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強☆人☆類 〜握力がインフレした俺はゴリラの異能使い〜  作者: 徳島静
第4章『ゴリラゴリラディエリ』
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ブロリー

「見ろよやつの握力アレシアメーターが一瞬でハッピーターンの粉みたいになっちまった」


あいやんマンの持ち出した機器は一瞬で粉微塵と化し、成増の風となって消えていく。


高威力の握力は物理に干渉する。

成増においての常識である。


「おそらくはあの年齢がやつの人生と握力の最盛期なんだろう」

「それより少年、腕は大丈夫かね?」

「ああ、問題ない」


ポケカおじさんが負傷した俺の腕を気遣うが、少年漫画で身につけたよくわからない応急処置を用いる。


ボキッ。


骨はくっついたのだ。


「そうだ……思い出した。あれは……秋子が小学生の頃」

「あいつ心の声だだ漏れだぞ!」

「一番めんどくさいタイプの女だな。かまって欲しいだけなんだろう」

「秋子はモテモテだった」

「戦いながら話しはじめた!器用なやつだ。多分長くなるぞ」


あいやんマンの言う通り、その後の台詞はうんざりするほどの長文だった。





「秋子。二十代女性。表向きはアパートの大家さんにして絶世の美女であるが、その過去は壮絶であった。秋子にとっての悲劇は、秋子がリアル小学生だった頃から始まる。「おい。おめー生意気なんだよ」クラスを占めるボス女はそう言った。当然である。秋子がクラス中の男子をメロメロにしてしまい、やつの取り分が必然的な減ってしまったからだ。ヤクザがシマにこだわるようにやつにとってはクラスの男子(特にイケメンの澤田くん)がそれだったのだろう。「ブスのひがみ……醜いよ?」日高里菜ボイスでそう答えた秋子は、その日から理不尽な嫌がらせの数々を受けることになる。暴力、無視、便所にいれば便所水を頭から被せられる、自宅にスラムダンクのエンディングのようなストリートアートを書き殴られる、言い切れないほどの嫌がらせは中学、高校、大学と続いたが秋子には夢があった。それは夢というより黄金の志し――すなわち石油王か皇太子のかれぴっぴをゲットすることであった。苦痛にして暗黒の学生時代を終えた秋子はその後社会人になると、親のコネで超優良企業に就職し、ここからは華々しい人生が待っている――誰もがそう思っていた。だが!!秋子にとっての悲劇はここでも終わることはなかった。研修も終わり、部署に配属されたある日のことである。同僚のメスから「秋子飲みに行こうよ♪」と誘われるが初対面にも関わらず下の名前を呼び捨てにするその傲慢な態度に怒りを覚えた秋子は「失せろ。二度と私の前に姿を現すな」と小太刀二刀流クラスの罵倒を浴びせた。すると秋子は社内でハブにされた。行き場を失ってしまった絶世の美女が行き着く先は退社しかなく秋子は実家へと戻るが、そこでも秋子は悲劇のヒロインと化す。「金と収入源をやるから二度とその薄汚い面を見せるな!!一族の恥さらしめ!!」そんな言葉とともに突き放された。秋子は世界から切り離されたのだ。アパート経営は、うまくいき金にはまるで困らない。だが人間の温もりだけはホストクラブでしか得られないままだ。秋子は想う。「心は乾いたまま……かれぴっぴが欲しいっ!!愛が欲しいっ!!愛のためならば、この心鬼にしてみせようぞ!!」修羅になる決意をした秋子を止めるものは誰もいなかった。秋子はこの人生というバトルファイトを戦い抜く決意を固めたのであった。そして……そしてアラサーになっても独り身のまま!!今に至る!!」





言いたいことはたくさんあった。

全てが自業自得であること。

口頭でモノローグを語り切るその精神性。

傲慢などという言葉では語り尽くせないその傲慢さ。

文章、いやコミュニケーションの基本を全て無視した一方性。


「めんどくさい!!」


言いたいことは全て真冬が端的かつ辛辣に言ってくれた。


「負けるわけにはいかないの!秋子は負けられないの!!ここで負けたら秋子は秋子をゆるせないからっ!!ストォーーームブリンガー!!」

「うっ!?」


大家さんのリコーダーが真冬のみぞおちを突く!

その場に崩れ去った真冬に幼女大家さんは威圧感たっぷりに近寄る。


「どぉした?この程度か?秋子は成増で生きてきた中で数々の英雄と戦ってきた……小娘ごときに遅れはとらんのだ!!ぶるぅわあああああああ!!」

「真冬!危ない!!」


折れた腕をくっつけた俺は今まさに振り下ろされんとするソプラノリコーダーに割って入る。


絶体絶命。

再度骨折は免れないと思われたその時であった!


「加勢いたす!」

「アグラヴェイン卿!!なぜここに!!」

「貴殿の危機に駆けつけるのは当然のこと」


アグラヴェイン卿は大家さんの重い一撃を受け止める。

大家さんはマフィアの女ボスもビビるくらいのしかめ面と舌打ちを見せると、


「メスの匂いがする。貴様……かれぴっぴに付き纏う女だな?」


そう言った。


「何を言うのだ!貴殿!私は円卓の騎士であるぞ。断じてそのようなことは――」

「黙れアバズレがああああ!!秋子と対等に話したいなら面晒せ!!面晒してけえええ!!それが礼儀ってもんだろうがよぉおおおおお!!」


秋子は……突然キレた。

アグラヴェイン卿に掴みかかると、腹に膝蹴りを入れ、後頭部を掴み、地面に仰向けに倒れさせると馬乗りになって殴りかかりながら叫ぶ。


「戦場で秋子のかれぴっぴに色目を使う女がいる時はなぁあああ!!その女の粛清が確定した時なんだよぉおおおお!!」

「ごぼっ!!」

「ほぉこれは意外なやつだったな。貴様……先程の女だな」


アグラヴェイン卿を覆うモヤモヤが無くなる。

いつのまにか大家さんの口調が原型を留めないほどに狂人のそれとなっていたことも驚きだったが、白日の元に晒されたアグラヴェイン卿の正体も驚きだった。


「い、委員長!?」

「み、見ないで!!見ないでください!!」


数年越しの謎が明らかになる。

アグラヴェイン卿の正体は委員長だったのだ。


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