほど愛おしい瞬間であった、下腹部を抱きしめる。

その存在を確信するかのように。

いつしかフローライトには我知らず聖母の様な笑みが浮かんでいた。



グローリアはその母の心を受け取る。

『愛しい子供達』

その言葉がゆっくりとグローリアに染み渡る。

グローリアの瞳からも涙が流れ出る。

夢想花がグローリアを優しく包み込みそして変化が始まった。

止まっていた時が動き出す。

グローリアの心の迷いが溶け出した様に彼女の時が溶け出す。

そして、、。


「フローライト様?!

 、、、いや、、、グローリア姫?」

思わずトライアントが呟く。

成長したグローリアはフローライトと瓜二つだった。

黄金の乙女の復活。

かくして予言はグローリアの成長という形で成就する事となる。




















 

 

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