異世界の人、顔面偏差値高……ッ!
『王立エルクシア学院往き、間もなく到着します。列に並んで――』
まごうことなき駅――。
ファンタジー感どこいった?
改札もステナビの電子決済だったし……。
周囲には俺と同じ制服に身を包んだ生徒たちが大勢いる。
いやもうホント、ファンタジー感どこいったの。
俺はちょっとガッカリしながらフレームガラスの天井を見上げる。
すると遥か上空に薄っすらとだが、光の幕のようなものが見える。
「なんだぁあれ……」
目を細めてブサイクな顔に拍車を掛けていると、背後から女の子の声がした。
「都市結界……」
俺は戻らないブサイク顔のまま、声の先に振り向く。
「え……? えっと……?」
「エルディア城から半径ニ十キロの範囲をドーム状の結界が覆っているの」
表情のない顔で綺麗な女の子は説明する。
「昔は五十キロはあったらしいけど、年々小さくなっているみたい……」
何かすごく大事なことを女の子は言っているのはわかった。
だが、そんなことはどうでもよくなるレベルでその女の子は綺麗だったんだ。
「じ、自分、セーダイ・バツマルって言います!」
気が付くとカカシみたいになって、女の子に自己紹介をしていた。
「知ってる。見たから」
「え……?」
「電車が来た。前に進んで」
窓の外の景色が静かに流れていく。
駅に入る前に気が付いていたが、どうやらモノレールのようだ。
いや、そんなのはどうでも良くて、今は自分の不甲斐なさを嘆くとしよう。
俺はチラリとステナビを眺める女の子の姿を横目で見る。
光の加減で薄い桃色に見えるミディアムロングの銀髪――。
コバルトガラスのように透き通った瞳――。
片側のサイドリボンも女の子っぽくってイイッ!
身長は……俺より僅かに高いか、くぅ……ッ!
俺はすっかりこの子に心を奪われていた。
そう、初恋をしたんだ。
彼女が俺の視線に気付き言葉を紡ぐ。
さくらんぼのようにぷるんとした口が小さく開いて……。
「……変な顔」
グサリ――ッ!
ドストレートな感想にタヒにそうになった。
俺の初恋は瞬く間に終わってしまった……。
「私、魔眼持ちだから」
「はぁ、魔眼スか……」
俺は一瞬、目の前の綺麗な子が包帯塗れで意味のない眼帯を付け、ポーズを取る姿を連想する。
電車は何度か駅に途中停車した後、目的地である王立エルクシア学院へと到着した――。
結構な距離を乗った気がする。
大きな都市なんだな。
女の子の後を付いて、俺は学院の門の前で足を止めた。
こうして近づいてみると、構造物に関してはデザインが根幹から違う気がする。
空気感は現代日本に良く似ているが……、うむ、ファンタジー感大事!
「なかなかのファンタジーレベルだ!」
「なにしてるの?」
「す、すみません!」
どうしてこの子は俺に親切にしてくれるのだろうかと、疑問はあったものの、相変わらずチュートリアルナビは何も言ってくれないので渡りに船って感じで頼ることにした。
しかし、校門から学院への道すがら、周囲の生徒たちの痛い視線に晒される。
まぁ、そうだよな。
どう考えても一緒に歩いていい人間じゃないよな、俺は。
というか異世界の人、顔面偏差値高……ッ!
以前、ギリギリブサイクというカーストだった俺は、今や超絶ブサイクにまで成り下がっているようだった。
彼女が“変な顔”と形容したのも納得……。ぐすん。
「あぁ、やっぱ初期ビルドミスった~……」




