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黒の聖地 1

「ありました!オリジナルの要石です!」

神殿の敷石の下、隠し階段の先の小部屋に直径2m近い黒い球体があった。

低い振動音を発している。

「これがオリジナルですかエクセル様!」

「でけぇ!」

「やりましたね、これで援軍を呼べますね

 これだけのマナがあれば一軍は来れますね

 大金星だっ!」

「うぉおお、反応してるぜ!!」

口々に興奮し賛辞を言い合う。

「エクセル様、どうしてお解りになったんです?」

そう、この隠し部屋を黒の剣士達は闇雲に探し発見したわけでは無い。

エクセルが迷うことなく隠し階段を見つけ罠を解除し真っ直ぐ導いたのだ。

「、、さぁな

 なんとなくだな」

「なんとなくですか?」

これも彼の魔力のなせる業なのだろうかとアロンは納得する。

「ああ、なんとなく、、だ」

そう言いながら部屋を立ち去ろうとする。

「エクセル様どちらに?

 立ち会われないのですか?」

「お前らで割っておけ」

手をひらひらと振りそう言い残し部屋を出る。

すれ違いざまに黒い少女が小さく呟く。

「つくづく嘘つきだな、お前」

エクセルは少女を見る。

「お前にも聞こえたんだろう?

 アレの呼ぶ声が」

エクセルは表情を変えることなく。

「いや」

と否定する

「そうか、、なら構わん

 お前には聞こえたと思ったが

 私の勘違いのようだな

 確かにあれば白の一族への呼びかけだった

 お前に聞こえるはずがないな」

そう、何かを含んだ様な表情で少女は言う。

エクセルは微かに笑みその場を離れた。

そう、黒の一族の彼に要石の声は聞こえるはずが無い。


少女の背後から焦る男たちの声が聞こえる。

「くそっ、剣で割れないぞ」

「アロン様、魔法でお願いします!」

爆音が聞こえる。

「アロン様の魔法でもダメかっ」

「どうすれば、、、」

「やはりエクセル様にっ」

大の男があたふたしている。

「どけ、私がやってやろう」

少女が進みで男から剣を取り上げ

コンコンと要石の表面を叩く。

ふっと笑い素早く3角形を2回描くように剣ではじく。

「よしプロテクトが外れた」

その言葉と共に大きく剣を打ち込み要石ははじけ飛んだ。


エクセルは窓辺に腰掛け月光を浴びながら

少女の言葉を考える。

「嘘つき、、、か

 確かにな。」

何時の頃からか言葉を飲み込むようになってしまっていた。

そんな必要のない今となってももはや習慣になっている。

彼は生粋の黒の一族ではない。

黒の里にある下の村と呼ばれる他種族が飼われている村の出身である。

片親は黒の一族の誰かなのだろう黒の一族は他種族を弄り甚振るのが好きな一族だ。

それは本能と言っても良い。

身体的に甚振るのも好きだし、精神的に甚振るのも好きなのだ。

結果、下の村に飼っている他種族との間に子供が出来る事がしばしばある。

そして稀にその中に力を有する者が生まれる事がある。


黒の世界は力こそが正義という分かりやすい世界。

出生は取りざたされはしない。故に奴隷階級の下の村の出だろうと

力さえ本物なら重用される。

エクセルのように。

エクセルは黒の世界で五指に入る強者だと言われている。

前大戦の強者が居並ぶ中、大戦後の生まれでは彼だけが五指に入っている。

変わり者といくら言われようがもう彼に逆らう者は居ない。

そして唯一無二の強者、黒の王子ロリアンの傍に立つことを許される存在でもある。


物心ついた時は下の村にいた。

そして誰に教えて貰うでもなく魔法が使えていた。

自己流だったので洗練された物では無かったが

そこを物珍しがったフォルーゼに拾われた。

黒の一族の遊びに弟子を育て殺すという物がある。

フォルーゼはその遊びをしたにすぎない、がこの時は獲物に牙を剥かれたのだ。

フォルーゼの片目はエクセルに奪われた。

そしてエクセルは晴れて黒の一族に迎えられた。


そう、エクセルには要石の声が聞こえていた。

白の一族の血が混じっているのやもしれないと思ったが

自分には黒の魔術しか使えない。混じっていたとしても微々たるものなのだろう

下の村の他種族は異種混合種族だった。

何の血が混じっていても不思議では無い。

それを別に隠す必要も無いが、、、なぜか言う気にもなれなかった。

それだけなのだ。

少女を助けたのも確かに哀れに感じたからだった。

それも少女に言うつもりは無かった。


彼が心を開き本心を告げる相手は居ない。

親友だと思っている王子ロリアンに対しても唯一隠している事があった。

彼を突き動かすある存在については頑なに沈黙を守っている。

魂に刻み込まれた「あの人」の存在は誰にも明かせない。

その人が本当に存在するのかもエクセルには解らない。

もし存在するのであれば、、、何時しか出会えたなら

そう考えただけで鼓動が高まる。

誰にも明かせない真実の思いであった。



要石が弾け飛び黒のマナがどっと放出され

黒の里へのゲートの前で援軍を迎えようとしたアロン達の前に

一人の男が現れる。

手に黒い水晶を持ち横柄な態度で男は軽く辺りを見渡す。

「お前たちだけか?」

「アーカル候!あなた御一人ですか?」

アーカルと呼ばれた男は寛大に笑いながら答える。

「ああ、ごめんごめん

 俺一人でマナ値いっちゃったんだよね

 いやぁ、魔力が高いのも考え物だねぇ」

「御一人で上限までですか、、、」

一軍は来るだろうと思っていた為にデイン達は拍子抜けも良い処だったが。

アロンはアーカルの手にある黒水晶を見、納得して要る様だった。

「ところで、我等が偉大なるマナ値0(ゼロ)の魔術士殿は何処かな?」

アーカルはにこやかにそう言った。










 

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