3.
それは学校を卒業して社会に出て以降も変わらず、同じ会社に入社した私達の状況も言わずもがなである。
明るく社交的なシャーリーは花形とも言える受付嬢、その真逆な私は資料室に配属された。
適材適所とは言うが、これ程までに明暗に分かれる双子も珍しいと思う。
両親の態度には傷付けられてきたが、それ以外では仕方ない事として受け容れていた。
だって、私に受付嬢をしろと言われてもシャーリーと同じように振る舞う事ができるとは思えない。
だから地味でも人の少ない資料室で良かったと今では思っている。
ただ一つ……、恋愛に関してだけは心の部分で納得できない。というか受け容れられない事が多い。
双子だと好みが同じ場合がある。
それが物だったら譲るなりできるが、人間の場合そうはいかない。
実際、これまでにも何回か有ったのだ。
私の事を好きになってくれた男子生徒に告白され、付き合いだすと何故か妹のシャーリーにお願いされる。
「彼の事がずっと好きだったの…でもお姉ちゃんの幸せの為に諦めるわ。…だから…彼の事…お願いね。」
と……。
そして相手の男子生徒にも
「あなたの事、好きだったけど諦めるわ。だから…お姉ちゃんを…大切に……。」
とお願いして涙を流して去って行く。
だけなら良かったのだが、私に隠れてその後ちゃっかり相手の男子生徒と付き合っていたのだから驚きだ。
最初の一、二回は“双子あるある”だと思っていたけれど、これが何度も続くと私の持ち物だけでなく、私の事を好きになったり、親しくしたりした相手を取り上げるのが好きなのかと疑いたくもなる。
何せ、相手はそんな健気な妹を好きになり、私と別れるのだから。
「おやっさん、限りなく黒に近い灰色ですぜ。」
と、思わず何処ぞの刑事ドラマのような台詞を言ってしまいたくなる。(言わないけど)
今回はそんな事無かったと思っていたら…シャーリーの代わりだったなんて…。
でも、そんな事考えるまでも無かったのだ。
だって、彼女は私と違って誰にでも好かれるのだから…。
シャーリーの変わりという事だけでもかなりショックだったのにニックは、これまでの相手のように私に隠れてシャーリーと付き合っていた事を知った。
そして、とうとうそれを目の当たりにしてしまう。
その日は同じ資料室の同僚達と珍しくランチをする事になり、職場から少し離れた定食屋に行くと、店の奥の観葉植物が置いてある傍のテーブルで向かい合う二人がランチを食べていたのだ。
私達はまだ席に着いておらず立っていたから二人が見えたけど、座っている二人からは観葉植物が邪魔をして私達の事は見えない。
その席は、知っている人は知っているが、知らない人は観葉植物で自分達の姿が見えないと錯覚してしまうテーブル席だった。
二人は此方に気付かずにまるで恋人同士のように注文した料理をお互いの口に運んで食べさせ合っていた。
「うわぁ~…無いわぁ…。」
二人を見てそんな風に同僚が呟く。
私はというと、鼻の奥がツンとするのを遣り過ごして何とも思っていないふりをする。
これまでの経験から、自分の感情が溢れ出していっぱいいっぱいになる前に他人事のようにすると何とかその場を遣り過ごせる事を覚えたのだ。
ふと視線を感じて其方を見ると、同僚のレイモンドが私の事をジッと見ていた。
相変わらず瓶底メガネの所為で彼の表情はわからない。
昼休み後、レイモンド(レイ)が何故か頭をわしゃわしゃと撫でてくる。
(やめれ、ヘアスタイルが崩れる)
「あ、いや、あの…つい…。」
頭を押さえた私と目が合うなりそう言って慌てて手を引っ込める。
気を遣ってくれたのかな…?
「…大丈夫です…よ?」
そう言って安心させるように笑うと何故か目を逸らされた。
何故に?
ひょっとして、カートと私が付き合っている事を知って…いる…?
まさか……ね。
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お付き合い(お読み)いただきありがとうございます!
(*・ω・人・ω・)




