表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

時空の三連星 第2章 第3話

                《時空の三連星》


第2章


第3話:思念体の覚醒、喜びの闘争へ



ここで、世界の裏側に隠された、

ひとつの絶対的なことわりを明かさねばならない。


現世の人間である正妃・シズの体内に宿る、アオイとハル。

この二人の本体(肉体)は、

今この瞬間も、それぞれが元いた固有の時空に存在している。


彼女たちは、各々の時空において、

現世とは異なる境遇の「肉体」という名のからを持ち、

そこでの人生をそれぞれに謳歌おうかしているのだ。


アオイはアオイの、ハルはハルの時空で、今も生きている。

――「パラレルワールド(並行世界)ですが何か?」と、

世界の境界線をあざ笑うかのように。


ただ、ハルに関して言えば、現世における三歳からの孤独、

そして自室での異様な解析の日々があったため、

他の時空での自分が「本当に人生を謳歌できているか」については、

いささか微妙な、揺らぎの中にあったのだが。


いずれにせよ、今この世界(現世)に顕現けんげんしている彼女たちは、

シズの幼少期のあのあまりにも強烈な「祈りと執念」によって

引き寄せられ、幽体ゆうたい分離の形で時空を渡ってきた、

極限まで純化された『思念体しねんたい』に他ならなかった。



自室の結界の中で、ハルとアオイの魂が火花を散らす。

それは、現世の肉体の檻を置き去りにした、

精神の最奥における狂気的な鍛錬たんれんだった。


アオイが課す凄絶せいぜつな高負荷を、

ハルはその怪物じみた解析能力で瞬時に分解し、己の力へと変えていく。

その驚異的な成長速度は、教える側であるアオイの魂をも震わせ、

アオイ自身の精神能力をさらなる高みへと押し上げる、

至高の「レベル上げ」の連鎖を生み出していた。


そして、二人の思念が一点の曇りもなく完全に融合を果たした、

その瞬間のことだった。


パキィン、と、精神世界の虚空こくう硝子が割れるような音が響く。

二人の思念が、ただの「幽体」という枠を遥かに超越した、

次元の壁を物理的に突破し得る異能――『思念動体しねんどうたい』へと、

完全な昇華しょうかを遂げたのだ。


思念動体となった二人の意識は、時空の隙間を一瞬で駆け抜け、

現世の人間である長姉、シズの最奥へと、

吸い寄せられるように帰還し、完全なる融合を果たした。



「――よく戻りました、私の可愛い妹たち」


シズの精神領域の玉座で、正妃きさきは優しく二人を抱擁する。


シズの生身の肉体を媒介とし、アオイという完璧な従者の武闘、

そしてハルという怪物のごとき解析結界の頭脳。

三つの星が、一つの肉体の中に揃った。

これこそが、時空を超えて結集した無敵の陣形――《時空の三連星》。


すべての戦力は整った。

あとは、唯一無二のあるじであり、

この現世において医師として潜伏している王、駿しゅんとの、

胸が引き裂かれるほどの切望と執念の再会を果たすのみ。


その先に待つのは、王の元へと集う姉妹たちの、

歓喜に満ちた運命の激突。

時空そのものを揺るがす「喜びの闘争」への秒読みは、

もう誰にも止めることはできない。


(第4話へ続く)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ