大団円?
異世界の王は悩みに悩んだ末に、由香里に頼った。
「また異世界からの通信?」
「出ない。居留守使っておいて。」
と助手に言う。
由香里もちょっとだけ偉くなって、助手ができたのだ。
「王様から緊急の用件みたいですよ。」
「勇者の停止ボタンなら、聖女に押させてって言っといて。」
由香里に見捨てられた王は、ひたすら考えた。
人生で一番悩んだかもしれない。
そして、天啓のようにひらめいたのだ。
「魔族の国に、友好親善大使として派遣する........」
「あやつなら、『我が国は魔族の国に侵攻する意思はありません』と説明し、
両国の友好関係を築いてくれるだろう。おそらく。」
「名案です、陛下!魔族に勇者を押し付けるのですね。」
「あの国は好戦的で、こちらを攻めようと我々の隙を窺っています。そんな国と友好関係を築けるでしょうか?」
「だからこそなのだ。好戦的な魔族一人一人を時間をかけて説得し、我が国との親善に努めてもらう。きっと何年もかかる大変な任務となろう。(できれば永久に)」
勇者は脳筋なので、友好親善大使任命の説得は容易かった。ちょろいものである。魔族も含めた世界の平和のため、やる気満々だ。
王国の人々は、盛大な壮行会を開き、涙しながら勇者を送り出した。
出来れば戻ってこないでほしいと思いながら。
胃痛に悩んだ王は、やっと胃薬を手放せると安堵した。
魔族国は、異世界一迷惑な友好親善大使が、自国へ向かっていることをまだ知らない。




