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「テオ様、優勝おめでとうございます!!」
ルーナがサロンの真ん中で音頭をとる。
「かんぱーい!!」
みんなで、マクシミリア領特産の葡萄ジュースが入ったグラスを高く掲げた。
BクラスとCクラスの参加希望者での優勝パーティだ。
といっても、テスト勉強会の打ち上げと中身はあまり変わらないけど。
ルーナは乾杯をしに回っており、シモンの所にも来ていた。
「シモンもすごかったね! お疲れ様。…………私身体を張ったんだから海外逃亡の件、よろしく」
ルーナが少し死んだ目でシモンに言った。
「お、おう。いつでも任せろ!」
「海外逃亡って何??」
いつの間にか近くにきていたテオ様が、シモンに詰め寄っていた。
「……い、いやぁ」
黒いオーラを発しているテオ様にシモンがタジタジだ。
この2人は剣術の強化練習をしたからか、なかなか仲良くなっていた。
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優勝パーティが始まってしばらく経つと、リンス先生とルーナはいつもの隅っこのソファでコソコソお酒を飲んでいた。
「……やっぱり飲んでる……」
それを見に来たテオ様が、呆れた顔をして呟いた。
「テオか! 優勝おめでとう!」
出来上がっているリンス先生がグラスを高く掲げる。
「リンス先生、ライスワインの方がアルコール強いので飲みすぎないで下さいねー」
ちょっとだけいい気分状態にほろ酔いしているルーナが、ニコニコ笑いながらライスワインを飲んでいた。
「……今日は僕も飲もうかな」
珍しく、テオ様もお酒を飲みたがった。
前のようにソファに座るからちょっと寄ってと手を振って促す。
酔っ払い2人は素直に従った。
「テオ様弱いんで、ちょっとだけですよ〜」
ニコニコ顔のルーナが、新しいグラスにライスワインを注いでテオ様に手渡した。
そしてルーナがテオ様のグラスに自分のグラスをあてる。
「あらためて、優勝おめでとー」
「ありがとう」
テオ様がライスワインを一口飲みながら、穏やかに微笑んだ。
「最後の戦いなんか凄かったなー!」
リンス先生が奥から褒めだした。
「容赦ない連撃で、相手にトドメを刺すんじゃないかとヒヤヒヤしたよ」
リンス先生がケタケタ笑いながら言った。
ソファの後ろの席からも声がした。
「テオ様の鍛錬も容赦ないんだよなー」
今日はエマとサッシャとレオンに加えて、シモンとその婚約者のルクアが後ろの席に集まっている。
さっきの発言はシモンだ。
「テオ様はどうしてあんなに強いの?」
エマがレオン様に聞いていた。
「うーん、アルザイック家の鍛錬がすごいんじゃないかな?」
レオンはいつもの笑顔で言った。
本当は王宮での鍛錬だからだ。
生まれ持った才能の部分もあるが。
サッシャがエマの腕をツンツンしながら喋った。
「ねぇねぇ、今日はテオ様、何でルーナがお酒を飲むの許してるんだろ?」
そして「いつもは、酔ってるルーナを他の人に見せたくないから禁止してるの」と面白そうにルクアに教えていた。
「んー……優勝したからかなぁ?」
エマが分からないながらも予想を言う。
「違うと思うよ」
レオンが笑いながら言った。
みんながレオンの方を見る。
「もう少ししたら始まるアレに誘うために、お酒の力を借りてるんだと思うよ」
「「あぁ〜」」
一同は納得した。
もう少ししたら秋麗祭の締めくくり、鎮魂のひとときが始まる。




