WNC①
そして始まるWNCことワールド成増カーニバル。
展開早くね?
受付に名前を書いている最中思うことはただそれだけだ。
「チーム名はどうなされますか?」
受付の事務員がそんなことを訪ねてくる。
そんなもんまで決めんのかよ意味わかんねー。
俺はとりあえず二人に意見をあおぐ。
「ディバインクルセイダース」
「血盟騎士団」
どちらがどちらの答えかはアホくさくて語る気にもならない。想像にお任せする。
「チームゴリラD'sで」
「かしこまりました」
カッコ悪いと不平が上がったがどうでもいい。
つーか早く終わって欲しいことこの上ない。
「こちらでお待ちください」
普段はどこかの部活の更衣室に使っている場所に通される。どうやらここが控え室らしい。
部屋に入った瞬間明らかに堅気ではない視線を浴びるが、それも一瞬で終わる。
「どう見ても高校生じゃない見た目のやついっぱいいるけど、ここはハンター試験会場かよ」
「この高校は選りすぐりの強人類が集まる高校よ。人間ではないものが混じっていてもおかしくない」
真冬はシリアスな感じで語るがどこの異世界だよ。人間ではないものが都内の高校にいるわけねーだろ。
「皆さまよく集まりました。こちらがトーナメント表になります」
しばらくするとでかいトーナメント表が貼り出され、人垣が生まれる。
俺も後ろの方から背伸びしてそれを見るとチーム名がいくつか見えた。
肉体の三角関数
ロリータセックスペンシルズ
体育王国
筋肉☆パンチ
ジュラシックボーイ♂ズ
97スペシャルチーム
ブレイズオブサブカル
ざっと見た感じでこんな有様だ。
どこも似たり寄ったりなネーミングセンスじゃねーか。うちはまだマシな方だよ。
「私たちの試合は早速始まるようですよ?」
「よく集まった新入生ども!!」
委員長の発言に割り込むようにして、角刈りの体育教師然としたマッチョが乱入する。
「この高校は禁じられた魔の領域!恐らくはこの大会……無事に終えられる者は少ない。命を落とす者すら現れるだろう!」
途端周囲がザワザワと沸き立つ。
無理もないだろう。
高校の学校行事で、それも入学直後にイキナリ死の危険を突きつけられたら「こいつ何言ってんだ?」みたいな空気になるのは仕方がない。
「だが喜べ!勝者には」
「あの」
「何だ!」
「警察を呼びましたからね」
なんと熱弁するマッチョはしおらしく警察のお世話になって消えた。
まるで意味がわからず呆然とする俺たちへ向けて、事務員さんは無表情で語る。
「あれは近所でも有名な不審者です。WNCには怪我くらいはあるでしょうが死ぬことはありません。というかそんなことしたらわたしたちもあなたたちも先ほどの不審者と同じ場所に連れて行かれます」
殺人は神が許さないということか。
そのあとすぐ俺たち三人は別館の闘技場に連れて行かれる。
アリーナ会場のように二階が観客先となっている円形の闘技場はさながら古代ローマのコロシアムだ。
暗い通路を抜けると視界が開け、円形の舞台が見える。
同時に溢れんばかりの熱気と歓声が俺たちを出迎える。
「殺せ殺せ殺せ殺せえええ!」
「血を見せろおおおお!」
「握力!暴力!握力!暴力!」
「へへへ……ダイ!!」
話が違うじゃないですか〜。
上級生とおぼしき観客席のやつらは血と暴力と殺人を求める蛮族が八割を占めている。
本当に成り立ってていいのかこの学校?
「先鋒前へ!」
「先鋒?」
「そう言えば先程宇治原くんがチーム名を書き込んだあと先鋒中堅大将を決めるように言われていました」
委員長の話によると先鋒委員長。中堅真冬。大将俺、らしい。
「両チーム先鋒前へ」
舞台の真ん中に立つレフェリーらしき人物が急かす。よく剣道の試合とかで見る小さい旗を二つ持って……いやあれは旗じゃない。
下着だ!
それもやたらセクシーなレース生地の細かい刺繍のやつ。
判定するやつが明らかな不審者であることに、委員長もまた気がついたようでゴミ虫を見つけたかのごとくあからさまな舌打ちを見せた。
それに対しレフェリーはというと、
「良し!!」
何が良しなんだよ!
お前人間としてダメだよ!
全員が不信感に包まれる中ついにWNCは本格的に始まる。
「第1回戦深海夏海VSポッカ!!」




