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ニニデ解放 1 白の剣士 3

新年明けましておめでとうございます。年末年始は滞ってしまいました~。

何はともあれ今年もよろしくお願いいたします。

「あ、いたいた

 トリスト様ーーー」

話し込む2人の元へパルムが息せき切って駆け込んでくる。

「どうしたパルム

 もう20マイル走り終えたのか?」

「い、いえ それが、、」

息を整えパルムが続ける。

「グローリア姫がおいでになられました

 トリスト様に至急用がおありになるそうです」

「グローリア姫が?

 俺に??」

意外なVIPの訪問に間の抜けた声をあげる。

グローリア姫。

前大戦直後に生まれたフローライト王女の遺児である。

フローライト譲りの黄金の髪、黄金の瞳の美少女なのだが

何故か少女のまま彼女の時は止まっている。

だが、姿こそ幼いがその魔力は桁違いであり白の王子シュリアンをも凌ぐとさえ言われている。

その姫が自分に何の用があるというのか?

自分に出来るのは護衛くらいだが、あの姫には直属の親衛部隊がいるし。

それは考えにくい。

ともかくトリストは姫が居る村長の家に走った。


「グローリア姫

 白の剣士トリスト参上いたしました」

ドアを開き跪き臣下の礼をとる。

「久しい事、トリスト

 貴方の力を借りに参りましたわ」

魔術師らしく胸元と肩のみの甲冑を身に付け部屋の中央に座っているグローリアが

にっこりと微笑みトリストにそう告げる。

「俺のですか?」

「ええ、シュリアン様の名代でニニデを開放しに参りましたが

 ケルビムに邪魔をされて先に進めませんの

 洞窟の中に居るものでわたくしの力で吹っ飛ばすわけにもいかず

 困っておりますのよ

 貴方、手伝っていただけませんかしら?」

吹っ飛ばすとは物騒な物言いだがこの姫が攻撃すると確かに洞窟その物が吹っ飛ばされるだろう。

「なるほど、了解いたしました」

要するに攻撃要員の増強という訳だ。

物理攻撃の高い者が必要という事ならグランを連れて行くのも悪くない。

そう考え、ふと思い立つ。

「姫、一つ御願いがあるのですが、、、」




「ケルビム?

 何、それ?」

手早く甲冑を付けながらグランが問う。

「食人鉱物植物らしい

 古の一族専門の」

此方も手早く旅支度を整えながらトリストが答える。

「古の一族専門の?

 ああ、だから俺を?」

「それもあるが

 この村に居る剣士で一番使えそうなのがお前だからな」

トリストにそう言われると悪い気はしない。

「そりゃ、、どうも」

グランは心なしか上気する。

認められた事が嬉しかったようだ。

「用意が出来たらホールで任命式をやるからな

 簡易だけど、それから出発するぞ」

「任命式?って、俺の?」

「他に誰が居る」

トリストの即答にグランは白の剣士に任命されるのにいちいち式典を開くのかと驚く。

てっきり何かに署名するくらいで簡単に済むと思っていたのだ。

「普通なら年に一度、合同で白の城で任命式を行うんだが

 お前の事を話したらグローリア姫が承認して下さることになってな

 姫の承認となると任命式は必須だ」

「え?お姫様が??」

なんでそんなことになったのか?

グランは眼を白黒させる。

どちらかというと自分の素性の事が在るのでひっそりと末席にでも加えて貰うだけで満足なのだ。

なのにどんどん大層な事になってきている。

「グローリア姫なら申し分ない」

そりゃそうだろう、事実上白の一族のNO2だ、とグランは思う。

「なにしろ蜘蛛の彼を任命したのはグローリア姫の母上だからな」

トリストの言葉にグランの手が止まる。

蜘蛛の剣士を任命したのが白の王女?

「グローリア姫もその事はご存じだから

 母上であるフローライト様に倣いたいとお思いのようだ」

グランは気付く、総てトリストの計らいだと。

もし、自分の素性がばれてもそう言う前例があればすんなり受け入れて貰えるだろう。

トウランスの友だというこの白の剣士の心遣いが染み入る。

この恩を忘れまい、自分に出来る事が在るなら全力で挑もうと新たに決意し剣を握る手に力を込める。

幻羽世界の為に。

白の剣士として。




ああ、またミューズってば追い詰められてる。

そこはこう引くか、、、防御壁を、、、そうか魔法使えないんだっけ、、、。

うっすら開いた瞳に防護壁が映る。

気が付くと地面に寝そべっている。

あれ?ミューズの稽古を見ていた筈じゃ、、、?

がばっと起き上がり辺りを見渡す。

そうだ、グランとトリスト様が実戦形式の稽古をしていたんだ。

「やれやれ、やっとお目覚めか」

胡坐を組み片手を頬に当て退屈そうに見つめるパルムと目が会う。

「パルムさん?あれ?トリスト様とグランは??

 グランは合格できたんですか?」

リューズの問いに意味が解らずパルムが答える。

「合格?って?

 俺はお前が起きるまで此処に居ろって言われてただけなんだけど?」

「じゃ、、2人はどこに?」

「グローリア姫が突然いらして2人とも宿舎に帰ったよ」

グローリア姫が?

深層の姫君だ。

リューズも名前こそ知ってはいるがめったに表に出て来る事は無い姫なので会った事も無い。

その姫がいらした?

どういう事なのだろう?

それにグラン、トリスト様に掠るなんてこと出来たのかしら??

ああ、こんな時に伸びちゃうなんて自分の馬鹿っ!

頬をパンパン叩きながらリューズは宿舎に走った。

思いっきりよくドアを開ける。

と、ホールが片付けられトリスト白の剣士達やグローリア姫の親衛部隊が一同に跪いている。

一段高く設えられた台座の上に黄金の髪の美少女が剣を持ち。

すぐそばにグランが跪いていた。

咄嗟にリューズもその場に跪く。

美少女の澄んだ声が朗々とホールに響き渡る。

「白き光の一族グローリアの名において

 ここに、グラン

 そなたを白の剣士として認証いたします

 幻羽世界の守り手として心の善と光に従い正しいと思う事を為しなさい」

グランの任命式だった。

臣下の礼をとりながら、はれて白の剣士となったグランをリューズは我が事の喜ぶ。


「本来ならここで剣を渡すのですけど

 なまくらですわね、これ」

「ろくな剣が用意できず申し訳ないです」

容赦のないグローリアの指摘にトリストが頭を掻く。

至急村の武器屋で調達してきた物なのでグローリアの指摘どうりなまくらだった。

平和な村なので剣の需要など無いのだろう。

「あの、、俺剣なんて別になんでも、、、」

グランも一応自分の剣があるので形式的に貰う剣などなんでもよかった。

「あら、そうはまいりませんことよ

 わたくしの剣士となったからにはそれ相応の剣を持って然るべきですわ

 ちゃんとした剣士はそれなりの剣を持つべきですのよ

 剣だって持ち主を選ぶものですのよ」

小柄なグローリアはなまくらの剣を抱きしめるな形で腕に持ち持論を展開する。

「えっと、、俺、あんた、、いや

 姫の剣士になるの?」

グランにしてみれば寝耳に水であった。

任命されるだけではなくグローリア姫直属の剣士になるとは思っていなかった。

「ええ、勿論ですわ

 わたくしの部隊は男子禁制なのですけど

 あなたはまだ少年ですから特例という事に致します

 でもしばらくはトリストに預けておきますわね」

グローリアはにっこりとそう言って微笑む。

男子禁制って、、大丈夫なのそれ?

とグランは思ったがとりあえずトリスト預けになるようなので安堵する。

「では、参りますわよ」

手にしていた剣を傍の者に渡しグローリアは皆を促す。 

「ケルビムを排しニニデを開放しに」

トリストをはじめ皆一様に頷く。

リューズ一人がまだよく呑み込めていなかったが彼女の荷物も用意されている様で

そのまま出立となる。

人員はグローリアの親衛部隊とトリストとグラン、そしてリューズ。

リューズは戦力外だがグローリアの部隊には魔術士も多くいる為、道中で指南を請う手筈になっている。

トリストの部隊はリューネの村で待機という名の訓練三昧の予定だ。

出発時に「さぼるなよ、後日成果を見せてもらうからな!」とトリストの檄が飛ぶ。

見送るパルム達の額に冷や汗が流れていたのは言うまでもない。

その手には訓練の工程表がしっかり握られていた。





黒の居城から少し離れたコロシアムに隣接する頑丈な造りの建物がある。

薄暗いその中には牢獄がずらりと並んでいる。

此処はコロシアムに連れて行く犠牲ニエの待機場所に主に使われている。

ミューズはその一つに居た。

エクセルがロリアンを裏切ったと聞かされた彼女の表情は暗い。

それは到底信じられる事では無かった。

だが実際自分は投獄されている、その事実が彼女を当惑させていた。

そんな彼女の牢に近づくものが居た。

「この女がエクセルが引き入れたって女?唯の小娘じゃない

 で、また黒髪?何、あいつの趣味なの?

 そう言えば貴方の髪も黒よね、アロン」

横柄に腕を組みアルカシアが毒ずく。

「いえ、よくは覚えておりませんが

 彼女は元は違う髪色だったと、、、

 エクセル様、、いえ、エクセルの力の影響ではないかと思います」

付き従う様に一歩後ろに下がった状態でアロンが話す。

トウランスに焼かれたアルカシアの半身は長袖のドレスと仮面で隠されている。

「そう言えば生き返ったって言ってたわね

 気持ち悪い」

ミューズは唯、黙してアルカシアを見る。

「お前、次の血月祭ちげつさいでエクセルの代わりに公開処刑してあげるから

 楽しみにしておいで

 勿論抗えるのなら抗ってもいいのよ?

 その方が面白いからね」

「お前に勝てばいいのか?」

アルカシアの言葉にミューズがそう答える。

「ばっ!なんで私がお前ごときに?!

 お前、私をなんだとお思い?!

 私の部下で充分よ!」

その言葉はアルカシアの怒りを誘う。

「そうか、わかった」

アルカシアの怒りなどどこ吹く風で受け流す。

「だが、私は別にお前でも構わんぞ?」

ミューズの言葉にアルカシアは二の句が継げない。

アルカシアの後ろでアロンは必死に笑いを噛み殺していた。

「それとも、、その怪我では十分に戦えないのか?」

ミューズの言葉にアルカシアは思わず半身を庇う。

「エクセルにやられたのか?」

エクセルに負わされた傷では無い、だが、白の羽虫いちぞくに負わされた傷だとは死んでも認めたくなかった。

「、、、そうよ

 キルゼアの恨み共々ぜいぜいお前ではらさせて貰うわ」

アルカシアは残忍な笑みを浮かべる。

「その男、、、エクセルに殺されたのか?

 私の様にお前の生命を譲渡すれば生き返れるかもしれんぞ?」

「はぁ?なんで私の命をキルゼアごときにやる必要があるのよ

 馬鹿じゃない?!」

キルゼアはアルカシアの恋人であった、が、黒の一族にとって一番大切なのは自分。

恋人と言えどその程度の愛情だった。

「何?という事はエクセルの奴この女に生命を譲渡したの?

 なにそれ?、、ホント気持ち悪い、、、」

相変わらずエクセルのすることは理解できない。

「まぁ、せいぜい残された時間をかみしめる事ね」

ふん、と踵を返しアルカシアは牢を後にする。

訳の解らぬ小娘の相手をするよりどうやって殺そうかと考えを巡らせるほうがはるかに意義がある。

と、考えたようだ。

その後ろ姿をアロンは黙って見送る。

「お前、、相変わらずだな

 姉弟ともども怒らせるとは、、、まぁ、その様子なら心配要らないな?

 一応、お前とエクセル様とは関係が無いと言ったんだが

 俺も崇拝者だったから全く信用されててないようだ、、、すまんな」

「はなから期待などしておらん」

そっけないミューズの返事にアロンは苦笑する。

「しかしよく暴れ出さず素直に従ってくれたな

 アルカシア様は公開処刑だと仰ったが、そうじゃない

 勝てば自由になれる

 これもお前が大人しく従った御蔭だとおもうぜ

 なに、お前なら武器が無くても候女の配下になら何とか勝てるだろう」

ちらりとアロンを見、ミューズが囁く。

「騒いでロリアンに会えなくなるのは嫌だからな、、」

「なに?」

上手く聞き取れなかったアロンが聞きなおす。

「いや、なんでもない

 血月祭には王子も居るだろうと思ってな」

「ああ、そりゃおいでになられると思うぞ」

アロンの返事にミューズは微笑む。

「そうか、、なら充分だ」

もしその場で果てる事に為ろうとも。

ミューズは思う。

ミューズの中に息づくエクセルの記憶。

こんな状態に陥っても冷静に居られるのはエクセルの強かな半生の記憶が断片的にあるせいだろう。

幾度となく死と直面した中から生まれた物だ。

そんな記憶の中で唯一安らぎさえ覚える相手、、、。

その人に会ってみたい。

怒りと憎悪しかない私の中で唯一正常な思い、、、。

それが叶うなら、、、充分だと、、。






















 





読み返すと誤字脱字や書き間違いを密かに発見(><)

ちびちび気が付き次第改稿しますです(><)

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