魔族国にて
人族の国、シアサーテ国から派遣された友好親善大使、ロボット勇者は、魔族国にとって大変な迷惑だった。
「人族は攻めて来ません。ですから戦争の準備など必要ないです。」
「元気が有り余っているなら、私がお相手します!」
「拳で語り合いましょう!」
「よほどお前の方が、好戦的ではないか」と魔族たちは思いつつ、次々に勇者に倒されていった。死人は出ないが、負傷者が多く、勇者の治療機能も間に合わないありさまだった。
多くの負傷者に頭を抱えた魔王は、シアサーテ国王に苦情を言った。
「あの親善大使を送り返すから引き取ってくれ。鍛錬による負傷者が多くて困っている。」
焦った国王は、解決策を提案する。
「彼の行動を止められる聖女をそちらにお送りします。
聖女は治療も出来ますし、大使の暴走を止めてくれるはずです。」
国王は悩みの種のもう一つ、聖女も魔族国に厄介払いできるとほくそ笑んだ。
再び起動させられた聖女は、魔族国の窮状を聞き勢い込んで旅立った。
聖女は、治療こそしてくれるものの、そのあとに長い長いお説教が待っていた。
勇者は、聖女の話を最後まで聞くが、内容は完全にスルーする。
停止ボタンも前回のように易々とは押させてくれない。
迷惑が2倍になった。
魔族たちは、魔王に泣きついた。
「説教の長い聖女も嫌ですし、嫌だと言っているのに無理やり鍛錬させる勇者も勘弁して下さい!」
「お前たちは、そーらーしすてむとやらで、半永久的に動く自動人形なのだな?」
「背中の停止ボタンとやらを押せば、お前たちは止まるのだな?」
魔王は聖女に確認すると、二人へ渾身の魔法を放った。
魔王が代々受け継ぐ禁呪『時を止める魔法』である。
魔王以外のすべてが止まった状態で、魔王は勇者と聖女の停止ボタンを押した。
こうして迷惑ロボット2体は無事停止した。
あれを押し付けたシアサーテ国王は許しがたい。
いつか仕返ししてやろうと思った。何が友好親善だ。
とりあえず、魔族の頭脳ともいえる研究者集団を呼びつけ、ロボットを解体させることにした。うっかりまた起動させてしまったら、たまらない。
魔族の魔道具は魔力を動力にしていた。
その代替手段として、この自動人形のそーらーしすてむを活用できないか。
魔王はそーらーしすてむの解析、活用を研究者たちの至上命題とした。
幸い、聖女の記録装置には、設計資料まで保存されていた。
英知を結集して研究を重ねた結果、数年後には魔族の国でもそーらーしすてむを活用できるようになった。
それを使って、二度と人族から迷惑なものを送りつけられぬよう、厳重な結界を張ったのである。
こうしてシアサーテ国は、魔獣、瘴気を消滅させ、迷惑なロボット2体を魔族に押し付けられた。
魔族国は、かなり迷惑したが、そーらーしすてむの活用により、いろいろな面で発展した。
聖女になるはずだった由香里は、助手もできたし、聖女が残したデータを元に、今日も3号機の開発に余念がない。
まあ、おおむねめでたしめでたしである。




