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強☆人☆類 〜握力がインフレした俺はゴリラの異能使い〜  作者: 徳島静
第2章『ゴリラゴリラベリンゲイ』
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崇高なる中二病。アグラヴェイン卿

「くくく……どうやら恐れずに来たようだなガラハッド卿よ。五分の遅刻だ。この悠久の時を経て貴様の眷属はどうやら我に寝返ったようだぞ?」

「ポー!くるっぽー!エドガーアランポー!」


ああ、マジめんどくせぇ。

重い足取りで向かった成増スキップ村の入り口では、アグラヴェイン卿が俺の愛鳩のヘドウィグにクルトンを与えてじゃれ合っている。


アグラヴェイン卿はいつも真っ黒なローブで顔を隠し、なんかよくわかんない霧が体を纏っているので正体不明の騎士団員だ。

クラスはおろか同じ学校の生徒なのかすら怪しい。背丈は年相応の小学生でダブついたローブから判断する限り細身な方だろう。


声は完全におじさんのソレ。

しかも結構渋い。


能力は姿形を自在に操るもの――らしい。

だからこの姿も信用できない。日によっては声が老人になってたり、同い年くらいの女児になってたりするのでそこら辺も変えられるのだろう。


「それにしても貴様の眷属は容易いな。ほんの五分ほどで我の贄(クルトン)を持ってひれ伏したわ。まあ、騎士でもない下等生物に忠誠という高尚な概念を理解し求めるなど……あまりに酷というものか?」


そしてお察しの通りである。

俺もステージ2くらいの中二病なのであまり人のことは言えないがこいつのソレはあまりにも染まりすぎて面倒くさい。末期ガンレベル。


「アグラヴェイン卿来てくれてありがとう。今回はあんたの握力を貸して欲しくて呼んだんだ。実は――」

「我の有する闇の握力(メテオ)を……?フフフ、ハハハ、ハーッハッハッ!あの最強の黒獣(ゴリラ)と称されるガラハッド卿が!我の最強最大のライバルにして唯一認めた本物の騎士であるガラハッド卿がっ!よもやこの我に頭を垂れる時が来るとはな!そんなことは夢にも思わなんだ!」


そして饒舌。

話聞かない。

なに言ってるか分からない。

三拍子揃ってほんともう面倒くさい。

正直もう帰りたい。こいつ声でかいし。


「して事の詳細はどのようなものだ?くだらぬ要件ならば即刻切り捨てる所存であるが、覚悟は出来ておろう?もし我を満足させられなければ、ゴルゴダの丘に連れ出し、磔ののちギロチンによる斬首と火炙りにより魂までをも滅してくれようぞ」


俺に喋らせろよ。

あとキリストとマリーアントワネットとジャンヌダルクに謝ってこい。


「成増のアーチャー」

「なん……だと!?」


だから会話に割り込むんじゃねえ。


「俺のダチのよしたかの魂――ブルーアイズホワイトドラゴンが奪われた。成増のアーチャーに理不尽な方法で、デュエルすら介さないでやつは強引に奪ったんだ。許せねえ」

「ふむ、成増のアーチャーか。少々厄介な相手だな。とりあえずこのような現世(うつよ)で立ち話もなんだろう。すぐそこにランスロット卿に紹介されたタピオカミルクティー屋がある。要件はそこで聞こう」

「ポー!インスタ映えっポー!」


明らかに鳩が今喋ったような気がするが、そんなことを気にする暇もなくアグラヴェイン卿はタピオカミルクティー屋まで俺を連れ出し暖簾をくぐる。

暖簾をくぐる?

蕎麦屋かよ。


「我は宇治抹茶・クリームフラペチーノ・タピオカミルクティーを所望する。ガラハッド卿はどれを選ぶのだ?」

「テイルズの秘奥義みたいな飲みもんだな」


あと甘党なんだな。アグラヴェイン卿は。

俺は店で一番安いメニューであるタピオカの入っていないミルクティーを頼む。


メニューが届いたところで俺は話を切り出した。


「成増のアーチャーは強大だ。俺のフルコンタクトゴリ手がまるで通用しなかった」

「ふむ。そこまでとはな。聞いた話によるとやつは完全な近距離パワー型の強人類であり、家系は財閥の流れを汲んでいるようであるな。多少の悪事なら揉み消される。ガラハッド卿は最近成増を騒がせるプロテインの買占めをご存知か?」

「プロテイン?マッチョの飲み物か?」


筋肉を鍛える飲み物のイメージしかない。


「そうだ。そのプロテインだ。成増のアーチャーは成増一帯のプロテインを買占めているのだ。自身の筋肉を保つために1日三億キロカロリーが必要らしくてな。それにより成増のマッチョたちは悲しみの海に沈み、スポーツジムからは夜な夜なマッチョたちの嘆きが聞こえるという」


どんな地獄だよ。

しかしやつはそんなところでも蛮行を繰り返していたのか。


「そんな成増のアーチャーではあるがガラハッド卿よ。我らに勝ち目がないわけではない。成増のアーチャーはその名の通り弓兵――やつのボウガンを破壊すれば戦力は格段に下がるはずである。それに――」


アグラヴェイン卿はクククと中二笑いを見せる。


「ガラハッド卿は全ての握力を出し切ったわけではないのであろう?」

「まあ、な。俺の全開握力を見せつければたちまちカードショップは崩壊していたからな」


あの場では仕方なかった。

戦いにポケカおじさんたちを巻き込むわけにもいかなかったしな。


「ならば今度は全力でぶつかるまでよ。ガラハッド卿と我が揃えば、強靭、無敵、最強である。幸いやつの根城である成増宮殿は人気のない場所であるからな。成増の栄光と秩序は我らにある」

「ああ、行くぜ。成増宮殿へ」


タピオカミルクティー屋を出た俺たちは成増宮殿行きのバスに乗るのであった。

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