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強☆人☆類 〜握力がインフレした俺はゴリラの異能使い〜  作者: 徳島静
第4章『ゴリラゴリラディエリ』
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トビアス

「これを見て!」


真冬は誇らしげに首から下がる名札のようなものを手に取って見せる。


妨害カード。


名札にはそう書かれている。


「つまりそういうことか……このドキドキHeartトゥHeartデート作戦は力技が許されているということか」

「察しがいいわね。そうこのカードを持つものは一度だけ他人のデートを邪魔する権利が得られるの。だけどその必要もないかしら?」


俺の隣で白目を向きながら「アンリミテッドブレイドワークス」の詠唱を唱えている人を、真冬は冷たい目で見る。


「毒ガスを注入されたドブネズミよりも震えてる。何もしなくても死期が見えるわ。今なら……今なら……間違いなくころせる!!」


いや、冗談なんだろうけど殺すなよ。


「そこら辺にしてもらおうか?」


そして誰だよ。また変なの登場かよ。

行き先を塞ぐ真冬の奥からゴーストチックな格好をしたマッチョたちが数人、拳を鳴らしながら現れる。


「一応聞いておくが……誰?」

「このテーマパークのキャストにして最強の強人類集団であるぞ」

「好き勝手しやがって!!俺たちもプロなんでね。パークの平和を乱すモンスターカスタマーには容赦しないぜ!」

「握力で分からせてやるぜ!!貞伽倻子の仇は俺が取る!!喰らえUMAウルトラスパーク!!クリティカルエーーンドッ!!」


蛾男のユーマっぽいやつが握力の気弾を放つ。

秒で暴力に走るこの成増の治安の悪さよ。接客業ですらこの民度の低さである。


だが気弾は前に出た真冬の拳で弾かれる。


「舐められたものね?わたしが誰だかわかっている上での狼藉なの?」

「知らんな……邪魔するものは『激・滅・ダイッ!!』それがパークと!!成増の掟!!たった一つの非情なルールよ!!」

「待てモスマン!!あの女見覚えがある!!危険だ」

「危険なわけあるか!!おっぱい!金髪!碧眼!王道の性癖をそのままトレパクしたような……どこのラノベにも一人はいそうな女だぞ!!俺が殺してやるぅううう!!」

「よせええええモスマーーンッ!!」


そしてモスマンは敗北した。

当然の結果である。

折れたボウガンで殴られ、地面にめり込んで動かない。


「成増のアーチャー」


その名を口にしたのは誰だったのか。

地面にめり込んだモスマンの後ろでキャストたちの空気が明らかに変化する。


リーダー格らしきネコミミの紳士が手早く指示を出す。


「ウルフマン俺が合図したら前に出ろ」

「イエス、ワン!」

「ガスー援護しろ。場合によっては銃火器の持ち込みも許可する」

「サー」

「トビアス!お前は右だ」

「ワカリマシタボス」


なんかやたらマニアックな幽霊までいたな。最後のやつカタコトで全裸の黒人だったんだけど、ホラー要素一ミリも関係ないただの不審者だと思うのは俺だけか?


「やれ!!ミステリーキャストの陣形を崩すな

!!」


不審者がいっぱい突っ込んでくる。


「どうする?委員長?」

「ぁぉぁぁあ゛ああああ゛!!」


壊れている。

それはもう可哀想なくらいに壊れている。


こんな変態共に関わっているより、彼女をここから連れ出す方が先だ。

なにしろもう委員長の口からは吹き出す泡もない状態なのだ。


「行って!!ここはわたしが食い止める!!」

「お、お前……何故そんなRPGの中盤辺りでラスボスから仲間を守って殺されるやつみたいなことをするんだ?ここにきた目的をもう忘れたのか?そこまで馬鹿だったのか?」

「ガチ死人が出たら色々とマズイでしょ!その女もう限界だよ!」

「余所見してる場合か!!ロザリオ・インペーーール!!」

「くっ!!」


四人がかりで無駄に発光する大技を食らった真冬であったが、なんとか両手で防ぎ切る。


「このわたしを後退させるなんて中々じゃない」

「一流のテーマパークに勤めるキャストは、握力も一流でなくてはならんのだよ」

「本物のプロね。その心意気に免じて特別に再起不能にしてあげるわ」

「ほざけ……小娘が。貴様が成増最強であったのはとうの昔よ。恐るるに足らんわ!」

「ボコボコ二レイプシテヤルゼ」


トビアス……けっこうクズだな。


「生きろよ!!」

「あなたたちもね」


熱いセリフを交わさなければいけないような気がしたのでこう言いました。

死体同然の委員長を半ば引きずるようにして俺は逃げる。


「しっかしどんだけ広いし、入り組んでんだよ。もうここ迷宮だろ」

「ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ〜!!!!」

「きゃーーーっ!!ロリコンのお化けですっ!!」

「やっだあーーーばぁあああああ!!」


無駄に道が入り組んでたり、途中別のキャストに道を塞がれ、委員長が相手をボコボコにするというハプニングがあったものの、俺たちはなんとか出口にたどり着く。


「また来てくれないとけんぞくぅ〜にしてあげないんだから!」


出口で非常に尊いお言葉をいただき、外の光を浴びる。


少し歩いた先にあるベンチにたどり着くと、委員長は三日間徹夜したSEばりにどかっと崩れ去るように座る。


「すみません。取り乱しました」

「ホントだよ」


それ以外言葉が出てこないよね。

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