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私ケットシー!転生したからなんかやる!  作者: 居鳥虎落
第一章*異世界での生き方*

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9/12

俺!異世界に降り立つ!III


 大木の果実を諦めて、俺はまたえっちらおっちら森を歩く。

 大木から離れて少ししたら木の実が生えた低木を見つけた。

 

 果実に比べたら小さいし水分もないけど、この異世界で贅沢なんて言ってはいられない。

 有り難く頂いておこう。

 発見した木の実は野苺みたいな感じだった。


 あ、待った食べる前にこの木の実に毒がないのか確認しなければまずい。

 日本には、見た目がとんでもなく美味しそうなキノコでも毒があったりした。

 この野苺の様な代物が、絶対に毒がないなんて言い切れない。

 

 どうするか……。


 見た感じは、普通の野苺っぽい。

 瑞々しそうな赤色で、匂いも甘くて食欲を唆る。

 本当に日本の野苺と大差ない。

 試しに石で割ってみたけど、中も毒々しい色はしてない。至って普通の色。

 うーん、見ても全くわからない。

 見れば見るほど、普通の野苺だ。

 

 数分野苺を凝視して悩んでいると、俺の疑問に答える為なのか、頭の中にAI音声の様な声が聞こえて来た。



 《ロアプルーヴィを取得しました。》



 ……ろあぷるーゔぃ?

 え、なんで今スキルが手に入った? 俺ただ、野苺ガン見してただけなんだけど……。

 

 混乱している俺の頭の中に、さっきと同じ声が聞こえて来た。



 《ステータスを表示してスキルを確認しますか?》



 うん、と? すてーたす? すきる……?

 表示して確認って、一体どういう……。



 《ステータスを表示してスキルを確認しますか?》



 何も答えない俺に、謎のAI音声は再度聞いて来た。


 えっと、これはあれだな。

 はいかいいえを答えるまで永遠に聞いて来るに違いない、よく分からんが確認するに越した事はないだろう。

 

 確認します、表示してください。



 《畏まりました。ステータスを表示します》



 【ステータス】

 name:未定

 species:ケットシー

 

 『スキル』

 ロアプルーヴィ


 『称号』

 元地球人



 AI音声に了承を伝えると、なんか色々出てきた。

 nameは名前のことで、両親が見当たらないし名付けられてないから未定って事でいいんだよな。

 両親か、自分で名前を決めたらここに表示されるって認識でいいんかな?

 speciesって種とかの意味あるよな? ならこれは種族とかであってるはずだ。

 ケットシーって表示されてるし。

 スキルは1つだけで、さっき取得したロアプルーヴィ。

 ロアプルーヴィって何語だ? ゼユミュ語とかなのか? 地球では聞いた事がない発音をAI音声が発している。


 てか、スキルの事は置いといて、称号が大分問題だな……。

 元地球人ってのはヤバいだろ。俺は転生者です って書いてあるのと変わらない。

 どうするかこれ……これが隠せる様になるまで人前に出れない。

 いや、バレてもいいんだけどなんかめんどくさそうな気配がするから、出来る限りバレたくない。

 人のステータスとかを見る事が出来るスキルがない限りは、何の問題もないんだが……ないって確証もあるって確証も今は出来ねぇから、人前には出ない方が良いだろうな。

 スキルを隠せるスキルがあれば1番いいんだが、そんな便利すぎる且つ悪用されそうなスキルあんのか?

 ガチ欲しいわ。


 ふう、二足歩行の他に課題が増えたな。


 ま、兎にも角にも、問題は一旦置いといてロアプルーヴィの説明でも見てみますかー。



 【ロアプルーヴィ】

 鑑定スキルの中で最底辺のスキル。

 物を凝視し、実際に触り観察する事で取得可能。



 なるほど、魔法書とかが存在するわけでは無く自分自身の行動でスキルを会得出来るのか。

 最底辺のスキルだが、スキルはスキル! 人生、猫生……いやケットシー生? で初めてのスキル……純粋に嬉しい。

 凝視して尚且つ実際に手に取って触らないと、このロアプルーヴィは手に入らないってわけか。

 だから、大木の果物を見てた時にこのスキルは手に入らなかったんだな。



 さっそく野苺もどきにスキルを使ってみるか。

 …………スキルってどうやって使うんだ。

 取り敢えず凝視したら取得出来たんだから、もう一回凝視してみるか。



 【ノノの実】

 ゼユミュの極々ありふれた果物。

 そのままでも食べれるが、パイに入れるのも人気。



 おおー、すごい。

 目の前にウィンドウ画面の様なものが現れて、木の実の説明をしてくれた。

 説明文に毒と書かれていないし、そのままでも食べられると書いてあるので取り敢えずこの場で食べても良さそうだ。



 鑑定した事によって安心感が芽生え、ノノの実を口の中に放る。

 一噛みするとプチッといい音がして、中から果汁が出て来た。

 果実ほど甘いわけではないが、ほんのり甘さを感じる代物で腹と喉が同時に満たされて、餓死の心配が無くなり少しホッとした。


 

 軽く空腹が満たされた俺は、一旦洞窟に帰る事にした。

 このまま歩き続けても良いけど、小さい体で遠くに行き過ぎたら、疲れ果てて帰って来れなくなってしまうかもしれない。

 それは流石に避けたいので、疲れを感じていない今のうちに帰ろう。

 幸いな事に木の実の場所は見つけた、明日来る時は今日来たよりもスムーズにこれるだろう。

 




 手ぶらで帰るのは不安だったので、そこら辺に落ちている葉っぱにノノの実を数個包んで、それを口に咥えて洞窟まで戻った。

 これで今日分の食事は問題ない。

  

 そして、太陽が沈んで来て俺は新たな問題に気づく。

 光源がない事だ。


 どうしようか、俺のこの猫の手では火を起こすのは難しい。人間の大人の手であってもむずいのに余計無理だ。

 じゃあどうするか。

 火の魔法を今この時、使える様になるのが1番良いんだけど、正直全く出来る気がしない。

 まぁ、ダメ元でイメージだけはしてみるけどな。


 うーん、イメージ。

 ライターとかで良いか? ライターがカチッとなって火が出るのをイメージしながら手を前に出す。

 んぐぐぐぐぐぐぐッ。


 ……………………………………。


 はぁ、風の魔法をイメージした時と同様に何の反応も示さなかった。

 ロアプルーヴィと他の風魔法や火魔法は、一体何が違うんだろうか。

 単純にイメージする力が弱いのか、それとも風魔法や火魔法は魔力の消費量がロアプルーヴィよりも多く、俺の魔力量が少ない事により使えないかだと俺は思ってるんだけど。

 他にも何か原因があるんだろうか。


 原因がどうあれ、今日の夜は明かりなしで過ごす事が決定した。





 

 日が完全に落ちて月が昇って来た。

 月は地球とは違って、とても綺麗な翠色をしていて、思わず見入ってしまった。

 地球で、こんな風にゆっくり月を眺めた事あったっけ、がむしゃらに働いて空なんて眺める余裕なんて無かった。

 これからはその余裕も出て来るかもな。


 いや、異世界って危ないし……こんなにゆったり出来てる方が変か。

 今だけの余裕に感謝しよう。


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