精霊召喚
「では、本日は、オリエンテーションを兼ねて、精霊召喚の授業をしていきたいと思います」
入学後、初の授業は魔術基礎だ。教科担任はロキ。レリーナは引きつった笑みをしていた。
「まず、精霊について簡単に説明しましょう。精霊には、幾つ、属性がありますか?シャーロット嬢」
「風、火、水、土木、金、雷、光、闇の8つです」
「正解です。精霊には階級があり、下から下位、中位、上位となっております。そして、すべてを束ねているのは、精霊王です」
ロキはかつかつとピラミッドを黒板に書き、頂点に『精霊王』と書いた。
「基本的に、精霊は協力的です。ですが、『命令』は聞きません。『お願い』は聞いてくれます。なので、お願いする形で召喚を行ってくださいね。ちなみに、召喚式はこのように描きます」
黒板に手本が描かれ、皆、一斉に描き写す。
「それでは、始めましょう」
ロキの合図で一斉に召喚を始めた。
「精霊さん、私とお友だちになってください」
レリーナも同じように、やってみるが、無反応だ。
「あ、言い忘れていましたが、体質によって、精霊に好かれる者と好かれない者がおります。前者は召喚に応じられやすく、後者は応じられにくいです。召喚できなくても、評価には関係ないので、ご安心ください」
もしかして、私、後者かしら?神なのに、好かれないって、残念ね。
レリーナは辺りを見渡した。エルハントはサンダードラゴンを。ダイレンは、下位の火の精霊を。グラディオは中位の水の精霊とフェンリルを。シャーロットは中位の水の精霊を。シャーロットに至っては、他の人に召喚された精霊に囲まれている。悔しいことに、リベット皇女も召喚できている。下位の風の精霊だが。
「ど、どうだ?できたか?」
「この様子で、できたと言えますか?」
レリーナはグラディオの問に苦笑しながら、答えた。グラディオもどうしたら良いかわからず、つられて苦笑した。
「やり方はあっているんだけど……応えて貰えないのよね〜。私は後者のでしょうか?」
レリーナは頬に手を当てて、呟いた。グラディオは驚いた。
「レリーナ。君は何でもできると思ってたんだが……」
「ん?私は生きているのよ?できないこともあるに決まっているでしょ!実際、バイオリン以外の芸術系はないのよ」
ついでに、料理もあまり得意ではないの。
グラディオは意外そうにレリーナを見つめた。彼にとって、レリーナは『完璧な人』と思っていたのだから。
沈黙が続いた。しかし、それを壊すように、レリーナの召喚式が輝きだした。二人はギョッとした。光り輝いたことは一瞬のことで、光が消えたときには、一枚の紙切れだけがひらひらと落ちてきた。
「なんて書いてあるんだ?」
レリーナが取った紙切れを覗くようにグラディオが見ていた。レリーナは紙切れに目を通した。
『尊き天気の神 レリーナ様
初めまして、こんにちは。このような形でのご挨拶をお許しください。
あなた様の直々の召喚は我々にとって、ありがたき幸せであります。しかし、御前に出ることは大変、畏れ多いのであります。
召喚に応じれぬ我々に不快を思われても、仕方ないことなのでしょう。このことにつきましては、私、精霊王カートゥが全責任をもちます。罰については私にお願いいたします。
どうか、下々の者たちをお許しください。
精霊王 カートゥ』
………。不快……とは思っていないけど……。嫌われているのではなくて、安心したわ。
「レリーナは精霊文字を読めるのか?」
「ええ、まあ」
レリーナはそう答えて、苦笑しながら、丸めた紙切れを静電気で火をつけた。紙切れは一瞬のうちに灰と化してしまった。
「なんて書いてあったんだ?」
「教えません。絶対、言いませんから!」
レリーナはそっぽを向いた。よし、この授業は諦めよう。
「仲がいいな、二人とも。僕も混ぜてくれないかい?」
「俺も俺も!」
「リーナちゃん。もちろん、私も混ぜてくれますよね?」
「私も!」
「現在、授業中です。お話は休憩時間にお願いしますね?」
ロキが注意してきたので、レリーナのまわりに集まっていた方たちは蜘蛛の子を散らすように離れていった。
「あら〜?主席なのに、精霊召喚できないの〜?」
「ごきげんよう、リベット皇女殿下。どうやら、私は応じられにくいようです」
「ふ〜ん。つまり、精霊に嫌われているっていうことね」
嫌われてはいないわ。畏れ多いから、召喚されてくれないの。レリーナは嘘っぱちの笑みを貼り付けて、黙っていた。
「ま、今後、主席として恥じないようにしなさい?」
「あら、そうですか。しかし、この授業では、成績に関わらないそうですよ?」
レリーナは気にも止めない態度で、言い返した。リベット皇女はそんな態度にイライラした。
「はあ?!平民の癖に、生意気な!」
「はいはい、どうせ、私は生意気な娘ですよ〜」
レリーナはめんどくさそうに肯定した。またしても、リベットの怒りは積もっていった。
「何なのです?その態度!私は―――」
「『皇女なのよ!』でしょ?昨日もお伝えしましたが、ここでは身分を笠に着ることは学則違反ですよ」
リベット皇女は唇を噛んで、レリーナを睨んだ。
「っ!覚えてなさい!」
ベタな捨て台詞を吐いて、離れていった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
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あと、今回は敬語を使ったのですが、間違った使い方をしていましたら、ご指摘してくれると、ありがたいです。
【誤字脱字は俺らは、気づかないもんだからな】




