王太子は背負い2
「ま、負けました」
次の瞬間——
静まり返っていた訓練場全体に、どっと凄まじい歓声とどよめきが広がった。
空気が変わった。騒がしくなる。
「凄いです!思わず見入っちゃいました」
「ギル様強すぎませんこと!?」
「ギル……だったか、お前強いな!どうなってんだ?」
ギルが、大勢に囲まれて、困っている。
教師が足を踏み出し、彼の前に出た。
「お手合わせありがとう。若いが、すごいな!してやられてしまった」
「いえ……こちらこそ、ありがとうございます」
教師に手を差し出され、ギルさんは恐る恐ると手を差し出し、握手を交わした。
次は、ソフィアと男子生徒だ。鑑定してみたが、男子生徒よりソフィアの方が武勇の数値は、少しだけ高い。しかし、知力は圧倒的にソフィアの方が上だ。ソフィアが勝つのだろう。
「始め!」
開始と同時に、ソフィアは、急所を狙って迷いなく剣を振る。しかし、男子生徒はギリギリの所で受け流し、ソフィアの首を反撃しようとする。彼女は素早くしゃがんだ。それから、そのまま男子生徒の頭を大きく飛び越え、丁度反対側に着地した。その間に男子生徒は反対側を向き、着地と同時に攻撃を仕掛けようとした__が。
「まぶしっ……!?」
丁度真正面から強い太陽光を視界に受け、彼は思わず目をつぶった。。ソフィアは最初から、太陽を背にする位置へ回り込んでいたのだ。
「しまっ……」
カキィーン……!
気づいたときには遅かった。
甲高い金属音が響く。彼の剣は、飛ばされ、地面に音を立てて転がる。
「チェックメイト」
無表情、そして冷ややかな声。
「しょ、勝者、サブジーナス公爵令嬢!」
ソフィア……魔術使ったな。ルール破りやがって。このソフィアは、ルールまともに聞いてなかった説あるがな。
ソフィアは、しゃがんで男子生徒の頭を飛び越える際、風魔術で蹴り上げる威力を高めていた。それが分かったのは、魔術や魔法を使用した・された瞬間、それがまるでゲームのポップアップのように表示されるからだ。
鑑定眼様々だ。無ければ、気づかなかっただろう。
続くレオン子息の対戦も、あっけなく決着がついた。一番印象に残っているのは、女子生徒達の対戦前の歓声だ。
『キャー!レオン様ー!頑張って!』『そいつなんか叩き潰してくださいましー!』『レオン様ー!』と、まるでライブ会場のようだった。一方、男子生徒達は嫉妬の目でレオン子息を見つめ、憎悪が思わず顔に出ていた。
当の本人といえば、にこりと女子生徒達に微笑んで、更に歓声を浴びていた。
そして、対戦相手からの猛攻撃を軽々と最低限の動きで躱していき、隙ができた瞬間、対戦相手を背負投げをしてみせた。
ギャップ萌えを通り過ぎて怖い。サブジーナス家、優秀な人ばかりだな。
レオン子息は、あっけなく勝利を収めた。
その後、俺はフランクと対戦した。
正直、ものすっごく、嫌だった。ほぼチートの奴と戦えとか、拷問だ。負けたらどうするというんだ。
フランクの厄介なところは、戦いながら戦術や動きをリアルタイムで即マスターしてくるところだ。長引けば長引くほど、こちらにとっては不利になってくる。
だから__俺は速攻で終わらせた。
剣の腹を強く叩き打ち、フランクの剣を折ったのだ。そして、驚き、一瞬フリーズしたフランクに刃を向けた。
皆を盛り上がらせたほうが良かったかもしれない。だけど、それで変に魅せるプレイをして、長引かせて負けるくらいだったら、勝ちたい。勝たないといけない。負けることなんて、許されない。
『カイン様、貴方は絶対なる次の王です。貴方は、負けることなど、許されません。貴方は……』
俺は、「優しくて、強くて、優秀な、完璧な王太子」にならなければいけないのだから。
王太子カイン・ヴィルハルト・アマリリスの視点の話でした。どうだったでしょうか?
彼は、この作品でキーを握る人物なので(ネタバレ)是非、目を離さず読み進めてください!
ブクマやイイネ、★評価、宜しくお願いします!




