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アルフォンスは魔導士ではなく、猫である  作者: 猫のアミーゴ


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幕間 始まりの魔法

※幕間です。


本編の合間に挟まる寄り道のようなお話です。

読まなくても本編の理解には影響しませんので、気が向いたときにでもどうぞ。


無理して読む必要はありません。

猫たちもそう言っています。

まだ、大きな国というものが存在しなかった時代。

ある少女が、山で石を拾った。

その山ではよく見かける石だったが、形が気に入った石を一つ持ち帰った。

そして、お守りのような感じで、その石をいつも持ち歩いた。

村は、狩猟と農作で生計を立てていた。

同じような村と細々とやり取りを行うぐらいであった。

そんな暮らしであるため、子供も大切な労働力だった。

少女の仕事は、沢から水を汲み、飲み水用の瓶を満たすことだった。

「瓶がいっぱいになるぐらい水が欲しいなぁ」

いつもの軽い願いを、少女はつぶやいた。

その瞬間、体から何かが抜け出ていく感じがした。

石が砕け散った。

そして、空の水瓶には水が並々と満たされていた。

少女は怖くなった。体から抜け出た何かを失ったのではと。

不安とは裏腹に、体から抜け出した何かは、時間とともに戻っていくのを感じた。

少女は思った。

石を拾ってくれば水汲みから解放されると。

少女は山で石を拾ってきた。

そして同じように願った。

体から何かが抜け出る感じもなく、石も砕けなかった。

いつも通り、水を汲みに行く生活だった。

だけど少女は石を持ち歩いた。

ある日、石の色が少し、ほんのり青色に変わっていることに気づいた。

少女には何か予感があった。

再び水瓶の前で願った。

体の中から何かが抜け出る感触と共に、石は砕け散った。

水瓶は水で満たされていた。

少女は再び石を拾ってきた。

石の色は数日かかっても変わらないときも、一日で変わるときもあった。

山の石なら、どれでも良いわけではなかった。

よく見かける特定の石でなければダメだった。

一年が過ぎる頃には、どうすれば石の色が変わるのか、分かってきた。

願いを具体的に込めること。

少女はそう理解した。

込めることができる願いは、水だけではなかった。

火種を出すこと、明かりを出すこと、植物の生長を促すこと。

少女がイメージできることならば、石に込めることができた。

体の中から抜け出る何かと石が砕け散ることで、その事象は発生した。

石は込められた願いの事象を発生させるのだ。

水ならば水、火ならば火。

そして石の色も、その願いを反映するような色に変わった。

そんな少女を村人たちは、不思議に思っていた。

水を汲むのが早すぎる。

季節には早すぎる山菜や果実を山から取ってくる。

ある日、村人が少女に尋ねた。

少女はありのままに答えた。

青色の石を村人に渡し、水瓶を満たすことを願うようにいった。

村人が試すと体から何かが失われる感覚と共に水瓶は水で満たされた。

石は砕け散った。

村人たちは、山で石を集めてきた。

しかし少女の言うように、願いを具体的に込めても石の色は変わらなかった。

少女が行うと色が変わった。

色が変わった石は、村人でも使えた。

少女の仕事は、石の色を変えることになった。



これが魔法の始まりと言われている。

発生する事象は魔法。

体の中から何かが抜け出る感触を、魔力と定義した。

山の中の石は、魔石と呼ばれるようになった。

魔石に願いを込めることができる人は限られていた。

後に魔導士と呼ばれるようになる。

少女は世界で最初の魔導士となった。

読んでいただき、ありがとうございます!


今回は、ハイファンタジーに初挑戦してみました。


今までとは少し違う雰囲気の物語になりますが、

楽しんでいただけたら嬉しいです。


面白かった、続きが気になると思っていただけましたら、

ぜひ☆やブックマークで応援していただけると励みになります!


これからよろしくお願いします。

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