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そうだ、お酒を飲みに行こう!〜お酒大好きアクティブ令嬢と偽り身分の王子様〜  作者: 雪月花


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※王子視点

「そろそろルーナを返してもらいますよ」

 テオがソファから立ち上がった。


「……んー……」

 羽目を外してライスワインを飲んだリンス先生は酔いすぎてグッタリしていた。


「今日は優勝した僕のお祝いだから。ルーナ、ちょっと着いてきてくれる?」

「んー?? いいよー」

 いい具合に酔っているルーナがニヘラっと笑って返事をした。

 そうしてルーナと連れ立ってサロンを出た。

 

 鎮魂のひとときであるランプの点灯がそろそろ始まるため、それを見に行こうとする者で、サロンの出入口はガヤガヤしていた。


 


 サロンを出るとルーナと手を繋いだ。

 

 ルーナは酔っているからか、学園内で手を繋いでも何も言わなかった。


「どこ行くのー?」

 ニコニコしながらルーナが聞いてくる。

「優勝者には、学園の特別な場所を今日だけ開放してくれるんだって」

「あーそういえば去年もそうだったかもー。高い場所から鎮魂のひとときを眺めていたよねー。もしかしてそこに行けるの?」

 嬉しそうなルーナの声が、テオの後ろから聞こえた。

 

 

 


 2人が着いた場所は、カンデラアカデミーの空中庭園だった。

 移動している間に点灯の時間になったらしい。

 空中庭園内にもランプが設置されており、幻想的な庭園になっている。


「初めて入れた……綺麗……」

 ルーナはフワフワと歩き出した。

「ルーナ、誰もいないからメガネ取ってよ」

「?? いいよー」

 

 ルーナは頭にハテナを浮かべながらも、素直に従ってくれた。

 髪もとお願いし、三つ編みを解いてもらう。


「うん。闘技場での啖呵を切ったルーナだね」

「え、あー……うん」

 ルーナは恥ずかしそうに、照れてうつむいた。


「凛としてて綺麗だった。決勝で戦った相手もルーナのこと褒めてたよ」

「えへへ、照れるなぁ。戦ってるテオも、とってもカッコ良かったよー」

 ルーナはニヘって笑いながら言った。


「明日からは加護の女神って呼ばれてるかもね」

 テオはそう言いながら「行こう」と手を差し出した。

 

 ルーナは誘われるまま、テオの手を取って連れられていく。

 

 空中庭園を柵の方へ歩いていくと、下にカンデラアカデミーの裏手にある広い湖が見えた。

 そこには灯篭(とうろう)が浮かべられており、上から見ると柔らかい蝋燭(ろうそく)の光や揺らめきが一様に見えて、より一層綺麗だった。

 

 他の人たちは地上から湖の光景を眺めている。

 



「綺麗……」

 ルーナが胸ぐらいの高さの柵から下を覗いている。

 下から上に抜けていく風で、髪の毛がフワフワ舞う。


「危ないから、ここから見よう」

 近くにベンチがあり、テオがすでに座っていた。

 ベンチの近くもそこらかしこにランプがあり、何とも幻想的だ。

 

 ルーナはテオの隣に座った。

「今日優勝したんだ。春の女神様。ご褒美に祝福してくれない?」

 横に座っているテオがルーナの肩に手を回した。

 

 ルーナはしばらくしてから目を見開いた。

 テオは、ルーナが闘技場でみんなの前で説いた神話の一節の続きを言っているのだ。

 〝魔の物を打ち滅ぼした英雄ルシファーの帰還に涙し、春の女神アリオンヌは乙女の祝福をした“

 乙女の祝福はキスのことだった。


「そっかー、優勝したもんねー」

 ルーナは赤い顔をしながらどうするか迷っていたが「まぁお祝いだからなぁ……」と呟く声がした。

 すごく酔ってる時のルーナは、テオのお願いを聞いてくれやすい。


「あー、じゃぁ、おめでとー」

 照れながらもルーナは顔を近付けて、テオのホッペに目を閉じながらチュッと軽くキスをした。


 ルーナが少し離れて目を開けるのを待つと、テオはすばやく唇にキスをした。

「ありがとう」

 

 テオは嬉しそうに笑い、ルーナを抱きしめた。

 

 

 

次回の更新は明日を予定しています。

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