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アルフォンスは魔導士ではなく、猫である  作者: 猫のアミーゴ


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第46話 説明文と実演は大事

コン、コン、コン

「坊ちゃん、起きていらっしゃいますか?」

いつも通り返事も待たずに、ハンナがドアを開けた。


ツバキに朝食をあたえたあと、二度寝していたオレは、ハンナが来るまで起きなかった。

昨夜はネズミレースで儲かったお金で何を買おうかと考えていたら、なかなか寝つけなかったのだ。

頑張ったツバキにも何か買ってあげたいのだが……。


《ハンナー。ごはんー、おやつー》

ハンナの足元にまとわりつくツバキのお腹を見て、食べ物はダメだなと思った。

ツバキ、ハンナはオレより厳しいよ……。何ももらえないからあきらめようよ。


「坊ちゃん、手紙が届いていますよ」

ハンナが新聞と共に手紙の束を差し出してきた。


一番上はネリーの叔父であるハンス事務長だ。珍しいな。

内容は、キルヒナー氏から劇場の調査依頼の報酬を払いたいから、ネリーと一緒にキルヒナー宅に行って欲しいとのことだった。

日程の候補が書いてある。あ、明日でいいや。


次の手紙を手にした。これはヘルマンさんだな。

ビオトープに入れた魔石と同じものが欲しいという人がいるので相談したい。ネリーと一緒に来てほしいとのことだった。


もしかして販売チャンスなのか。

明日ネリーに相談しよう。


その次は支配人からだ。

賭場での調査に対する報酬を取りに来て欲しい。

あと公演が決まったので、希望の日にちでペアチケットを用意するとあった。

その後には、ローザの愚痴が延々と書かれていた……。


ネリーはローザのファンだったよな。これもネリーに相談しよう。


最後の一枚は魔法管理局だった。

魔法の売り上げが出ましたので手続きをしにきてください。

そういえば、初めて売れたから入金方法を決めてなかったんだよな。

これは今日行こう。


報酬の話ばっかりだ。

こんなに稼いだことがあっただろうか、いやない!!

朝からにやにやしてしまう。



オレの表情を見てハンナが問いかけてきた。

「坊ちゃん、何か良いことがあったのですか?」


「ああ、仕事の報酬の話ばっかりだったんだ」

「まあ、きっとネリー様のおかげですね!!」


ん?


「だって、坊ちゃんひとりだといいものを作ってもお金にならなかったのですよね。ネリー様にお礼すべきですよ!」

ハンナは力説した。


確かに、ネリーのおかげかも。

「いつもの焼き菓子でいいかな?」


「芸がありません!!ネリー様が喜ぶものを選びましょう!」

ハンナに全否定された。


「うーん。猫トイレを完成させて贈るのはどうだろうか?」

「だめです!!それはネリー様じゃなくて、ネリー様の猫にでしょう?ネリー様だけのものを考えてください」


うーん。ネリーが喜ぶものって何だろう。

アンバーとレモンの顔しか浮かばない……。


そんなオレを見て、ハンナが言った。

「ネリー様をよく見てください。そうしたら見えてきますよ」


猫以外でネリーが好きなものは何だろう?

明日、本人に聞いてみよう。

そう思った。



魔法管理局に出かける準備をする。

《ツバキ、一緒、行く?》

《んー、今日は家でごろごろしたいなー》


ツバキは転がったまま、動こうともしない。

これは動く気がないというアピールだな。


オレはひとりで出掛けることにした。

帰りに売店で魔石みてこようっと。



魔法管理局の窓口に行くと、いつものごとくダーヴィットが居た。

「よお、アル。魔法売れて良かったな」

思わず顔がにやけてしまう。


窓口の椅子に座ると、ダーヴィットが書類をオレの前に広げた。

「魔法登録番号:074000326 が8件、魔法登録番号:074000472 が3件だな」

「え? そんなに売れたのか……?」

思わずオレは口をあんぐり開けてしまった。


「説明文修正した奴だな。修正して良かったな」

「……それ、修正前はお前が書いた説明文じゃなかったっけ?」

じとっとした目でダーヴィットを見た。

「そうだっけ? で、入金方法はどうする?」

さらりと流しやがった。


とはいえ、売れたのだ。

オレは気分よく入金手続きの書類を埋めていった。


「銀行だな。振込は3日後ぐらいになるから」

ダーヴィットは、記載漏れがないかチェックしてから書類箱にしまった。

「ところで魔法登録番号だけだと、何の魔法かわからないから教えてくれ」


番号でいわれたって、オレは覚えてないからな。

「ああ、はいはい。074000326がドライヤーで8件、074000472が簡易耕運魔法で3件だ」

どちらもネリーが修正を手伝ってくれた魔法だ。


書類を見ていたダーヴィットがつぶやいた。

「ドライヤーか。メモリと必要魔力が少ないな」

ダーヴィットは奥に行くとブラシを持ってすぐに戻ってきた。

髪が少し濡れている……?


「アル、ちょっとその魔法でヘアセットしてくれ」

オレはブラシを受け取って、温かい風を出しながらダーヴィットの髪を整えた。

なんでオレは仕事中の公務員のヘアセットしてるんだろう。

働けよ。ダーヴィットめ。


ダーヴィットは懐から鏡を取り出して、出来栄えを確認した。

「よし、俺も買うぞ」

「お買い上げありがとうございます!!」

一変してオレはもみ手をすることになった。



説明文と実演って大事なんだなぁ。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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