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入学式と歓迎パーティーを終えて(それぞれの視点)

遅くなってしまって、申し訳ありません!

「ただいま、トアさん、ノアさん!」

「おかえりなさい、レリーナさん」

「おかえり!楽しかった?」

「ええ、とっても」


 寮までルーベンとガウランにおくってもらった。夏季休暇まで会えないだろう。寂しい……。


「どうしたの?沈んだ顔をしちゃって」

「ま・さ・か、まだ、親離れできてないのですか?」

「そそ、そんなわけないわ!」


 レリーナは激しく動揺した。その様子を見たトアとノアは顔を見合わせた。


((図星(ビンゴ)))


「まあ、ずっと、師匠と一緒でしたしね〜」

「仕方ない、仕方ない!そういうものよ!」


 トアとノアは優しく励ました。


 二人に手伝ってもらい、着替えを済ませた。レリーナは一人、ベッドに倒れ込んだ。トアとノアは、軽食を取りに食堂へ行ってもらっている。


(リベット皇女殿下だっけ?彼女が帝位についたら、国が崩壊するわ)


 レリーナは仰向けになって、パーティーでの出来事を思い出していた。


 リベットに対する評価はだだ下がりだ。


(まあ、エル様は…よくわからないわ…。リベット皇女殿下よりはマシなのはわかったけど……)


 比較できない。彼女はそう結論づけた。


 ふと、グラディオの顔が浮かんだ。


(随分と、変わっていたわね。まあ、いいことじゃない?)


 数年前とは段違いね。きっと、いい紳士(ジェントルマン)になる気がするわ。


 レリーナはゴロゴロとベッド端から端まで転がった。


(そういえば、委員会・部活・クラブのうちどれかに一つは入るように、と先生がおっしゃていたわね…。風紀委員会に入ろうかしら?)


 どうせ、貴族の方々が権力を振るっているのだろうし。ただの生徒より、一介の風紀委員なら、注意されても文句言えないはずよ。


「レリーナさん、サンドイッチがおいてあったので、もらってきたよ〜」

「一緒に食べませんか?」


 食べる!レリーナはトアとノアとテーブルを囲んで、軽食を取った。


.。・**○**・。.。・**○**・。.。・**○**・。


 あ〜あ、面倒くさかった。エルも面倒くさいけど、それよりも、リベット殿下が……。思い出しただけで、頭が痛くなってきた。


 グラディオは自室のソファーに身を投げた。執事は紅茶を入れて、部屋を出ていった。気を遣ってくれたのだろう。


 だらしなく、背にもたれかかって座り、ぼーっとしていた。いつの間にか、紅茶の湯気が消えていた。


「彼女は相変わらずだな。皇女にまで、食って掛かかれるとは、思いもよらなかったけど……」


 簪一つで、自分を守ろうとしたレリーナの後ろ姿がまだ、脳裏に焼き付いている。髪型を崩してまで、助けようとした彼女には感心するしかない。


(なぜ、そこまでできるんだ?髪型は普通、気にするだろうに……)


 グラディオが関わってきた女性は、いつもそうだ。自身の見た目を気にして、化粧、ドレス、アクセサリーから髪型、仕草まで気にしていた。なのに……


「何者なんだ?彼女は」


 貴族令嬢のように優雅で、時に子どもっぽく、時に勇気のある、時に戦士のように立ち回る。コロコロと変わるレリーナはグラディオにとって新鮮だった。


「ただ、リベット殿下に突っかかったから、明日からレリーナの身が危ないかもな……」


 絶対に、側にいてやろう。そう決心して、紅茶をぐっと一気飲みをした。紅茶は温かさの欠片もなかったが。


.。・**○**・。.。・**○**・。.。・**○**・。


「父上と母上……特に母上からレリーナ嬢のことを聞いていたけど……」


 アレは流石だった。


 誰も動けなかった、止められなかった中、いち早く気づいて、行動に出た。彼女の行動力にエルハントは圧倒された。


(ましてや、武器がない中で。あれは確か……簪だったよな?髪飾りの。よくもまあ、アクセサリーを武器にしたものだ)


 姉のリベットが繰り出した風の剣は、それなりにスピードがある。それを()()()()()打ち落としたのだ。


「ますます、欲しくなるよ、軍に。あ、声をかけたはいいが、グラディオとの仲を取り持つ以外、何も話してないな」


 声をかけておくっと言いながらも、全く、入軍についてきいていない。らしくなさに、頭を抱えた。


「ま、リベット姉上は、確実にレリーナ嬢を嫌っただろうけど」


 明日、入軍について、聞いてみるか。


(そんなことより、今日のシャルルは可愛かったなぁ)


 レリーナのことはどこへやら。今日のシャーロットの様子を日記にしたためていた。


.。・**○**・。.。・**○**・。.。・**○**・。


「流石、僕の娘です。そうは思わないですか、ガウラン?」

「そうだな。絶対、上手くやっていけるぜ、レリーナちゃんは」


 宿に戻ったルーベンとガウランは歓迎パーティーを振り返りながら、晩酌していた。


「なぜ、あの時、()()()()()()のです?」

「そういう、師匠こそ、何故だ?」

「あそこは子どもの成長の為の場所です。レリーナが動いたので、手出しはしないようにしたのですよ」

「我は、アレは子ども内で解決すべきこと、と判断した。だから、動かなかった」


 数秒の沈黙の後、ルーベンは口を開いた。


「そうでしたか……」

「師匠…。具合でも悪いのか?」

「いいえ?レリーナがいないので、ちょっと寂しいと思っていたのですよ」

「つまり、子離れできていないと…」


 ルーベンは何も答えず、苦笑いした。いつかすることは分かっていたが、いざ、してみると、できないものだ。


「それで?貴方はいつ、公務に戻るのです?」

「翌朝には、出ていく。これ以上、抜け出したら、城に監禁されかねないからな」


 ガウランは遠い目をした。ルーベンは不良弟子に頭を抱えた。


「次は、公務を全部、終わらせてから来てくださいね?いいですね?」

「ははっ。善処する」


 ガウランは笑って答えたが、ルーベンに睨まれたので、いたずらがバレた子どものように身を縮めた。


.。・**○**・。.。・**○**・。.。・**○**・。


 コンコンコン。扉をノックする音が聞こえた。


「どうぞ。入って」


 「失礼します」と入って来たのは濃紺の長髪を後ろに束ね、黒のローブを羽織った青年が入ってきた。


「よく来た。ささ、ソファーにでも座りなさい。紅茶でいいよね?」

「いえ、心遣いは恐縮ですが、結構です、学長。あと、私的な用事で呼び出さないでくれませんか?」

「フォッフォッフォッ!すまないねぇ、ロキ君。アレを見たからには、感想を話し合いたくてね」


 その必要はあるのでしょうか。ロキは微妙に思いながらも、ソファーに座った。モースも正面にどっかりと座った。


「レリーナさんは、流石だったと思います。Sランクに手がとどく実力者でしたし」

「他の生徒よりも戦闘時の行動力と対応力は高いだろうね」


「そして、この学園のことをよくわかっている。そう思わないかい?」


 ロキは黙って頷いた。それを見たモースは満足そうだ。


「一つ、心配なことが……」

「何が心配なのじゃ?」

「リベット皇女殿下派の令息令嬢からの攻撃です」


 モースは思い出したようで、頭を抱えた。


「忘れとったわい……。帝位争いをここでは避けてほしいの」

「余談ですが、レリーナさんがつくとしたら、どちらなのでしょう?」

「エルハント皇子殿下派かの。アレのせいで、評価はエルハント皇子殿下の方が高くなったはずだから」


 現在、二人が考えていることは、同じだ。


((平穏に生活をおくってほしい))


.。・**○**・。.。・**○**・。.。・**○**・。


 王宮内のサロンにて。


「レリーナちゃん、ドレス、似合ってたわね!」

「そうですね、エリザベス陛下!あの子、きっと、どんなドレスも似合いそうだわ!」

「もう!陛下呼びをしないでよ〜!」


 ぷくぅっと頬をふくらませるエリザベス。それを見て、金髪碧眼の女性が困ったように笑っていた。


「エリィ、やめてあげなさいって!ソフィアが困っているでしょ!」


 そう言って、オレンジの髪をもった女性がエリザベスを優しく撫でた。


「う〜。わかったよ〜、ステラ〜」


「でもさ、レリーナちゃん、可愛いから、どうなるか心配ね」

「ステラもそう思うの?私もよ」

「あら、偶然ね。私も、心配なの!」


 三人は笑いあった。それを見ていた夫組は……


「確かに、可愛いけどさ……」

「俺たちは、肝の座った方に気が言ってしまうんだよな……」

「どう、教育したら、ああなれるのでしょうか?僕の息子にもしたいですね」


 それを聞いたソフィアは近づいてきた。


「あら?アリク様?グラディオは、あなたに似たのですよ。元が違いますから、無理でしょうね……」


 ソフィアは頬に手をあてて、呟いた。アリクは「そうか…」だけ言って、それ以上、何もいまなかった。


「にしても、アリクの息子のときだけ、他人行儀だったのは、驚いたな」

「まさか、二人ともそうなるとは思わなかったわ!」

「俺もだ、エリィ。まさかだが、二人とも初対面のときのことを引きずっていたのではないか?」

「エドワード様。それ、ありえますわ。私の息子はそういう子だもの」


 ソフィアの発言に皆、頷いた。


(僕に似てしまったからな〜、ディオは)


「ねえ、落ち着いてきたら、レリーナちゃんをお茶会に呼ばない?」

「いいですね!その時は、私も息子の婚約者のアリアも呼んでほしいわ!」

「シャーロット嬢もお呼びしたらどうでしょう?」


 女性陣はお茶会について話し合い、男性陣は何も考えず、お茶を飲んでいた。

【ここまで読んでくれて、ありがとな!】

評価やブクマをしてくれると、嬉しいです(^^)

【既にしてくれた方々、本当に、感謝する!】

これからも応援、よろしくおねがいしますm(_ _)m

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