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氷の王女様の正体は皇太子様への恋に限界化した乙女でした  作者: みかん
第四章

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22/22


雪を蹴り上げながら、レオは森の奥へ駆ける。

刺客との距離は徐々に縮まっていた。


後方ではアルヴィンたちも追っている。


(速い)


アルヴィンは驚いていた。

まるで獲物を追う獣のような速度で雪道を駆けていく。


普通なら足を取られる地面だ。

だがレオには一切関係なさそうだ。


「これまでとは。戦場では容赦ないと聞いたがさすがだ」

「皇子というよりも軍人だな」

と誰かがひそひそ話していた。


その通りだった。

前方にいる刺客の一人が振り返る。


そしてレオに向けて短剣を一直線に投げた。

喉元を狙った一撃。


キィン!


レオが腰の剣を抜いた瞬間には、短剣は弾き飛ばされていた。

後ろからではその素早い動きが見えなかった。


騎士たちが息を呑む。

レオが自分たちの敵ならばとても恐ろしいと感じた。


刺客も動揺し、足が僅かに鈍る。

その隙に、レオが一気に距離を詰めを押し倒した。


さらに体勢を崩された男は、そのまま雪の上へ叩きつけられる。


「ぐっ……!」

レオの剣先が喉元へ向く。


完全に制圧された。

しかし、もう一人の刺客が動いた。


仲間を見捨てるように方向を変え、森の奥へ逃げる。

レオが追おうとした瞬間。

別方向からアルヴィンが飛び出した。


「そちらは任せてください!」


雪を蹴るように走るアルヴィン。

若き侯爵もまた、王国屈指の剣士だった。


逃げる刺客との距離が縮まる。

あと少しで、捕らえられる。

そう思った瞬間だった。


ヒュッとまた嫌な風切り音。


アルヴィンの顔色が変わる。


「伏せろ!!」


刺客が振り返るが遅かった。

一本の矢が、正確に刺客の胸を貫いた。


「なっ……!?」

騎士たちが凍りつく。


刺客は二、三歩よろめき、そのまま雪の上へ崩れ落ちた。

即死だった。


アルヴィンは即座に周囲を警戒する。

木々の上、森の奥、雪の斜面。


誰もいない。

射手の姿はどこにもなかった。

遅れて到着したレオも足を止める。


雪の上に倒れた刺客。

胸に突き立つ矢。

その矢を見て、レオの目が細められた。


「……口封じか」


その言葉を聞いたアルヴィンが顔を上げる。

「やはり背後に誰か?」

レオは頷いた。


「生きて捕らえられれば、何か聞き出せたはずだ」

それを許さなかった者がいる。


後方から騎士の声が響く。

「レオ皇子が捕らえた、こちらも捕らえました!」

レオが制圧したもう一人の刺客だった。

縄で拘束されている。


刺客は笑っていた。


「何がおかしい」

アルヴィンが問う。


すると男は血の混じった笑みを浮かべながら話す。

「お前たちは何も知らない、俺を捕まえても無駄さ」


「……」


森に静寂が落ちる。


「どういう意味だ」

アルヴィンが詰め寄るが、男は答えない。

ただ不気味に笑うだけだった。


レオはその様子を見つめる。

今回の襲撃と口封じ。

さらに、この男の言葉。


単なる賊ではない。

きっと誰かが裏で動いている。

それだけは確かだった。



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