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強☆人☆類 〜握力がインフレした俺はゴリラの異能使い〜  作者: 徳島静
第3章『ゴリラゴリラグラウエリ』
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24/53

WCN④

「応援してますよ宇治春くん。頑張ってくださいね……このクソ雑魚の失態を取り戻してくれるって信じています」

「あ、あくりょくの勝負なら負けてなかったもん!」


そして始まる観客席での殴り合い。

喧嘩すんなよ。


「行ってくるぜ。あと乱闘やめろ」


俺は階下へと降りると、相手選手を見る。

キティちゃんの仮面と黒マントで正体を隠したいかにも別の意味でヤバそうなやつが目の前にいた。


「三人目は男かよ。しかもラノベの主人公ばりに個性が無い野郎だ」

「毛色の違った美少女二人はべらすなんて、二等分の花婿(はなむこ)気取ってんじゃねえ!!」

「殺しちまえ!!血!血!血!」


これ以上ないくらいのお呼びじゃないオーラを全身に受け、さらに観客席から鈍器のようなものが多数投げつけられる。こいつら本気で殺しにかかってきやがる。今のところ対戦相手より殺意高いぞ。


「ふふふ宇治春よ。小学校時代、異性から歩く呪詛兵器と呼ばれ触れらることすらなかったお前とは思えないぜ。いい身分になったものだな」

「なっ!?お前俺を知っているのか?」


こんな変態じみた格好する奴が知り合いっぽいという現実に俺は恥を知って気分が落ち込む。


「ああ知ってるぜ!お前も俺のことをよく知ってるはずだ!行くぜ!デュエルスタート!」


レフェリーを無視して勝手に試合を始めたそいつはマントとキティちゃんの仮面を脱ぎ去る。


「よ、よしたか!?」

「俺の握力がつくりだしたデッキが相手だぜ!死ね宇治春ぅううう!!ドロー!!」


なんと相手は小学校時代の友人であったよしたかだ。

右腕にカードが収められる変な機械を取り付けたよしたかはさっそうとカードを抜き去り宣言する。


「俺は手札からハイボール・キャンティクラシコガールを召喚!」


よしたかが宣言すると場にカット処理をされたやたらおシャンティなグラスを持ったサブカル女が具現化する。

これが……よしたかの能力!?


「いつからカードゲームアニメのキャラになったんだ!よしたかぁ!!」


俺の悲痛な叫びを無視してよしたかはたたみかけるように宣言を続ける。


「このカードが召喚に成功した場合!ハイボールと名のついたモンスターを一体デッキから特殊召喚できる!出でよ!ハイボール・シャルドネシャブリガール!」

「あはっ☆」

「喋ったー!!じゃないよしたかぁ!!どうして俺たちが戦わなければならないんだ!」

「黙れ宇治春!俺はフィールドのモンスター二体で宇治春にダイレクトアタック!!」

「うわぁあああ!!」


なんかよくわからない波動みたいなものを出され俺はよろめく。

ライフポイントを削られた気がするぜ。


「ハハハ!貴様がいけないんだぜ宇治春」

「な、なんのことだよしたか……」

「俺のターンはまだ終わってねえぜ!!」


それ言いたかっただけじゃねーのか。

よしたかはさらに手札からカードを取り出す。


「フィールドマジック!!ハイボールパーティを発動!!」


よしたかの掲げたカードが拡大されたヴィジョンとなって宙に映る。


先ほどのモンスター二体ともう三人くらいのサブカル女が自宅で酒盛りをしているイラストだ。天井近くには「女子会」と書かれたボードがぶら下がっている。

男のおの字もないイラストからサブカル女の誇りを感じる。


しかしこの調度品まで隅々まで描かれている丁寧なイラスト――かつて美術教師に「絵を描くのを止めろ」と辛辣な言葉を浴びせられたよしたかのとは思えない。

さてはツイッターで神絵師に金を払って依頼しやがったな?


「ハイボールパーティの効果!このカードがフィールドに存在する限り自分フィールドのハイボールモンスターは握力では破壊されず、さらに自分相手のターンに発動する。相手の握力は半減する!!」

「なにい!?」

「ハイボールバインド!!」


謎の瘴気が俺を包み握力が半減するのを確かに感じた。


「さらに俺はフィールドのハイボール・キャンティクラシコガールとハイボール・シャルドネシャブリガールを百合素材とし、百合召喚!」

「百合召喚!?」


フィールドのハイボール・キャンティクラシコガール(銀髪ロング)とハイボール・シャルドネシャブリガール(こっちは青髪ツインテール)が手を合わせてお互いを情熱的に見つめあい、怪しい雰囲気を醸し出したかと思うとそのままキスして発光する。


自分の発言に責任を持てないレベルで正気を疑う展開だ。


「親しき仲が映し出す――純白の花びら!!百合召喚!顕現せよ!ハイボール・ダブルモルトガール!!」


先ほどの二体のモンスターが手を合わせてキスをする大変美しい光景が広がる。


こいつ……女二体で新しい生命を生み出しやがった。


「「「「キマシタわーーー!!」」」」


観客の心も一致団結してやがる。

カードの効果的にも展開的にも俺が圧倒的不利であることは明白だ。


「ハイボール・ダブルモルトガールの握力は六那由多!さらにこのカードは三回攻撃できる!俺はカードを一枚セットしてターンエンド!」


よしたかのターンが終了する。


くっ……しかし残念ながらよしたかが有するデュエルタクティクスの高さは認めざるを得ない。


先攻ドローに先攻攻撃宣言、さらに僕の考えた最強カードの数々。


トレーディングカードゲームに精通した者だけが生み出せる盤面――いやそんな熟練者ですら恥を忍んで行わないであろう行為をこいつはためらいもなく行った。


「握力が半減したお前にこの状況が覆せるか?」


よしたかと共に百合ん百合んする女のカード二体も不敵な笑みを浮かべた。

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