(4)ネットライバーとリスナー 義理の父娘(おやこ)の純愛物語
ネットライバーとリスナー 義理の父娘の純愛物語
ネットライバーの賢治と視聴専門リスナーの美咲が、義理の父娘として交流する三年弱の純愛物語である。
早くに父親を亡くし強度のフアザーコンプレックスの美咲が、義父の賢治に対する愛の葛藤を乗り越えて、賢治の協力を得て結婚相手と結ばれるまでの物語である。
○大阪訪問の日になった。
「美咲。おはよう。今、ソウルの空港だよ。ビジネスラウンジで朝食をしているよ。予定時間に飛ぶようだ」
「お父さ~ん。おはよう。ソウルの空港なのね。インスタのラウンジの写真に食事が色々あって羨ましいよ。時間通りに飛ぶのね。関西空港に迎えに行こうかな?」
「お父さんは子供じゃないから、出迎えは要らないよ~(笑)。ホテルで十四時に会おうね」
「お父さんは冷たいんだから! 分かりましたよ。ホテルで会いますよ!」
「何か怒ってるんだね(笑)十四時には会えるんだから、無理に遠い関空まで来なくてもいいと言ってるだけじゃないの」
「怒って無いよ!少し拗ねてみただけよ(笑)十四時にホテルでね。待ち遠しいよ(笑)」
※関空に着いた。
「関空に予定時間に着いたよ!今から電車でホテルに行くよ」
「お疲れ様。待ってますよ~」
「美咲。ホテルでどんな顔で会おうかな~(笑) 」
「お父さん。私もどんな顔で会おうかな~ 恥ずかしいな~(笑)」
「お互いに普通の顔で会おう(笑)」
「そうだよね(笑) 」
「美咲は私の顔を知っているが、私は美咲の顔が分からないから、ロビーで美咲から声を掛けてよ」
「は~い」
○ホテルのロビーに約束の三十分前に着いた。
※突然、小走りの若い女性が飛びついてハグをして来た。
「お父さん。美咲よ! 会いたかったよ!」
「美咲なんだね。やっと会えたね。突然のハグは驚いたが、嬉しいね、座ってゆっくり話そう」
「は~い」
○ホテルロビーのソフアーに座り話を始めた。
※ロビーは空いていて、ゆっくり話が出来た。
「お父さん。握手して!」
「今ハグしたのに?」
「ハグは、お父さんの温かさが伝わらないのよ」
「OK握手しよう」
「お父さんの手が温かいね」
「美咲の手も温かいね。興奮してるから、いつもより温かいかもね(笑)」
「お父さん。私も興奮してるから、そうかもね(笑)」
「美咲は想像していたより、美人で可愛いね!薄化粧で良いね!背も高いね(笑)」
「ホント?! ありがとう(笑)。お父さんは、ライブで見るより断然かっこいいよ(笑)私の背は164なのよ」
「ありがとさん(笑)美咲も賢治も本名じゃないが、取りあえずはライブのIDのこの名前で行こうか?後で本名を話そうか?」
「そうね賢治さん(笑)。呼び慣れてるから取りあえずそのまま行きましょう(笑)」
「奥さんは化粧をするの?」
「家内は化粧はしないね。化粧水をつけるくらいだね」
「私も同じだよ。今日は、お父さんと初めて会うので、薄いリップを塗ったけどね(笑)」
「そうなんだ。美咲は美人なんだから、薄化粧が良いと思うよ。美咲は早く来たの」
「そんなに褒めないでよ!約束の一時間前に来たの」
「早く来たんだ!」
「家に居ても落ち着かないもん(笑)」
「私は電車の中で走って来たよ!(笑)」
「お父さんの冗談が面白い!(笑)」
「初めて会ってみて恥ずかしい感じが無いし、以前から会っている感じなんだよな(笑)」
「私も同じよ。親しい人と、久し振りに会ったような感じだよ(笑)」
「今まで会うことを二回断られたね。会うまで時間が掛かったよね(笑)」
「お父さん。ゴメン。今までライブの関係者と、単独で会ったことが無いので、なんとなく怖かったし、お父さんとはDMで話している分、恥ずかしかったのよ(笑)本当にごめんなさい(笑) 」
「お父さんもよく似た気持ちだよ。今回、こうして会えたんだからね! 私達はネット世界の交流だから、会うことが目的じゃないからね。謝る必要は無いんだよ(笑)」
「明日まで時間があるから、ゆっくり何でも話そうよ」
「は~い。ゆっくり話せるよね(笑)」
「美咲。何でも聞いてよ!私も何でも聞くよ!」
「お父さん。お互いに隠しっこ無しだよ」
「勿論だよ!軽い話もあるが、重い話もあるかもね。隠しっこ無しだよ」
「は~い」
「このホテルのロビーは、広くて空いているし、景色も良いだろう」
「はい。良いですね~」
「ただ、コーヒーショップや自動販売機が無いから、飲み物は下のコンビニで買ってこないといけないけどね。その分、関係無い人が来ないようだね」
「ゆっくり出来て良いですよね」
「美咲もデートの場所に良いんじゃないの。そのつもりもあって、今日はここを選んだんだが(笑)」
「お父さん。突然、何の話ですか!今、話題が違うでしょう!」
「相変わらず、デートや恋愛の話になると怒るんだ(笑) ゴメン。DMでは誤解の可能性があるから、会える機会があれば聞こうと考えていたんだが、過去に何かあったのかな? 言いたくなければ言わなくても良いんだよ」
「言いたくない訳じゃ無いんですけど・・・」
「そうなんだ。初っ端から嫌な話しをしてしまったようだね。台湾のライバーに騙されて人を信じなくなったと言ってたが、関係あるのかな?」
「う~ん」
○台湾のライバーのロマンス詐欺に引っ掛かった話になった。
「嫌なら無理しなくても良いんだよ。話題を変えよう」
「お父さん待って! 今回は何でも隠さないで話をする約束だから、話すよ!」
「美咲。無理しなくても良いんだよ!」
「いや! 話します! お父さんだから何でも話すよ! 実は三年前に台湾のライバーとDMで交流していたの。私は中国語は出来ないが、英語が出来るので、相手も英語が出来るのでDMで交流していたの。初めは普通にライブの話や日常の話だったの。しかし、お父さんも言ってるように、ネットの交流は深化するのが早いよね」
「そうだね。私たちの交流も早く深化したよね」
「それで、いつの間にか恋人のような感じになったの。その時は一度も会って無かったの。向こうの顔出しのライブを観ていただけだったの。その辺りで気が付けば良かったのに、凄く気が合う感じだったの。今思えば、相手が合わせていただけなのにね。恋愛の経験が少なかったので、相手のペースに引き込まれていたのね。
その時に、彼から有利な投資案件があり、五百万円を投資したいが、手持ちが二百万円足りないんだ、との話になったの。冷静に考えればよくある詐欺の手口なんですが。恋愛感情があったので信じてしまい、私が二百万円を用立てすることにしたの。
それで、送金をすると先々面倒だ。との話で、彼が大阪に来ることになり、ホテルのロビーで会って二百万円を渡したの。そして、トイレに行ったきり戻ってこなかったの」
「その後、音信不通なんだね」
「そうなの。直ぐにライブのIDを探したが、削除されてたの。DMもブロックされてた!」
「よくある、国際ロマンス詐欺だね」
「そうですね。私が馬鹿でしたね」
「その時は、まだ二十五歳だろう。そんなに恋愛や結婚を急いだりする年じゃないのにね」
「そうですよね。何だったんでしょうね?そのようになるように持っていくのが詐欺の手口なんでしょうね」
「大きな高い勉強代だよね。しかし、そんな人に言いたくないことを話してくれてありがとう。これで、疑問が解消したよ」
「お父さんだから話せたの。お金は戻りませんが、誰にも話していないことを、お父さんに話をして、気持ちが軽くなったよ。ありがとう、を言うのは私の方だよね(笑)」
「気持ち的には悔しくて複雑だろうと思うが、少しは笑って話せるようになったんだね。今後の人生の糧にしようね。しかし、そのことで誰も人を信用しないのは少し違うかな?そんなことを言ったら、私との交流も信用できなくなるよね。出来ればケースバイケースで判断できれば良いんだけどね(笑)」
「はい。これからはそうします。お父さんと話していて、そう感じたの」
「この話は美咲の心の傷が完全には癒えていないようだから、話はこれぐらいにしょうね」
「お父さん。初めから重い話でごめんなさい」
「美咲が謝ることは無いよ。初っ端に聞いた私が良くないのよ。私がゴメンね」
「お父さんが謝る必要はないよ。お父さんは、優しくもあり厳しくもあるよね。本当のお父さんみたいに感じるよ」
「ありがとう。私も本当の娘みたいに感じてるよ。重い話も軽い話も順番はどうでも良いのよ。思いついた時に話をしようね(笑)」
○ホテルのチェックインの時間になった。
「あ!チェックインが始まってるから。チェックインして、トランクを部屋に置いて来るから、少し待っててね」
「は~い。私も部屋を見たいから、付いて行っても良いでしょう?」
「良いけど。男の部屋に行くのはヤバクないかな~」
「お父さんでしょう?何がヤバイんですか?」
「くぎを刺されたね(笑) 」
「チェックインしてくるよ。待っててね」
「は~い」
「お待たせ。行こうか」
「は~い」
「この部屋だね。シングルだから狭いよ。コンパクトだが奇麗なんだよ」
「本当だね。コンパクトで奇麗よね」
「トランクの荷物を出して整理するから、椅子に座って待ってね」
「椅子よりも、ベットに横になっても良い?」
「構わないけど、余り女性の雰囲気は出すなよ!(笑)」
「親子の雰囲気しか出さないよ(笑)」
「トランクが大きいだろう。食品や薬や衣類や雑貨などを買って帰るんだ」
「そうなんだ。韓国に無いの?」
「あるけど、種類が少なくて気の利いたものが無いのよ」
「それでトランクが大きいんだ」
「帰りは三十㎏以上になるよ」
「重量オーバーにならないの?」
「いつも乗る航空会社はVIPカードがあるから大丈夫なんだよ」
「そうなんだ。良いね」
「日韓で会社経営していた時は、毎月往復していたからね。家も大阪とソウルに有ったしね」
「奥さんが両方に居てたりして(笑)」
「娘さん!キツイ話をするね。今回、お父さんとリアルに会ってみてどう思う?」
「冗談だよ!お父さんはそんなことは絶対に無いと思うよ」
「家内は十年ほど大阪にも住んでいたね」
「そうなんだ。奥さんも大阪に住んでたんだ」




