黒の聖地 5
ちょっと漫画をそのまま小説化するに当たり行き詰まりを感じてきました。
なので大筋を代える事はありませんし出来ればマンガの台詞通りにしようとは思いますが
書きやすいように変換して書こうと思います。
少々残酷描写ありです。
スフスフの神殿がある森。
先に到着したのは街道を走ったトリスト等白の剣士の2部隊だった。
1部隊12人構成の2部隊。
討伐任務の場合一人。もしくはツーマンセル、新米の場合はスリーマンセルで
挑むことが多い。つまり破格の戦力をつぎ込んでいる事になる。
ヌークからの報告で侵入して来た黒の一族は数名と聞いている。
黒のマナも神殿の要石が封じていた量は微量充分殲滅可能な兵力だ。
問題はシェラを倒したイレギュラーの黒魔術士の存在。
「さて、、、と
それじゃあぼちぼち初めますか」
独り言を言うトリストに斥候に行っていた剣士が報告する。
「トリスト様、スフスフの都に異変はありませんでした」
「そうか」
「王になる予定の王子が行方不明になって暫くごたついていたようですが
今は落ち着いています」
「、、、ってことは幻羽人を巻き添えには出来ないな
確か白の里から結界石を持ってきていたな
あれを神殿を囲むように森の端に配置しろ
この中でけりをつける」
「了解しました」
トリストの指示に白の剣士が用意をし始める。
一人は剣を無くしたとぼやいていた女性剣士メリーサ、そしてもう一人。
長い金髪を後ろで束ね端正な顔立ちをした剣士だ。
トリストはあれ?自分の部下にあんな奴いたか?と首をかしげる。
そしてどこかでよく見知っているような、、、。
と、そこで正体に気が付き言葉を飲み込む。
ま、まさか、、、!!
その表情に気が付いたのかその剣士は人差し指を口の前に立て
他言無用と微笑みかける。
「おいおいおい、まじっすか、、、」
トリストからは冷や汗しか出なかった。
六角柱状の水晶石を加工して作られた結界石を森の四隅に置き作動させる。
ほのかな光の柱が立ち上がり白魔法の強固な結界が立ち上がる。
四角の巨大な結界の中にスフスフの神殿を森ごと閉じ込めた形になった。
これでこの森から黒の一族が逃れるすべは無くなった。
「これで逃がさねぇ、王手だ毒虫野郎!」
それが開戦の言葉になる。
白の剣士達は一斉にスフスフの神殿をめがけ走り出した。
「大変ですっ!!」
神殿でくつろいでるアーカル等の元へデインが慌てて駆け込んでくる。
ワインを片手に横柄な態度でアーカルはデインを見る。
「四方から妙な光柱が!」
「光柱?」
「はい、白の奴らが攻め込んできたのかも」
「どういうことだ!?エクセル?!」
うろたえアーカルは怒鳴った。
アロン等が要石を破壊し援軍が到着するまで目立つ行動はすべきではない。
と、勇んで近隣の幻羽人を蹂躙しようとしていたアーカルを止めたのが
エクセルだった。
一番の戦力である彼がそう進言したのでアーカルは納得しおとなしくしていたのだ。
それなのに白の軍勢に攻め込まれるとは話が違う。
「ほぅ、行動が早いな」
エクセルが微笑む。
「感心してる場合か!今もし大軍でこられたら、、」
語尾が少し震える、候とはいえアーカルの実力はさほど大したものではない。
奇しくもミューズが言い当てた通りだった。
何時も姉のアルカシアに実弟でなければ殺していたと言われている。
その言葉にふっと笑うエクセル。
「大軍は、、無理だな
黒の聖地がある。
さて、、ここまで何人無傷で来れるかな」
その様子は何処か楽しげだった。
森を走るトリストは妙な感覚を覚える。
静か過ぎる、そしてざらっとした嫌な気配があちこちにある。
立ち止まり皆に号令を出す。
白の剣士達はトリストに従い歩みを一旦止める。
見た目には何の変哲もない森に見える。
まだ若い剣士が索敵してみようと足を踏み出す。
その方向はトリストが嫌な気配を感じる方向だった。
慌ててその剣士を止めようと声をかける前に
ぎしゃっと異音を発し剣士が文字どうり潰された。
甲冑ごとへしゃげ肉塊と血がぼとぼとと飛び散る。
皆、突然の出来事に息を飲む、敵襲に違いなかったが敵の気配はない。
生き物の気配すら感じられない。
「動くな!」
トリストが叫ぶ。
魔法攻撃にしても軌道すら見えなかった。
そんな魔法はあり得ない、何らかの痕跡は残る。
トリストの表情に険しさが増す。
と、悲鳴と同時に先ほどと同じ異音が響きわたる。
「メリーサ!」
同僚が叫ぶのとぼとぼとと肉塊が弾け飛ぶのとはほぼ同時だった。
メリーサと呼ばれた女性剣士は見る影もなく赤い血だまりの肉塊に成り果てる。
どういう事だ?メリーサは動いては居なかった。
相手が動いているのか?だが気配はないっ!
トリストに冷たい汗が流れる。
「黒の聖地、、?」
静寂を破ったのは金髪の剣士だった。
彼には思い当たる魔法具があった。前大戦でも苦しめられた黒の魔法結界である。
だが、あの魔法具を幻羽世界に持ち込むことが出来る者が来たという事は
すでにスフスフのオリジナルの要石は破壊されている可能性が高い。
「出直しだ!トリストっ!
黒の聖地が解き放たれているのなら
うかつに進軍できんっ!」
「黒の聖地?
あの眼には見えない暗黒思念重力磁場ですか、、」
トリストにも知識としては知っていたが見るのは、いや遭遇したのは初めての事だった。
確かにあの結界魔法が展開されているならこのまま進軍するのはまずい。
だが、、、。
「ならば、、、いっそ見なければいい
俺はここまで来ておめおめ帰るのは嫌ですよ」
すっと額当てをずらし眼を覆う。
「俺以外の者は付いてくるなっ!各自ゆっくり元来た道を戻れっ!」
そう言い放ち走り出す。
いっぽう少し遅れてグランリューズも到着する。
が、グランはあっちに行ったりこっちに戻ったり
行ったり来たりいっこうに森を進む気配が無い。
「もぅ!いい加減にしてよ!
さっきから行ったり来たり同じところをぐるぐる回って
全然先に進まないじゃないっ!」
リューズは苛立ちを隠さない。
「ん~、でもなぁ、、、なんか絶対行きたくない感じがするんだよなぁ、、
よくわかんないけど、、、」
顎に手を当てながら小首をかしげている。
「なにそれ?訳わかんない事言って
さっきの光柱見た? あれきっとトリスト様達よ
急がなきゃ」
そう言ってリューズが歩き出す。
「リューズそっちは!」
「ひっ!」
慌ててグランが背後から肩を抑えるのと
リューズが悲鳴を上げるのはほぼ同時だった。
リューズの足元1mほど先に押し潰された小動物の死骸が転がっていた。
大声を出さないようにリューズの口を背後からそっとふさぐ。
「ほら、よく回り見てみろ」
よく目を凝らせば薄暗闇の森のあちこちに小動物の押し潰された肉塊がぶら下がっている。
その時いきなり目の前に黒い透明のベールの様な物が光と共に現れる。
それはゆらゆらと蠢いていた。
「な、、、」
グランは思わずカーテン状の物を仰ぎ見る、地上3mほどはあろうか。
「何これ? 動いてるの?」
恐る恐るリューズがそれに手を伸ばす。
「触るなっ!」
いきなり怒鳴られびくっとリューズが手をひっこめ。
グランが、へっなんで?と間の抜けた声で声の主の名を言う。
「トウランス?」
名を呼ぶと同時に思いっきり頭を殴られる。
「痛っ!」
「馬鹿者っ!」
涙目で殴ったトウランスを見上げる、トウランスは本気で怒っていた。
「お前の手に負える相手じゃないっ!
そう言っただろっ!!」
「だって~」
「だってもへったくれもあるかっ!」
「だって、ミューズが生きているって、、、」
「なに?」
ここぞとばかりにグランはこうなったいきさつを話す。
トウランスは黙って聞いていたが怒りは治まってくれないようだった。
「なるほど、話は分かった
だが、無茶にもほどがあるぞ
たまたま無事だからよかったものの、、、
しかし、まぁよく黒の聖地に捕まらなかったな
だいぶ奥まで入り込んでいるぞ」
怒りは呆れに変わっていた。
「黒の聖地ってこのカーテンみたいな奴?
だってこれ、すんげ~嫌な感じがするんだぜ」
自分の所為で怒られているグランに申し訳ないと思い
縮こまっていたリューズだったが
グランの言葉に思わず口に手をやり言葉をはさむ。
「あ、、、グランが嫌な感じがするっていってたの、これを避けてたの?」
「そうみたい、同じ個所から感じるから」
振り返りそうグランが答える。
「全く、呆れた野生の感だな」
トウランスのため息は深かった。
「でもどうして急に見えるように?」
リューズの問いはもっともだった、不可視の魔法のようだったのに、、、。
その問いにトウランスが答える。
「黒の聖地の事は本で知っていたからな
黒の一族と聞いて、もしやと思い視覚化の魔法をかけたんだ
視覚化の魔法は黒魔術を使えば案外簡単なんだ」
本当に黒魔術が使えるんだこの人、、、。
リューズは改めて目前の魔術士を見つめる。
「見えていれば避け易いだろ
こんなもの視ずに避けられるのは野生児のこいつぐらいなもんだ」
褒められてるのかな~?とグランはにへらっと笑ったが。
「褒めてないぞ」
にべもなくトウランスに言い放たれる。
しゅんと肩を落としたグランの耳に足音が届く。
彼の耳も鼻同様並外れた聴覚をもっていた。
「俺だけじゃないみたいだよ 野生児」
にっと嬉しそうにそう告げる。
ざさっと音をたてて走り込んでくる剣士が居た。
「トリスト!」
トウランスが驚いたような声を出す。
グランは足音で誰だか概ねわかっていたので同類の登場に顔がゆるんでいる。
名を呼ばれ目隠しの額当てをずらしトリストもトウランスを確認すると同時に
黒の聖地が視覚化されているのに気が付き慌てる。
「トウランス?おまえなんで、、
それになんで黒の聖地が見えてるんだ??」
「トウランスの魔法だよトリスト
しかしおまえ勝手に飛び出したのはいいけど
方向音痴だねぇ」
汗をぬぐいながら金髪の剣士が言う。
「げっ!付いてきちまったんですか?」
先ほどより驚いた声でトリストが叫ぶ。
「! まさか、、、
シュリアン??どうしてあなたが??」
そう、金髪の美剣士は白の王子だった。
「どうしてってトウランス
保険だよ♪」
悪びれることなく白の王子様はそうのたまった。




