八月、君に会いたい
夏休みも半ば、というのに私はバイト漬けだ。なんのバイトかというと、ファミレスのホール。正直始めたばかりだった六月らへんでは自分のキャパがよく分からなくてシフトに入りすぎて寝不足になったりしたけど、今はもうだいぶ慣れたものだ。
夏休み中は当然学校がない。好きな人に会えないというのを正直舐めていた。週6で好きな人に会えるとか、学校最高だなぁ。
蓮がチャラい、女遊びが激しいというのはただのデマだっていうのも、約半年蓮と一緒に過ごして分かった。ちょいちょい可愛いの安売りがあるだけで。ということは私は安心して蓮を好きになって良いわけで、当然告白したって良いわけだ。
…いやいやいやむりむりむり!世の中のカップルってこういうのを乗り越えてカップルになってるってことだよね、すごい。すごすぎる。もう公共の面前でイチャイチャしてても文句言えない気がしてきた。だって両思いなんだもんね。告白、したんだもんね。
「いらっしゃいませー」
「え、帆乃花?」
「え、幻覚?」
「え?」
「え?いやごめん、ついに蓮の幻覚まで見えちゃうとかほんとやばい私…」
「えーと本物」
「え?……ええ!?」
「はははっ!驚いてる帆乃花、初めて見た」
どうしよう、未だに脳の処理が追いつかない。てか久しぶりにあったらいつもより2割増しぐらいでかっこよくみえるし…
「帆乃花、このファミレスでバイトしてんの?」
「うん。あ、あちらの席にご案内します」
蓮は私も見たことある、高校の隣のクラスの友達(えーと確か、なつ…ほにゃらら君)と2人で来ていたので、お友達(なふふふん君)に会釈する。
バイト先で会うのってなんかちょっと恥ずかしい。
「ご注文は、そちらのタブレットからお願いします」
「はーい。…帆乃花はシフト何時までなの?」
「えっと21:00まで」
「おけ、じゃ頑張って」
うん?なんだったんだろう。
バイト終わって店から出る。うっ、ムシムシしてて暑い。夏のこの湿気は16年生きてても未だに苦手だ。
こういう時はアイスが食べたくなる。よく夕飯に食べるようなチョコがけのスペシャルなアイスじゃなくて、シャーベットみたいなフルーツ味の。思い出したらもうその口になってしまった。コンビニ寄って帰ろ。
「あ出てきた。おつかれー」
「!????!?、なななんで蓮がいるの!?さっき帰ってなかった?」
「うん。夏沢とは一旦別れたけど、こんな時間に女の子1人で帰るとか危ないなーって。方向一緒だよね?送る」
あ、そうだ夏沢くんだ。さっきからずっと引っかかってたからすっきり。
この時間までのシフトの時はいつも1人で帰ってるのに、わさわざ心配してくれるなんて、律儀だなぁ。そういうとこがもっと好きになっちゃうからやめてほしい。てか勘違いするってこんなの…
「あ、私コンビニ寄っても良い?」
「うん。何買うの?」
「今アイスの口になっちゃって」
「あーね。俺も食べたくなってきた。ね果物のアイス食う時、フレーバーって何にする?」
「えっとー」
「せっかくだしせーので言お。なんか同じな気がする」
「なにそれ笑」
「せーの、」
「「グレープ!」」
この関係を壊したくない。でも、こんな風に優しくされたら、
────自惚れても、いいのかな。




