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強☆人☆類 〜握力がインフレした俺はゴリラの異能使い〜  作者: 徳島静
第4章『ゴリラゴリラディエリ』
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サイレント成増ニュートランスレーション零番館ラクーンタワー

「絶対に死なす!!」


サイレント成増ニュートランスレーション零番館ラクーンタワー入り口にはそんな物騒な看板が立てかけられている。


ここは成増最大級のお化け屋敷で敷地面積は東京ドーム四個分程度だ。

外観は心霊スポットで有名なウィンチェスターミステリーハウスを基にしているらしく歪な外観をした洋館といった感じ。

行方不明者すら現れそうなこの場所には、成増中からカップルが訪れる。


「けっこう怖そうだな委員長!」

「ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ」


俺の隣にいる人が一番怖かったか……。

委員長は虚ろな瞳で目の前のサイレント成増ニュートランスレーション零番館ラクーンタワーを見上げながら自らが怪異と化している。


「やっぱやめとく?」

「ぽぽっ!!ぽぽぽぽぽぽっ!!」


もはや八尺様そのものとなった委員長は首を何度も横に振りながら俺の手をがっしりと掴む。

目の前の建物よりも余程こちらの方が呪われそうである。

あとそんなに恐けりゃ入るのやめればいーのに。


「学生二人で」


ガタガタ震えてるクソ雑魚委員長は使い物にならないので、俺は二人分の入場券を購入する。


「生きるか死ぬかお前次第だ」


受付のジジイはいかにもサイコパスといった台詞を吐き捨て、チケットを二枚渡す。

チケットには多分神絵師と思われるさぞかし名のある絵師が描いたであろうキングテレサ姫の萌え絵が描いてあり、懐かしさと同時に少しだけイラッとさせられた。


「〜♪(インストゥルメンタル)

ここはサイレント成増ニュートランスレーション零番館ラクーンタワー!!

死にかけのクソ老人程度ならば心肺停止待った無しの現代縮図!

心臓の弱いやつ!

心自体が弱いやつ!

引き返してピザでも食ってな!

俺はお前のために言ってるんだぜ?

大卒で新卒の安定進路……

お前も欲しいんだろ?

心にフェンダー・ストラトキャスターを飼ってるか?

じゃなきゃすぐ引き返しな

システムの犠牲者になっちまう」


入り口の扉をくぐると暗闇の中からメタルともパンクとも取れるなんとも言えないテーマソングが流れてきた。


赤色灯で照らされた薄暗い廊下は何故か廃病院の廊下を思わせる内装だ。


そしてそれは訪れた。


「あ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


ジャパニーズホラーの定番だ。

白服にやたら長い黒髪の女がゆっくりと近づいてくる。

クソみたいな演出のせいで舐めてたが内装の凝り具合といい、このキャストの仕草といい、中々レベル高い。

隣にいる委員長はきっと魂が抜けかけているだろう。

もう帰るか?

と声をかけようとした瞬間。


委員長は弾けた!


「うおおおおおお!!もっと!!力を!!」


どうやら殺られる前に殺るのがモットーのようだ。


委員長は女幽霊を飛び蹴りでダウンさせると、髪をひっ掴んで立たせ、ものすごい速さで腹パンを七発くらい喰らわせる。

心が痛くなる光景に戦慄する俺をよそに、委員長の蛮行は続く。地面に女幽霊の頭を何回も叩きつけ、そのまま片手で髪を引っ張ると窓に向かってぶん投げる。


「リアルデビルメイクライ始めんなよ!!」

「このままでは終わらんぞぉおおお!!」


よく分からない断末魔と綺麗なガラスの破砕音とともに窓を突き破り、キャストは消えていった。


「貞伽倻子がやられた!?」

「やつはキャストの中でも指折りの実力者だったはず……」

「今回の客は……かなり手強いということだな」


レオパレス並みに壁薄いのか?

壁の向こう側から他のキャストとおぼしきやつらのひそひそ声が聞こえてくる。

どうやら俺たちはキャストさんたちの入れなくていいスイッチを入れてしまったようだ。


「貞伽倻子の仇は俺が取る行かせてくれよ」

「モスマン……お前」

「安心しろよ俺もプロのキャストだ。公私混同はしない……ただし」

「ただし?」

「あの黒髪の女。あいつだけは絶対に許さねー!!貞伽倻子は熊本から上京してきた苦労人なんだ!!学生時代のアルバイトの頃から俺が面倒を見てきた。アミューズメントで人を喜ばせるのが夢だったあいつの仇は……あいつの仇だけは……俺が!?」

「ならば何もいうまい……行けモスマン!!」


変なモノローグが終わると何者かが通路の先に現れる。


一万パーセントモスマンだろうと思われたがそこにいたのは。


「真冬!何してんだ!」


真冬が立ちふさがる。

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