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私ケットシー!転生したからなんかやる!  作者: 居鳥虎落
第一章*異世界での生き方*

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10/12

俺起きた!探索をするぞ!

 昨日は一日中歩いたので、筋肉痛で体が酷い事になっているはずだと恐怖していたが、若々しい子猫の体は疲れなんて感じること無く、ピンピンしていた。

 起き上がる時に関節の節々に痛みを感じない、スムーズに起き上がれる……最高か、この体。


 昨日やること無くてすぐに寝たからなのか体力も戻っているし、魔力も減ってるか変わんないけど減ってたら回復してるだろう。

 ステータスでは体力とか魔力の確認は出来ないから、何とも言えないんだけどな。

 一応ステータスの確認はしておくか。



 【ステータス】

 name:未定

 species:ケットシー


 『スキル』

 ロアプルーヴィ


 『称号』

 元地球人


 


 スキルの欄に昨日手に入れた物から変わっていない。

 寝ている間になんか取得してないかって少し期待してたんだが、そんな都合いいことはないな。



 さて、朝起きてまず最初にやる事と言えば顔洗いだよな? まぁ、って言ってもここには水もないし、タオルもその代替え品もないから猫みたいに自分の手で毛繕いするしかないんだけどな。

 毛繕いするのは割と気持ち良かったんだけど、自分の体を舐めるのには抵抗がある。

 流石に元人間的に無理だ、諦めよう。



 

 そして、毛繕いをした後にやる事は当然朝ごはんを食べる事だ。

 今日の朝ごはんは昨日摘んできた木の実と野草。

 火はまだ起こせないから生のまま食べるしかない。

 美味しいからいいんだが、ちょっと物足りねぇ。

 早急に肉が食べたい。タンパク質を体が求めている。

 てか、肉じゃ無くてもいい植物以外の食べ物が欲しい。

 ……よし! 探しに行くか! 川を!

 肉食べたいけど、正直今の俺の体で動物をどうこう出来るわけねぇし、絶対返り討ちにされる自信しかない。

 よって、俺の選択肢は魚しかないという事だ。

 魚が凶暴で無い事は一応祈っておく、ここは異世界なんだ、どんなのが出てくるかなんて分かんないだろ?

 魔法が使える様になったら肉食えるといいなぁ。

 川を見つけたら魚と同時に水も手に入る。

 一石二鳥だな。




 昨日行ったのは南。

 南方向の探索を全部した訳ではないが、俺のこの子猫の体で移動できる範囲には川や湖は無かった。

 海は遥か遠くにあるのでまだ行けないし、今日は北方向を探そう。

 そう思い、俺は昨日と同じ様に洞窟を出て、昨日とは違う方向に歩き出した。



 北に歩き続けて少しして、食べられる木の実をいくつか見つける事が出来た。


 見た目が林檎まんまの【ゴゴンの実】味は瑞々しくて林檎よりも梨に近い食べ応えだった。

 他にも柘榴そっくりで味も柘榴そのものの【ロロクの実】。

 どれも毒は無かった。

 ちゃんとスキルで調べて毒有りとは書かれていない事は確認したし、カタタンでも良く食べられているとも書かれていて、生でも食べれるって書いてあった。

 今のところ体にも異常は出ていないからこのスキルは信用しても良さげだ。



 あぁ、それから南側には全くいなかった動物を数種類見つけることもできた。


 見つけたのは、鹿、兎、リス、モルモット、熊、牛、羊……とにかく色々な動物がいた。

 昨日の静けさはなんだったんだって言いたくなるくらいいた。


 因みに動物達をロアプルーヴィで調べてみたが、エラーが出て詳細を見ることはできなかった。




 鑑定出来なかった理由をうんうんと悩みながら歩き続けていると、目の前に何やら大きな物体を発見した。

 目を凝らしてよく見てみると大きな物体の正体は熊だった。

 俺なんか豆粒に見えるほどの巨体と鋭い爪、長く牙、真っ黒でゴワゴワとした体毛。

 そんな熊が今まさに口を血で汚しながら、狩ったであろう鹿を貪り食っていた。



 自分の全身の毛が逆立って尻尾が膨らんでいくのが見なくても、感覚で分かる。

 これは、やばい……バレたら確実に殺される。

 俺みたいな子猫は瞬殺だろうし、会話なんて絶対にできる訳ない。

 幸いな事に今は鹿に夢中で、俺の方を見ていない。

 逃げるなら今だ。

 熊に気づかれない様にゆっくりとした足取りで後退し、草の陰に身を隠しておこう。

 血の匂いが充満しているこの場所で、匂いで気づかれるってことはないだろう。


 そんな事を考えながら後退をしていた時、熊が何を思ったのかは知らないが、急にこちらを振り向いた。

 その血走った眼光の鋭い目に俺は、簡単にその場に縛り付けられた様に動けなくなった。

 

 まずい、殺される。


 そう思った瞬間、熊がガッと手を俺の方に振り下ろして来た。

 思わず目を瞑ったが、いつまで経っても痛みや衝撃はやってこない。

 恐る恐る目を開けると、先ほどの血走った目が嘘かの様に、熊の目がクリクリと可愛い感じの目になっていた。

 その表情は不思議そうで、首すら傾げている。

 あれ、口についてる血以外は可愛いな。

 

 不思議そうにしている熊の態度に俺も首を傾げると熊はのそりと立ち上がり、近くの木に向かって行った。

 木に何かしている様だけど、熊の体がデカ過ぎて何をしているのかは見えない。


 数分ガサゴソした後、熊は俺の前に戻って来て大きな手を差し出してくる。

 その手のひらには黄金に輝く、甘い匂いのする蜂蜜が葉っぱに乗っていた。

 

 よく分からんが、差し出して来たという事はもらってもいいという事だろうか?



「みぃー? (もらっていいのか?)」



 一応言葉を発しては見たが猫の鳴き声しか出ない。

 これでは伝わる訳なく、熊はまた首を傾げた。

 しかし、首を傾げながらも俺にグイグイと押し付ける様に蜂蜜を押し付けて来た。

 怖い怖い、手に付いてる血が怖い。

 俺の毛につく。やめて。

 

 しかし、これはもうもらっていいって事だろう。

 遠慮する事なく頂こう。貴重な甘味だ、この機会を逃したらもう二度と手に入らないかもしれない。



「みい! (ありがたく頂くな)」



 返事をしながら蜂蜜を受け取る。

 よくみると熊が持って来た葉っぱは、俺用に小さい物だった。

 気を遣ってくれたんだな。


 もしかしてだけど俺……と言うかケットシーって種族が、熊にとっては捕食対象では無いのかもしれない。

 地球では精霊扱いだったし、こっちでも一緒の扱いで腹に入れても膨れないから要らない感じか?

 ……よく分からんけど、食べられなくて良かった。

 見つかった時は流石に、俺のケットシー生終わったと思ったからな。


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