↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
強☆人☆類 〜握力がインフレした俺はゴリラの異能使い〜  作者: 徳島静
第4章『ゴリラゴリラディエリ』
PR
42/53

野望

「委員長……お前。お前!なぜ言ってくれなかったんだ!」

「友情を……壊したくなかったんです」

「壊れるものか!たとえ小学生男子の複雑な心境を持ってしてもアグラヴェイン卿は真の友だった!!お前は間違いなく俺の心の友だったんだ!!」

「それでも私は!!」


委員長があばらを抑えながら立ち上がる。吐血しているところを見ると骨が何本かやられているだろう。


今の委員長を動かすものはきっと信念――俺の親友としてのプライド!


「怖かったんですよ!関係が壊れるのが!典型的な気持ち悪いイキリキッズ小学生だった宇治春くんに女だと知られたら!きっと私は避けられていた!!」


……お前本当に俺のこと好きか?


だが的を得ているのも確かである。

性に目覚め始めた小学生男子にとって同年代の異性とはすべからくえっちであり、その異性と親しげに接することなど自分がえっちだと叫んでいるようなものであり、言語道断!!


その様が世間へと明るみになれば「お前ら好きなんだぁ〜ふうふぅ〜www」と揶揄されることは自明の理である。


「知られなくても良かったんです……だって私は宇治春くんと一緒にいられるだけで幸せだったから。誰にも……宇治春くんにさえ知られなくても……私は幸せでした。一人じゃないって心から想たんです。だからっ!!」


委員長は内ポケットから何かを取り出し掲げた。


「なっ……この輝きは?」


邪悪なる漆黒の光を放つソレに大家さんも言葉を失っている。

というか本当に何だか分からなくて困惑している節すらある。無駄に輝いてて俺にもよく分からねえ。


「このシルバニアファミリー〜悪辣なる妖精王〜のお父さんに誓って!!」


それは、



シルバニアファミリーであった!!



かつて俺が授けたシルバニアファミリーはお母さんだけではない。

父母、息子、娘の四人家族であったのだ。


お母さんは砕かれて失われたが、それでも受け継ぐものがある限りファミリーは不滅である。


「握力が……強い握力が!この女とかれぴっぴの間の絆がこのような握力を生むというの!?」

「悪辣なる妖精王の力に倒れなさいっ!!シルバニアインパクトッ!!」

「なんの!!ダーティー・ローズ!!」


シルバニアが放つ悪しき輝きと大家さんの禍々しい握力が交差する。


「なんて握力のぶつかり合い……05年のハリケーンカトリーナ以来の暴風だわ!」


意味のわからない真冬の例えは理解できなかった。

だが確かにこれはすごい戦いだ。

握力のぶつかり合いにより暴風とも呼べる大家の乱れが辺りを包む。


熱いぜ。


いつのまにか力士が戦い合う国技館を超える熱量まで発生している。


「いい加減灰になってください!!」

「幼女の三原則をなめるな!!退かぬ!媚びる!ぶち殺す!!」

「くっ!!これ以上は……」


臨界点を超えた握力は反発し、お互いに返っていく!

行き場を失った握力が爆発するのに時間はかからなかった。


俺は衝撃に備えて頭をガードしながらうつ伏せに倒れ込み、口を開けておく。

隣では真冬が同じ行動を行なっているあたり、こいつも手榴弾や閃光弾に対する心得があるようだ。

この場での適切な対処かどうかはこの際疑問が残る中、衝撃が通り過ぎ、辺りを土煙が覆う。


「くっ……どうなった?」

「けほっ!けほっ!なんなのこの展開」


真冬を抱え上げ立ち上がる。

やごて視界が開けると、満身創痍の両者が見える。


この戦い……痛み分けということか。


「待っていたぞ……この時をな」


やたらカッコ良い声が聞こえる。

それは変態の格好をしたポケカおじさんのものだった。


「四つの握力――姿形を変える握力、闇の握力、幼女に変身する握力、そして――ゴリラのパワー」

「何言ってるんだあのおじさん?」

「ちょっと頭がおかしいんじゃない?」


辛辣な真冬の評価におじさんは眼鏡をくいっとあげながら語る。


「何かを成し遂げるものという者の思考は得てして凡人には理解できぬものだよ。まあ、その無礼な発言は許そう。君たちはこれから行われる大いなる計画の礎となるのだからね。むんっ!!」


完全に置いてけぼりの俺たちをよそにポケカおじさんは筋肉を肥大化させ、服を破り、ブリーフ一枚になりながら俺たちに手をかざす。


「これは……ち、力が!?」

「わたしたちの握力が吸い取られていく!?」

「これが闇とゴリラの力……感じるぞ。体が完成していくのを感じる!!」


どうやら吸い取られているらしい俺たちの握力を受けて、おじさんの体は変化していく。


髪が伸び、体つきが変化し、髪が淫乱な桃色に染まる。


これは……女体化しているのか?


「秋子のかれぴっぴに何をした!!」


どこから出したのか分からないが大家さんが日本刀でポケカおじさんに斬りかかる。

相手が一般人なら端的に言って殺人未遂だが、ポケカおじさんは指先一つで受け止め、声帯が変化したのか幼女みのある声で話す。


「全力ならおじさんの金の玉をとるのもわけなかっただろうね。残念ながらおじさんの金の玉は永遠に失われたし、弱ったクソババアなど相手にならのだよ!」

「てめえ!!秋子は11歳だって言ってんだろ!!」


日本刀に込める殺意はおそらく巨大マックス。

だがおじさんは大家さんを腹パンすると、握力を奪い取って吹き飛ばす。

みんな大家さんに腹パンしすぎだろ。

慈悲とかないのか?


「幼女みを失ったお前などただの行き遅れに過ぎない」

「よ、幼女になれない!?」


元の年齢にもどり、いろんな意味で無力化してしまった大家さん(アラサー)は人生の終わりのような目をして動かなくなった。


そうしておじさんは膝をつく委員長の前に立ちはだかる。


「そのシルバニアファミリーと君に宿る変身の握力はこのおじさんが預かろう」

「どういうことですか?あなたは一体?」

「それはおじさんが完成した後に教えるよ。さあ、これでおじさんは麗しき幼女になれる!!」


委員長の握力を奪ったおじさんは、ピンク髪八重歯ランドセルリコーダーパンチラハイニーソックス貧乳口癖ふぇぇという――全世界のロリコンの怨念が集結して出来たようなあざとすぎて胸焼けする幼女へと変身した。


何が起きているのか?

神ですら泣きすであろう予測不可能展開だ。

カオス理論ですらきっと紐解けない。


「おじさんはね……ずっと幼女になりたかったんだ」

「は?」


この場にいる全員が同じ台詞を吐いた。

こんなにも気持ち悪く理解に苦しむ発言は性癖開発アプリ(グラブル)でもそうそうお目にかかれない。


「ちやほやされたかったんだ。生意気なメスガキになって、パンツを見せつけてやりたいとずっと思ってた。おじさんはね……変態だったんだ」


言わなくても分かる。


犬を含めたこの場にいるもの全てがドン引きする中、おじさんはその野望の全容を徐々に語り出す、


「飲む麻薬――LL(リトルリリカル)を開発したがアレは欠陥品だった。幼女にはなれるが自我が失われ、心まで女の子になってしまう。おじさんの大いなる野望を叶えるには、それではいけない」

「あなたは……何がしたいの?」


マジで分からないというトーンで真冬が問いかける。

メスガキに拍車がかかったおじさんは生意気な眼差しで俺たちを見下す。殺意を覚えるには充分だった。


「おじさんはね。全成増民を幼女にしたいんだ。この街を幼女の楽園――いわばエデンへとつくりかえ、メスガキの幼女王としてこの街を支配したいんだよ」

「狂っています」

「第二次成長期を過ぎた女は黙っていたまえ。少年!君を見つけた時におじさんの壮大なる計画は始まってしまったんだよ!おじさんを狂わせたのは君だ」


こんなひどい責任転嫁は初めてだ。

相手が変態なのが尚更ストレスが溜まってくる。


「初めてカードショップで君のゴリラの力を見て可能性を感じた。以来おじさんは病めるときも健やかなるときもずっと君をストーキングして機会をうかがっていたんだ。少年追いかけるなんて始めは苦痛でしかなかったけど……ふふっそれも段々と楽しくなってきたよ。おじさんはポジティブだし、変態だからね」

「やべえ寒気してきた」

「色んな生き物にストーキングされてたんだね君」

「そしておじさんの計画は現実的になった。少年に群がるメスどもとBBAを見つけ、その全ての握力を奪えば幼女のボディを手に入れることすら可能であるという結論に至ったのだ!!」


どこがどうなってその結論に至ったのか?

肝心の理論がブラックボックスすぎて正気を疑うが、現実問題おじさんは俺たちの握力を奪って幼女になっているので今度は自分の正気を疑うしかなかった。


「そして裏で暗躍し、サイコパスのBBAをけしかけることで君たちを、お互いに弱らせた。握力を奪うためにね。君たちはおじさんの手のひらで動かされていた成増の中のマリオネットに過ぎなかったのさ」


おじさんはリコーダーで次元を切り裂くと、その先にあるよく分からないもやもやした空間に消え去っていく。


「そこで見ていたまえ。おじさんのつくる――幼女しかいない街を」


そうしておじさんは消えた。

満身創痍の俺たちは宇宙が六巡したくらいの超展開も相まってしばらく誰も話せない。


「うっ!?」

「どうしたんですか!宇治春くん!」


突然の痛みから視界が歪む。

まともに立てなくなった俺は、地面に倒れ込み、俺を心配そうに見つめる三人の女性の表情が驚愕に変わったのを知る。何故?


「ばぶ?」


おかしい。


理由を尋ねようとして自分が発した言葉は赤ちゃんのものだ。

俺は赤ちゃんプレイなど望んだことはないのだ。


「あのね……冷静に目の前の現実を受け入れてね」


なんとも言えない表情の真冬が手鏡で俺を映す。


「あ」

「宇治春くん……私たちもあなたと同じくらい理解に苦しんでいますからね」

「あ」

「幼女になれた大家さんが言うのものなんだけど、どういうことなの?」

「あ」


こんなショッキングな展開を目の当たりにするのは、ウォーキングデッドのビッチ嫁が死んだ時以来だ。


「赤ちゃんじゃねえええええかあぁぁぁぁ!!!!」


鏡に映るのは赤ちゃん。


俺は赤ちゃんになってしまった!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。