風紀委員会見学【前編】
ちょっと遅くなってしまって、申し訳ありません!
「そういえば、リーナちゃん。委員会とか、どこに所属するか、決めまして?」
学園内の食堂で、お昼ごはん。今日、初めて友だちと食べている。
「ん〜。風紀委員会に入ろうと考えているの。でも、他の部活やクラブに入るかはまだ、決めていないわ」
「レリーナが風紀委員になったら、身分を笠に着る輩を片っ端から、注意して行きそうだね」
「リーナちゃん、強いですからね。応援します!」
ちなみに、メンバーは、レリーナ、グラディオ、シャーロットにアリアの四人。エルハントとダイレンはそれぞれ、用事があり、別々なんだそう。
「みんなはどうなの?」
「僕は紳士会は必ず、入るね。他については、保留。でも、ボードゲーム同好会は気になるかな?」
「私は、淑女会に必ず、入らなければなりませんわ。エルの婚約者なんですもの!」
「わたしも!あ、あと、レリーナファンクラブも設立するんだよね?」
設立は決定でしたね、そういえば。レリーナは苦笑いをしながら、ハンバーグを口に運んだ。
「あ、レリーナちゃん、見〜つけた!相席、大丈夫?」
「あら、トネリ先輩。もちろん、かまいませんことよ」
「こんにちは、先輩!遅めのお昼ですか?」
「いつもだよ。昼休みの前半に自主練しているからね〜」
トネリは椅子に座りながら、答えてくれた。
「先輩って、演劇部でしたっけ?」
「正解!えっと……、アリアちゃんだっけ〜?正解だよ〜」
呑気に揚げ物を頬張っている。他の四人は、食後のティータイムに入っている。
「建国祭の演目が決まったからね〜。ちょいっと癖のある役をやらなきゃいけないから〜。ま、出番は数回だけだけど」
「癖のある役がある演目は……『革命』と『いつか花咲く日に』……」
「あと、『マリオネット』ですわ!」
『革命』は国王の悪政により、不満をつのらせた国民たちが立ち上がり、国王を討つ話。『いつか花咲く日に』は恋愛劇。高貴な令嬢と商家の息子が恋に落ち、様々な苦難を乗り越えて幸せを勝ち取る話。そして、『マリオネット』は、推理劇。糸の切れた操り人形に埋もれるような形で発見された侯爵を殺した犯人を第8王女とその従者が見つけ出すストーリー。これは、レリーナの兄弟子 クサルの書いた小説が原作である。
「そうそう、僕らは『マリオネット』をやるんだ〜。というか、よく覚えてたね、グラディオくんとシャーロットちゃん」
「『シャルル』で構いませんわ!『マリオネット』は大好きなんですもの!」
「母の趣味で、よく劇場に連れてかれていたから……。先輩、『ディオ』でいいよ。僕の名前は長いから」
「何やら、楽しそうだね?」
「俺たちも混ぜてくれよ」
エルハントとダイレンも入ってきて、賑やかなお昼となった。
.。・**○**・。.。・**○**・。.。・**○**・。
「レリーナ、あのさ、今日の放課後の風紀委員会の見学、一緒に行かない?」
「え?いいよ。ディオも入るつもりなの?」
「視野には入れてある」
ふ〜ん…。レリーナは興味なさそうに教科書などをカバンに詰めた。
「二人とも、早速、見学かい?」
「まあ、ね。エルは他の委員会や部活は見学しないの?」
「委員会は無理だね。学級代表議会があるから。クラブとかは、多少、興味あるかな?」
忘れていたが、レリーナと同じ1組は、エルハント、グラディオ、ダイレン。この4人は、5月の剣技大会の団体戦メンバーだと噂されている。
「そっか〜。部活は……、ボードゲーム同好会と冒険者同好会が気になっているけど……。風紀委員会みたいに、『絶対に入りたい!』って、思ってはないね」
「え?レリーナもボードゲーム、できるの?」
「まだ、始めたばかりよ。一昨日、誕生日プレゼントにもらったの」
「今度、教えようか?」
「ディオに教えてもらったほうがいいよ。ディオは僕なんかより、圧倒的に強いですからね」
「元帥のじじぃには、負けたけどな」
アレは、バケモンだ。とダイレンに文句を言った。なんでも、軍のトップの元帥は、ボードゲームも強いらしい。レリーナはそれを聞いて、会ってみたくなった。
「何だったら、軍の見学でもしてみない?父に話してみるけど」
「見学、してみたいわ。一応、視野に入っているし」
「レリーナ嬢は入軍するつもり?」
エルハントの問に頷いた。まあ、考え中だけど……。
「入軍したら、すぐに元帥まで行きそうだね」
「あのじいさんが譲るとでも思うか?」
「どうだろう?この前、『適した奴がいねぇな。早く、この座に似合う輩が来ないかな』なんて、ぼやいてたけど…」
それ、初耳。ダイレンとエルハントは目を見開いた。
「それより、話は終わり?見学に行きたいんですけど」
「あ、悪い、ディオ。うんじゃ、邪魔者はおさらばするぜ」
「ディオ、レリーナ嬢、仲良くね〜?」
エルのあの一言はどういうこと(だ)?レリーナとグラディオは顔を見合わせた。そして、二人並んで、見学に向かった。
.。・**○**・。.。・**○**・。.。・**○**・。
レリーナとグラディオはボロボロの扉の前に立っていた。
「ここ、よね?風紀委員会って……」
「そう、だ、な……」
(これ、絶対、腐っているわね)
レリーナは意を決して、躊躇なく、扉を開けた。あら、壊れてしまったわ。
(モース兄さんに謝っておこ……)
あと、お金出して、修理してもらおう。外れてしまった扉はとりあえず、廊下の壁に立て掛けた。
「…………元々、壊れてたみたいだね。直してもらおうか?」
「いいえ、私が払って直してもらうわ。大金を持ってても、使わなかったら、意味ないじゃん?」
グラディオはそれを聞いて、ピタッと止まった。
「レリーナ、今、いくら持っている?」
「ん〜、4500億フィーかな?全部、ギルド預かりだけど。必要なときしか、引き出さないし〜」
グラディオの想像を超えていた。帝都の屋敷を丸々一つ買っても、余裕の金額を持っていた。
(本当に、何者なんだ?)
「どちら様です?あれ、新入生?もしかして、見学?」
「あらら〜。扉、壊しちゃったか…」
死にそうな顔をした、先輩達がこちらを向いた。
「扉については、私が悪いので、修理してもらいますね。もちろん、お金は私が出します」
レリーナは何食わぬ顔で答えた。グラディオはあちらこちらに突っ伏している先輩達の顔を覗いていた。
「……疲労……」
レリーナはいきなり、無口になったグラディオに驚いたが、それよりも、疲れ切っている先輩達が心配になった。
「あの……、私達のことはいいので、休んでください」
「できたらいいんだけど………。原因は……」
レリーナは指がさされた方を見ると、布に隠れているが、チラチラと覗く、やけに豪華な扉があった。うん、腐っている奴らはここね。
レリーナはドカドカと布に近づき、布をはいだ。そして、豪華絢爛の扉を一気に開いた。
「あれ?風紀委員長と副委員長ではありませんか。先輩達が必死に仕事しているのに、お遊びですか?」
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
【評価やブクマをしてくれるともっと嬉しいぜ!】
肝心の風紀委員会見学は半分もありませんでしたね……(遠い目)
【しゃーねぇじゃん!入軍の話をさせてあげたかったんだし…】
それさ、本来は、前々話で書く予定でしたよね?
【……。忘れていた……】
ま、私も忘れていたし。おわいっこよ!




