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強☆人☆類 〜握力がインフレした俺はゴリラの異能使い〜  作者: 徳島静
第4章『ゴリラゴリラゴリラの名は?』
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GORILLA ファイナルウォーズ

「でぃけいどおおおおおおおお!!」


大家さんの奇声を背にアパートを去ると駐車場には真冬がいる。

何かを待つような表情をしている。それは委員長も同じだ。


とうとうその時が来てしまったのか、と俺は腹をくくる。


「さあ宇治春くん」


委員長のその言葉を最後に二人は黙る。


緊張しているようだ。

二人とも懇願するようなまなざしである。

こんな美少女二人に、その様な反応をされるなど俺のようなゴリラにとって至上の幸福であるといえよう。


だから俺ははっきりと答えを言う。


「俺と付き合ってくれ」

「でぃけいどおおおおおおおおお!!」


俺がどちらに答えを言い渡したか。

この字面でわかったら、その人物は名探偵を通り越してアカシックレコードにアクセスできる者であろう。世界の真理に到達しているといえる。


「どうして?ねえどうしてわたしじゃないの?納得のいく理由を教えて!」


そう。俺は委員長を選んだ。

当の委員長は放心状態で真っ白になって口からよだれをたらしている。先ほどの発言を撤回したいほどの醜さだ。


「いや普通に考えてさ。数年後しに想ってくれてて、ずっと影で支えてくれてた黒髪ロングのおさななじみがいたらそちらを選ぶの当然だろ?大してお前……ずっと言いづらかったけどなんかこう、ぽっと出感あるじゃん?」

「わたしはママよおおおおおおお!!」


真冬は血の涙を流す。

いったいどういう修羅場なんだこれ……


「おいおいお母さんに欲情とかさ……俺進研ゼミガチ勢じゃないし。普通にないわ」

「でもこれまでの展開的にわたしすごくメインヒロインみたいな扱いだったじゃない!それなのにこの仕打ち!どういうこと!」

「展開とかメインヒロインって……ははっなろう系の読み過ぎじゃないか?(笑)」

「あなたにだけは言われたくないんだよおおおおお!!」


キレる若者。

やはり鉄分が足りない。

毎朝のミロは欠かさないようにしないとな。


「あの宇治春くん」


そこでようやく委員長の魂が死後の世界から戻ってきたようだった。

ほほを染め、涙をぬぐいながら


「うれしいです。大好きです」

「俺も……ありがとう。ずっと支えてきてくれたことに気がつけなくてごめんな」

「これからもずっと一緒ですよ」

「でぃけいどおおおおおおお!!」

「たあんあっぶ!!」


真冬のとび蹴りが委員長に刺さる。


「せっかくいい感じに終わりそうだったのに何なんですかあなたは!!」

「もっと早く気がつくべきだったわ。わたしたちは強人類……戦うことでしか分かり合えない。握力をぶつけることでしか奪えない!戦いなさい!この胸板ゼロから始まる黒髪女!!」


ひどく幼稚な罵倒だ。

やれやれこの程度で委員長がのってくるとは思えないが、ここは俺が間に入って穏便に収めるところか。


「……なんつった?この胸の脂身しか取り柄のない下等生物が」


激おこじゃん!

マズイですよ夏海さん!


「やるの?やらないの?」

「望むところです!アグラヴェイン卿の名にかけて!あなたを倒します!!」

「死ねええええええ!!インテリがああああ!」


戦いは始まってしまった。

握力と握力のぶつかり合いに混じって俺は叫ぶ。


「止めろ!俺のために争うな!!」

「うるさいんだよ!この全裸ゴリラ!わいせつとわいせつのコラボレーションが!!」

「お兄様気取りですか?似合わないので黙っていてください!!」


ガチでへこむ罵倒をくらいその場にすわりこむ俺。

この頂上決戦バトルはしばらくやまないだろう。

ぶつかりあう握力は成増の地形に大きな変動を与えてしまうがもうなんか面倒くさいので気が済むまで戦えばいいさ。


「やっぱり秋子にする?」


いつの間にかうるうるおめめの上目遣いで幼女姿の大家さんが、ちゃっかり俺の腕に絡まりながら問う。


「死ねば?」

「でぃけいどおおおおおおお!!」


大家さんは泣きながら去っていく。


しかしこの戦いの規模。いよいよ見過ごせなくなってきた。

スマホからは緊急地震速報が流れ、大気は不安定となり、雷の龍が成増の空を泳ぐ。ついでに近くの水が全部オランジーナに変化した。


恋は戦争などではない。

こいつらの恋は黙示録だ。


やれやれ……どこまで行っても戦いの波に飲み込まれるのが俺の宿命なのか。


「よーしいっちょ成増を救いに行きますか」


今度ばかりは生きて帰れるかわからない。

俺はゴリラの姿になると死を覚悟しながら二人の美少女に割り込んでいくのであった。

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