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03




『家主さん、わたしのことどう思っているんですか!?』



そう聞けたらどんなにいいでしょう・・・





はぁ



テーブルの向かいで食事中の家主さんを見ながら、そんな直球ストライクな質問できない自分のヘタレさにため息です。




「どうしたの?食欲ない?」


「いえ!全然!」


全速力で頭を振って否定しました。


今日の昼食は、家主さん特性の野菜スープなんです。


私の大好物なんです。


お芋やらきのこがゴロゴロ入った野菜スープは、ミルク仕立てでまろやか。

優しい味でほっこりする味なんです。


そういえば、初めてご馳走してもらったのもこのスープでした。


このスープが暖かくて優しくて、心が落ち着いたのを覚えています。



「今日もとっても美味しいです」


さっきまでウジウジした気分だったのに、自然に笑顔が零れてしまいます。


「うん。それはよかった」


あぁ


家主さん


またそんな優しい笑顔を。


この瞬間が胸キュンというやつでしょうか?


胸がきゅっとして、それから野菜スープのように心がほろりとしてしまいます。




えへへ



「そうだ、明日。楽しみにしていて」


「明日、ですか?」


「うん。明日」


「?」


何だか家主さんが楽しそうなので、私はわくわくしながら頷きました。




明日、何があるんでしょう?




家主さんの様子を見ると、何か良いことがありそうです。



何だかとっても楽しみです。



午後の縫い物もルンルン気分でいつもより捗ります。



「家主さん!」


私の浮かれた声に、家主さんはごりごり薬草をすり潰していた手を止め、此方を覗き込んでくれました。


「クッションカバーが出来上がりました!」


何かをやり遂げるって素晴らしい達成感です。


じゃじゃん!と家主さんに得意げに見せつけました。


「良く出来ました」


えへ


頭を撫でて褒めてもらいました。







今日はとっても良い日です。









「おやすみなさい家主さん」

「おやすみ」


あぁ


明日になるのが楽しみです。




何だか遠足の前の日みたいで眠れません。


ごろんと横になると、既に家主さんが寝息を立てています。


暗闇に慣れてきた眼で、うっすらと青白く浮かび上がる横顔を眺めます。


スッとした鼻を辿ってすこし薄めの唇、すっきりとした顎のラインからのど仏。


昼寝中の家主さんはなんだか幼く見えるのに、


真横から見る横顔はちょっと神秘的です。夜だからでしょうか。



フニ


つい、無意識に家主さんの頬をつついてしまいました。


「ん・・」

「!!!」


家主さんが身じろぎしたので慌てて仰向けに寝た振りします。

起きてしまったら恥ずかしいじゃないですか。


「んー」


「っ!!!!」


こそばゆい!


ごそごそ動いた家主さんが、あろうことか私の首筋に顔をうずめてきました。


い、息が首にあたります!


ぎゅ


ぎゅ!?


右腕が確保されました。



昨日あんなにお利口さんに身じろぎ一つしなかったのはフェイントだったんでしょうか



「・・や・・やぬしさん?」


恐る恐る声を掛けますが、帰ってくるのは寝息だけ。



熟睡中なのですね。



心臓に悪いです。









・・・・・・・!


明日のお楽しみに浮かれて目下の重要懸念事項をすっかり忘れていました。



昨晩からすると急接近ですが、家主さんは今宵も夢の中。






家主さん家族愛疑惑。



確定でしょうか?


ぐすん














主人公ちゃんは家主さんがとにかく好きな様子です。


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