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凡人でもできる現代ファンタジー攻略法  作者: 夜鐘
第一章 スケルトンダンジョン攻略 前編

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文明の利器


 大学生の特権である長い夏休みも、すでに後半戦に突入しているが、うだるような暑さは一向に陰る気配を見せない。


 駅前のダンジョンで得た発見を、すぐにでも検証したかったところだが、準備や雑用に時間がとられてしまった。


 現在時刻は午後9時。

 

 未だに熱気の残る夜だが、工事現場に隠されたゲートをくぐると、空気が一変する。

 いつものことながら、このスケルトンダンジョンは肌寒いほどに冷えている。


 気を付けないと体調を崩しそうだな・・・さて、検証の準備を進めよう。



*******



 『気配』によってこちらを感知しているだろうスケルトンたち。

 重要なのはこのスケルトンたちの感知手段が、(おそらく)物理的なものだろうということだ。

 そこで今回は、その物理的な感知を妨害するアイテムを、身近な範囲で揃えて持ってきた。



 検証の場として選んだのは、足を踏み入れたばかりで難所とも言える5層目。

 現状、この階層のスケルトンたちは能力が高く、一対一で勝てる見込みがない。特に遠距離系のスケルトンからの一方的な攻撃がキツイ。

 何とかならないかと策を練っていたわけだが、もしも相手の感知能力を誤魔化せるのなら、勝機があるかもしれない。



 五層目で検証を行う理由は二つ。

 一つは、複数のスケルトンに邪魔されない環境。

 もう一つは、この階層のスケルトンがこれまでで最も感知能力が高いことだ。

 このダンジョンのスケルトンたちは階層を進むごとに強化されるが、それは感知能力についても例外ではない。




 さて、もっとも攻撃のリーチが短く、安全そうな剣士スケルトンがいる通路の先端までやってきました。

 その場でじっと動かないが、こちらに気付くと、剣を構えてくる。やっぱり、かなりの距離からこちらを捉えているようだ。

 

 念のため、スケルトンの感知範囲から出たところで。

 


 ・・・では、準備してきた第一の文明の利器を使っていこう!!


 

*******


 インベントリに詰め込んだアイテムを取り出し、持ってきたライターで導火線に火をつける。

 


 ・・・まあ、これが爆弾だったら楽なんだが。


 さあ!取り出したるは夏の風物詩・花火たち!!

 もちろん、手持ち花火だけじゃない。


 大量の爆竹に噴出型の花火、果ては打ち上げ花火(家庭用)まで用意した。



 スーパーマーケットに寄った際、災害対策用の商品や避難用品などが所狭しと並べられている店内の隅にあった、在庫処分の様相を呈した花火たち。

 彼らを格安で大量に買ってきたのだ。



 夏の真っただ中である現在。

 本来なら家族連れやカップルで花火を楽しむ季節なわけだが、あいにく今は非常事態宣言中。加えて、街中は武器を持った無法者(探索者)がうろついてる始末。

 そりゃあ、花火なんかやってる場合じゃねえ。売れるわけがない。



 実際は爆竹なんかは他のダンジョンでも有用だと思うのだが、店の隅に放置されていた。

 店員にはこの状況下で花火パーティーをするイカレ野郎だと思われただろうが、背に腹は代えられない!


 

 遠くでこちらを待ち構える剣士スケルトンに向かって爆竹を投擲!!


 加えて、走り回るねずみ花火なんかも囮になってくれると信じて、火をつける。

 

 すぐ側では噴出花火がこれでもかと噴き出している。

 


 ・・・これだけやれば流石に目くらましになるだろ。


 たとえ目が見えたとしても。


 

 地下墳墓という閉所で花火を連発するという奇行に走ったため、目が痛くなるほどの煙が立ち込めている。

 

 別件の為に用意していたマスクを口に着け、最後にロケット花火に点火。


 手に花火を持ったままという不格好な状態で走り出す。



 ちょうど横に固定していた打ち上げ花火が、スケルトンに向けて水平に打ちあがった。


 残念ながら直撃は剣で器用に防がれてしまった。が、奴の回りで花火がはじける。

 ちょうど手持ちのロケット花火も飛んで行った。

 

 スケルトンの回りでは爆竹にねずみ花火、そしてロケット花火が乱舞している。

 私の背後では噴出花火が盛大に噴き出している。


 てんやわんやだ。


 

 さあ、これなら音も振動もまともに感知できないだろう!

 

 


 足元で炸裂した爆竹に反応し、剣を振り下ろすスケルトン。


 その胸元に、私の握った剣が突き刺さった。




 墓場で花火とか長崎かな?


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