駄魔王が!!
伝説の盾を手に入れた勇者一行、果たして魔王の復活を阻止できるのか?
トンテンカンテンと、鍛冶屋特有の音が響いている。
メロウスは嘆いている。
「な~~~ん~~~で~~~…」
トンテンカンテンと、鍛冶屋特有の音が響いている。
メロウスは嘆いている。
「どぅぅぅしぃぃぃぃてぇぇぇぇぇ…」
私が千年かけて準備したのにぃぃぃぃぃこぉぉぉぉなるのぉぉぉぉぉぉぉ!!
「たぁぁぁぁぁぁぁぁてぇぇぇぇぇぇぇ~~~」
勇者のりくんの手には、自分とセット装備のような盾が握られている。
「せぇぇぇつぅぅぅめぇぇぇいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
鍛冶職人達は手を止め、うろたえる親方を尻目に、勇者のりくんは答えた。
「お前と言う剣があるのだから、剣は別にいいだろう?」
「そぉぉぉいうんじゃねぇぇぇんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!」
うろたえる親方、その姿を見て、かえりんが二人の間に割って入った。
「まあまあ、落ち着いてメロウス…」
そしてメロウスを見つめながら続ける。
「メロウス、本当のことを言う時が来たんじゃない?」
「…なんのこと」
かえりんは真剣な目で、メロウスに訴える。
「実は、初代リリンから、正統後継者のみに伝承される秘密があるの」
メロウスは、その伝承の内容をなんとなく察して、自ら語りだした。
「自分で言うわ…私は…」
その言葉を、その場にいるもの達は固唾をのんで見守っている。
「刀身がないの…」
メロウスとかえりん以外は、ぽかんとしていた。
「どういうことですかい?」
「私には、刀身がなくて、鞘だけなのよ」
「レフトハンドソードは、初代勇者と共に、異世界に行きました。」
「ほほう、それは驚きだな」
『えええぇぇええ!!』
勇者以外、鍛冶屋にいる全員がざわつきだし、皆口々に、疑問の声を口にしていた。
「もう!みんな静かにしなさぁぁぁぁい!!!」
かえりんの声に、場は静まり返った。
「ともかく、この世界で伝説の剣が魔王を倒したのは一回だけで、あとは伝説のサヤ『メロウス』と、歴代の勇者が世界を守って来たの!!」
世界を救う伝説の剣がないという事実と、なくとも世界は何とかやってきたという事実の間で、困惑していた。
「あのスミマセン!」
声はしたが、みんな声の主がわからない。
「僕はどうなるんでしょうか?」
なにを心配しているのかわからないが、声のほうに目線をやると、勇者が立っていた。
「僕って結局なにをすればいいんですかね?」
その声は勇者のものではなく、職人たちのものもでもなく、もっと幼い、かわいらしい少年の声だった。
「はっはっはっ、盾は弟設定で声をつけてもらいました♪」
勇者が盾を持って、くるくると舞っている。
『・・・・はぁぁぁぁぁあ!!?』
ビシッ!と、前に構えると、先ほどまで軽そうにクルクルしていたのは、体が完全に隠れるような大楯だった。
「どうも、名前はヴァルバリンです。勇者様につけてもらいました。」
ポカーンと全体がしていると、さっきまでうろたえていた親方が語りだした。
「このヴァルバリンは、レフトハンドソード以来の傑作、素材の良さもあって、俺の鍛冶技術のすべてを反映することに成功した!俺がまた転生しても、千年に一つ出来るかどうかの奇跡の盾だ!!」
「どうも…奇跡の盾ヴァルバリンです…」
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ…
メロウスが小さな声で呟きながら、あり得ないくらい震えている。
「コンナノウソダコンナノウソダコンナノウソダコンナノウソダコンナノウソダコンナノウソダコンナノウソダコンナノウソダコンナノウソダコンナノウソダ…」
勇者は気楽に考えているようで、何事もないように言った。
「落ち着け、今までどうにかなったのだから、どうにかなるだろう。」
「そっそうよメロウスなんとかなるわよ!」
「そうですぜメロウス様、俺たちだけでもなんとかなりますって!!」
「僕のメギドラリオンで十分だと思いますけど~」
「…」
メロウスは黙り込んでいる。
「なら、魔王倒してこよう」
「えっ?どういう…」
メロウスが言い終わるより先に、いきなり場所が飛んだ!!
「あれ?ダークエルフに変身してる?」
いつの間にか、りえぞうはダークエルフの姿に変身していた。
「僕達には何があったんでしょう?」
ロイは服がズタボロになっており、かえりんにもすり傷が多少あった。
そして飛ばされた先がどこか、メロウスは真っ先に理解した。
「ハッハッハッ、それではお前たちを倒し、本格的な復活を遂げるとしようか…」
そこは1000年前、魔王の封印された場所の真ん前、そして目の前にいるのは、魔王本人…ではなく、その分身、影のようなものだった。
「では、倒すとしようか」
そういうと勇者のりくんは、魔王に襲い掛かった。
「ふっ、伝説の剣がないことはわかっている…ヘブッ!!」
勇者は盾で魔王の右頬を殴った。
「ちょっと待て勇しゃゴッッ!!」
間髪入れずに頭を盾で叩いた。
「ちょっ!!まてよ!」
ゴッシャ!!っと待たずに叩く、その後も叩いて叩いて叩きまくった。
結果…
「クックックッ…数年後が楽しみ…」
バッシーン!!
「本体が・・」
ズバーン!!
「そのと・・」
ズドーン!!
強引に魔王の影を滅ぼした。
「旦那…なんなんですかこの戦い…」
「ログを確認すればわかるだろう?」
「それにしても、影とはいえ魔王をこんなに難なく倒すなんて…」
かえりんは驚いている。
「なんだか魔王の前哨戦にもなりませんでしたね?僕達、マジ復活の時もいるんですよ?」
ロイは不満足そうにしている。
「みんな、ともかくこうなった以上は、ログとか色々は戻ってからにしましょう。」
冷静さを取り戻したメロウスの声に賛同し、帰る準備を始める。
勇者は一人、チリと消えた魔王の影の方をみて一言つぶやいた。
「僕の邪魔するなんて…駄魔王が!!」
強引に魔王をしばき殺した勇者のりくん、その使命を終え、元の世界に戻ることになったが…




