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奥様は聖女様――契約妻になったらどういう訳か聖女にされました  作者: 赤城ハルナ
【第二章】奥様聖女ノアの旦那様職場見学

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20/21

聖女VS雷神 テスラコイルの戦い

突っ走るノアの制御がだんだん困難になっていきます。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

【雷神視点】


近年、オレの電圧が低くなってるんよ。見てよ、オレの電圧計!


上が90V、下が50V!


オレの電圧低すぎ?


隣国の雷電どもは電気満々なのに。

何だかここ五年くらい低電圧でダルい。年に何回も激しい雷雨を引き起こすほどの電気力だったのに……。


何で!?


(あそこら辺に何かいる!)


敷地内にでっかい寺院があるあの屋敷が怪しい。あそこからオレの電気が吸われている気がするんだ。

あと、チョット離れたあのちんまりした屋敷も怪しい。

でっかい街の小さな店も!


もぅ〜、頭にくるから請求書出しちゃおう!

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



「聖女様がこの国にご降臨なさり、寺院で祈祷を初めて以来、激しい雷雨や洪水、竜巻が鳴りを潜めまして、天災の危険が低くなりましてございます」


 ということを、『聖女寺院』の司祭様に感謝された。


「あ、え〜と、そうなんですか?」

「もちろん、ノアの力は素晴らしいのだ! 司祭殿も感謝してほしいな。ついでに寺院予算も増やしてほしいものだ」


 偉そうでがめつい旦那様。

 そういえば侯爵様だったわ、議員でもあるし。実際に偉い人だった。


「聖女様、いつもありがとうございます!」


 ううっ、わたしに力はないのよ、たまたまなんだから!

 未曾有みぞうの天災が起きたらどうしよう……。


「ノア、何か心配事でも?」

「心配事だらけです」

「俺が抱っこしてやるから、心配しなくても大丈夫だ」


 わたしは領地の寺院で旦那様の人間椅子に座りながら、偽聖女認定されて処刑される前に、どうやって元いた世界にトンズラしようか考えた。


 ――ヒント:特異点。





「侯爵邸に、謎の請求書が来ております」


 ある日執事のアンガスさんから、奇妙な請求書を見せられた。


「何だ、コレ?」

「さぁ?」



- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

そなたらは我――雷神の電気力を吸いまくっている。その分を支払いなさい。ここに五年分の請求書がある。支払い方法は次のどれかを選ぶこと。期限は本日から五日以内。


総額¥500,000,000イェーン -

・銀行支払い

・郵便局支払い

・雷電ペイ

口座番号:10KI10KI10KI10KI

(注:レートは超古代通貨[YEN])

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



「なっ、何ですか、これは!?」

「郵便局支払いとは?」

「雷電ペイとは?」

「そもそも『イェーン』とは?」


「超古代通貨[YEN]ですって!? 年間一億円!? 大規模工場かよ! ぼったくり過ぎ、雷神許すまじ!!」


 わたしは激怒した。

 いくら何でも電気代高すぎ!


「落ち着け、ノア。こんないたずら文書は警察に届けて調べてもらう」

「敵は天空にあり!」


【必殺、ライトセーバー二刀流!】


 わたしは庭園に出て、昨日から上空に居座っているラピュタ雲に向かい、赤と黄色の二刀流ライトセーバー(高級オモチャ)をぶんぶん振り回して暴れまくった。


「ふーっ、ふーっ……」


「「「「お、奥様、聖女様、落ち着いてくださいませ!」」」」

「ノア、落ち着け。こんな実態の無いものは無視すればいい」

「雷神に話をつけて来る!」

「「「どうやって?」」」


 ここに、聖女ノアと雷神との戦いの火蓋が切って落とされたのである!





「ドローン召喚!」


 ドン、ドドン!!


「行けぇっ、マイドローン!」


 わたしはリモコンを操作してドローンをラピュタ雲へ飛ばした。


「ラピュタ雲をやっつけろ!」


 届かなかった。


「クッソ〜!」


 フーッ、フーッ……。


「落ち着け、ノア!」

 後ろから旦那様に羽交い絞めにされた。


 すると直後に巨大な雷鳴が起こり、ホワイト屋敷の森を襲った。ものすごい音をたてて何本もの木が倒れた。


「何ということだ!」

「雷神様の怒りだ!」

 司祭さんとシスターたちが叫んでいる。


 絶対あそこには、クソ請求書を送りつけてきた雷神がいる。

 異世界にも雷神がいたとは!?

 それならこっちだって!!


「みなさん、今すぐ寺院へ避難してください!」

「待て、ノアはどうするんだ?」

「わたしは雷神と話をつける!」

「そんなことはいいから、ノアも避難しなさい!」


 旦那様の言葉を無視してわたしは次の手を打った。


「避雷針召喚!」


 わたしは十本の巨大避雷針を屋敷裏の丘に出現させた。


「かかってらっしゃい、アンタの電気を全部吸収したげるし、全部使ってあげるから!」


 ACか!? DCか!?

 交流か!? 直流か!?

 テスラか!? エジソンか!?


 テスラさん採用!


「巨大テスラコイル召喚!」


 ドドドォ~ン!!!!!


 本当に出たっ!

 高さ十メートルはありそう。

 こんな大きなコイル、存在したの?


「「「おおっ、バベルの塔だ! 超古代文明が現れた!!」」」

「これで雷神の電気を全て吸ってやるんだから!」


(作者注:雷神の電気を全部吸ったら、ノアの家電品は使えなくなります)





 何百回もの雷鳴が轟いた。避雷針が雷を吸収し、テスラコイルがブンブン唸った。

 それと同時に、コイルが紫色のイナズマを放電しまくった。


 みんな両手を合わせて祈っている。

 そんな暇があるのなら避難すればいいのに。





 半時過ぎたかな?

 突然雷鳴が止み、ラピュタ雲が消えた。


「勝った! わたし雷神に勝ったのよ!」

「そ、そうなのか?」

「あぁ、ありがとうございます、聖女様!」


「ということで、解散で〜す。皆様、お疲れ様でした!」


 どうやら雷神様との戦いは決着したみたい……?


 そういえば、何でWiFiが繋がってるんだろう? 配信料は?


 ま、いっか。



- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

【雷神視点】


何で?

何でさらにオレの電圧が下がってんの? このままじゃ隣の雷神にやられちゃうよ……。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



【雷神入院中】

 そんなのぼりがこの国の上空に掲げられた。それにより周辺諸国からの侵略が始まるのを誰が知っていただろうか。


 その日から一週間ほど、ノアの家電製品は使えなくなったのである。

☞『テスラさん採用』は、『刑事マードック』一話を見て思いつきました。

☞次回は第二章の最終回、第三回目契約更新です。何かが崩壊する!

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