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凡人でもできる現代ファンタジー攻略法  作者: 夜鐘
第二章 スケルトンダンジョン攻略 後編

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75/85

スケルトンダンジョン:ボス戦1


 ついにやってきました!!!


 スケルトンダンジョン、ボス戦!!


 必要なもの、必要か分からないもの、すべてインベントリに詰め込んだ。

 

 身に着けた防具は四層目の副葬品の寄せ集め(主に革製)

 腰のベルト部分に短剣を何本かぶら下げている。


 アクセサリーはざっとこんな感じ 


 【動体視力強化のイヤリングLv2】×2

 【重量軽減のネックレスLv2】

 【器物の指輪Lv2】右(普通矢×100本/特殊矢×1本)

 【器物の指輪Lv2】左(New弓/片手剣)

 【雷付与のブレスレット】

 【炎付与のブレスレット】

 【速度上昇のアンクレットLv2】×2


 使い慣れた効果をメインに、素早さと動体視力を重視した。

 これがあるからステータスの敏捷を軽視した側面もある。



 やれるだけの準備はした!

 

 いざ、突入!!!



 ************



 ダンジョンゲートによく似た「虹色の膜」に触れると、気が付いた時には見覚えのない空間に立っていた。


 地下墓地とは思えないほどに天井が高い。広さも戦うには十分だ。

 

 全体的に薄暗く、いまだ敵の姿は見えない。


 【暗視のイヤリング】に付け替えようとインベントリを操作していると、部屋の周囲に掲げられていた松明に灯がともった。



 ガコッ ズズ...ズズズ......

 


 音の方向に目をやると、部屋の向かい側に置かれていた棺の蓋がずれるのが見えた。

 よく見ると、部屋の奥にはいくつもの棺が並んでいる。

 


 もしや複数戦か?と警戒したものの、最初の一つ以外は動きを見せない。



 そうこうしているうちに、スケルトンが棺から這い出して来る。

  

 出てきたのは厳めしい鎧を纏ったスケルトン。明らかに強者の出で立ちだ。

 



 こちらも敵の登場を茫然と眺めていたわけではない。



 鎧からしてボスが近接型なのを確認し、爆竹に着火は済ませた。

 相手の準備が整うのを待つ必要はない。今のうちに部屋中に爆竹や花火類をまき散らしておく。

 五層目の近接型と同様なら、上手くいけばこれだけで完封できる。




 今回はいつもと違って事前の予測・検証が出来ない。相手によって攻略を変えるのではなく、こちらの強みを押し付ける形にしたい。



 こちらのストロングポイントは主に二つ


  スケルトンに対して特攻を持つ「仮称:聖なる(片手・短)剣」の存在と、新しい弓による遠距離からの攻撃だ。


 そのため、ひとまず作戦は

 遠距離から弓で攻撃して様子を見つつ、隙を見せたら切り込み近接戦でとどめを刺す。

 



 やっとの思いで入手した新しい弓に、【器物の指輪Lv2】から取り出した矢をつがえ、早速放つ。

 


 カッ

 

 まだ構えてもいなかったボスだが、鞘から抜きざまに長剣でこちらの矢を切り飛ばした。

 


 残念ながら、ブレスレットの属性付与は敵に刺さらないと発動しない。

 ・・・さすがに遠距離からのチクチクだけではダメそうか??

 

 それに...剣士スケルトンのはずだが、こちらを感知している。振動を誤魔化してもダメそうだ。こいつはどうやってこちらを感知している?

 

 

 とりあえずの二射目を放とうとしたところで、相手の剣に刻まれた文様が淡く光ったのに気が付いた。


 咄嗟にその場を飛びのく。


 

 ボスが剣を振った軌跡に、青白い炎が奔った。


 

 チッ!!

 もしかして、ただの剣士じゃなくて、魔法剣士か!?

 それなら騒音を意にも介さず、こちらを的確に狙ってきたことに辻褄が合う。


 

 流石にこの状況、ボス戦の真っ最中に”魔力切れ”になるのはヤバイ。あの手は使えない。


 

 とりあえず牽制に短剣を投擲するも、これもはじかれる。

 だが、相手が再び剣を構えるのは邪魔できた。


 

 何度か弓を放っては剣ではじかれてを繰り返しつつ、観察を続ける。


 観察したところ、本当にわ(・)ず(・)か(・)だが、魔法を発動させるまでに詠唱時間同様、動きを止める瞬間がある。

 

 そこさえ防げれば魔法は飛んでこない。

 


 正直、敵の剣速を見る限り、今の私では近接勝負で押し勝つことは難しい。

 治癒のポーションを信じての文(・)字(・)通(・)り(・)の「肉を切らせて骨を断つ」作戦でも倒しきれるか怪しい...反撃の二の太刀で真っ二つにされそうだ。


 

 遠距離戦では、私が相手の魔法を止めるために速射し、相手がそれを剣で切り飛ばすだけの膠着状態になる。


 

 どうする??


 早速切るか...切り札その1

 やれるか?いや、やるしかない!



 一瞬、矢を放つ手を止める。

 同時、一瞬で詠唱が完了した魔法が、剣の軌跡に沿って放たれる。

 剣に乗せて魔法を放っているせいか、弾速が異様に早い。


 この一瞬が惜しい!わずかに身を傾け、攻撃を半分食らいながら特(・)殊(・)な(・)矢を取り出す。

 顔の横が焼けるがここは我慢。痛い!!



 この一瞬だけがチャンスだ。



 半身を犠牲にして取り出した、特別な一本を弓につがえる。



 五層目の弓スケルトンからドロップした、文様の彫られた特殊な鏃。

 中でも、この矢についた鏃は特(・)別(・)だ。



 五層目の弓使いスケルトンがドロップする矢じりには、それぞれ異なる文様が刻まれている。

 ほとんどの鏃が【鑑定】レベルが足りず、効果がわからないままの中、なぜこの鏃だけは特別だと言えるのか。



 それは、この文(・)様(・)が私にとって最も慣れ親しんだ装飾だからだ。具体的に言えば、ダンジョン攻略二日目からの付き合いだ。


 このアイテムに名前を付けるとするならば「仮称:聖なる鏃」だな。



 敵の攻撃を食らいながら準備した分、こちらが一(・)手(・)早い。

 「肉を切らせて骨を断つ」ができるのは何も、近距離だけではない。

 

 

 半身を焼かれながらも放った矢は、剣を振りぬいた姿勢のスケルトンの眉間に、寸分たがわず突き刺さった。

 


 まあ、この場合「肉を焼かせて、骨を穿つ」だが。


 ・・・・・・


 ・・・

 

 ボスの体が崩れ落ちるのを目にするなり、自分の消火に取り掛かる。



 花火の消火用に準備していた水バケツを頭から被り、火を消す。

 


 焼け焦げた防具を脱ぎ捨て、やけど状態の右半身に服の上から【治癒のポーション】を振りかける。

 正しい使い方が分からないので患部にかけ終えたら、残りは経口で吸収されることを祈り、一気飲み!!


 どうだ?


 ・・・・・・

 

 ボスの火魔法が当たったはずの皮膚には、ポーションのおかげか火傷跡が見られない。さすがファンタジーだ!!

 


 とりあえず、ボスの状態を確認せねばと身を起こす。


 ズキッ

 

 ・・・右足は火傷以外に打撲もしていたようで、アドレナリンが出ているはずの今でもかなり痛む。

 こんな時用だ、【重量軽減のネックレスLv2】を【痛み耐性のペンダントLv1】に付け替えておく。これで少しはマシになった...気がする。

 

 インベントリから取り出したコールドスプレーを足に吹きかけつつ立ち上がる。



 ボスの様子を見ると、「仮称:聖なる矢じり」が刺さった頭蓋骨部分は後ろに吹き飛んでおり、すでに塵となって消えていたようだ。



 安心したのは束の間、胴体部分がいまだに残っていることに嫌な予感がよぎる。

 これまでスケルトンに限らず、ダンジョン内で敵の一部が討伐後に残ることはなかった。


 

 警戒した瞬間、頭を失ったはずの体がびくりと震え、起き上がった。


 ・・・どうやら本番はここからのようだ。



 もうすでにこちらの切り札、切っちゃったんだけど...

 



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