七月、君に触れる
いよいよ、球技大会当日。朝からみんな気合いが入ってる。
今日は奈々とお揃いでツインテールだ。正直照れくさいし、顔に合ってないとか思われそうだけどせっかくの行事だし、思いっきり開き直ることにする。
バレーボールは準決勝まで行ったのに惜しくも負けてしまい、教室で休憩中だ。本番では、誰かさんに見惚れることもなく、なんとか足を引っ張らなくて良かった。(と思いたい)
「ねぇほのちゃん、今うちらのクラスの男子バスケ決勝まで行ってるらしいよ!」
「え、そうなのすごい」
「応援行こ、応援!」
奈々に引っ張られて体育館に移動する。男子バスケといえば…蓮がいる。私の顔今ニヤけちゃってないかな。気をつけよ。ポーカーフェイス、今こそ役に立つ時。
体育館に着くとちょうど今から始まるとこらしく、トイレから出てきた蓮と遭遇する。
「わざわざ来てくれたんだ」
「当然うちらのクラス代表だし?勝ったらクラスで賞状貰えるし、頑張ってよ蓮!」
「さんきゅ奈々。帆乃花もなんか応援の言葉ちょうだい」
ええ、なんだろ。
「みんなに、かっこいい姿見せつけちゃえ….?」
「おっけ」 私の目を見てふっ、と笑った。
***
蓮はその言葉通り何回も得点を決め、男子バスケは見事に優勝した。未だに興奮冷めきらない教室で、蓮が私に話しかける。
「ちゃんと見てた?」
「うん。どんどんシュート入れててすごかった」
「とーぜん。ね、今日ツインテールなんだ」
「あ…うん。柄じゃないんだけどね」
「なんで?うさちゃんみたいで可愛いじゃん」
うさぎのこと、うさちゃんって呼ぶ蓮が1番可愛いと思います。
なんか蓮の言動にいちいち私だけドキドキしてるのも癪に触ってきた。たまには私も一本とりたい。
「ねぇいつも似合うとか可愛いとか言ってくれるけど、あんまり色んな女の子に言うと勘違いさせちゃうよ?」
「え、俺のことそんなチャラい男だと思ってたの。…あー噂か。一応言うと、◯◯◯とか言うの、帆乃花に◯◯だから」
「うん…?ごめん、よく聞こえなかった。」
教室では興奮した男子が「うおー」「よっしゃー」とか時折雄叫びを上げていて、ちょうど蓮の言葉と被ってしまって聞こえなかった。
もう一度言ってもらおうと蓮の目をじっと見ると、蓮が私の頭に手を伸ばしてぐしゃぐしゃとかき混ぜる。蓮が私に触れるなんて初めてで、ものすごくドキドキしたけどなんとか平常を装って抗議する。
「あ、もう髪の毛ぐちゃぐちゃになっちゃうじゃん!」
「ははっ、それよりこれ、自販機で水買おうとしたら間違えて押しちゃった。あげる」
「えミルクティーくれるの?」
「うん。応援してくれたお礼ってことで」
「ありがとう」
飲むのが勿体無いような気もしたけど、蓮が目の前で見ているので、キャップを捻って飲む。貰ったミルクティーは、なんだかいつもより甘く感じた。
────可愛いとか言うの、帆乃花にだけだから。




