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最強スキル【勝確BGM】で異世界ヒーローしますッ!  作者: かんでんち
第二話 今、何でもするって言った……?
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まごうことなきブルマ

二話目です。

「変身――!!!」


 陽気な午後の日差しの中、花壇に囲まれた屋上でダルニャニニャンを抱えたシアが俺を見ている。


「へ~~~んしんッ! 転身! 蒸着――ッ! 癒着ッッ!」


 長靴猫はやれやれって感じのジェスチャーを、シアはそんな長靴猫をもふもふして幸せそうだった。

 あ、見てくれていると思ったのは気のせいでしたわ。


「ハァハァハァ……ちくしょうッ! 恥ずかしくなってきちゃったあぁッ!」


「ダメそう?」


 俺は膝から崩れ落ちて頷いた。

 

 先日の一件でスキル“勝確BGM”のトンデモパワーを実感した訳だが、困ったことにこのスキル、言うことをまるで聞いてくれやしない。


「おい、長靴猫。お前何か知らないのか?」

「吾輩が知るわけないニャ。それを作ったのも扱うのもご主人ニャんだから」


 使えないぬいぐるみめ……。


「ただ、吾輩がこうして顕現できているということは、何かしらの壁を越えた証明ニャンじゃないかニャ」


 そう、先日の一件から長靴猫は本人の気分次第で勝手に現れるようになったのだ。


「また、いつあのドラゴンみたいなのが現れるか分かんないからな。自在に発動できるようにすること最大の課題だ」


「当分は平気だと思う」


「え、そうなの?」


「カテゴリー3なんてそんなにいないから。カテゴリー2以下は王国軍で対処可能な場合が殆ど」


 スコープ(発生範囲)については、大型の危険な魔物程、単独行動しがちということらしい。


 それにしてもかなり切迫したタイミングに転移させられたってことだよな。

 もう少し何とかならんかったんですかねぇ、白い人……。


 俺はボロボロになったシアの姿を思い出してちょっと泣いた。


「ステナビは……?」


「試したけど、普通にダメだった。ただの情報端末としてしか使えなかったよ」


 ステナビと同期しているはずの音声さんはうんともすんとも言ってくれない。


 散々変身ポーズを試して疲れたので、シアの隣に座って手足を伸ばす。


「そういえば、今日の学院、なんだか人が多くない?」


「皆が戻って来た。ブラックドラゴンに狙われていた時はマギストとして戦闘に参加させられる可能性があったから皆休学してたの。Aクラスは強制だけど」


 マギストとは対魔物戦闘に特化したスペシャリストのことを言うらしい。Aクラスは既にマギストとして認可されており、各々が能力を最大限に活かせる装備を与えられている。


「そっか」


「セーダイのお陰」


 俺はどこか誇らしい気持ちになってニカっと笑った。


 変化と言えば、シアが少し笑うようになってくれた。

 いや、まだぎこちないけど俺にはちゃんとわかる。


 友達がいなくなって、これまで沢山の物を一人で抱えて来たのだろう。

 その重荷をゆっくりと下ろしていって欲しいものだ。



 カーン、カーン、カーン――……。



 午前の授業の鐘が響く。


「そんじゃニャ。ご主人もちゃんと勉強するニャよ」


 「いっちゃうの?」という可愛いシアの言葉を無視して、

 長靴猫は偉そうなセリフを残し消えた。


 おのれ長靴猫め! どうしてお前だけそんなにシアにモテるんだ……!?



 初めて受ける授業はどうだったのかと言うと……Aクラスは戦闘訓練が主体だった。

 初老の教師・グラハム先生の監督の下、それぞれにあったトレーニングメニューが組まれていた。


 但し俺だけ、ひたすらランニング……。


 どうやらステータスはこうした地道なトレーニングで上げるものらしい。

 試しに開いてみたが、特に変わっていなかった。

 まぁ、筋トレの効果がそんな直ぐに表れるはずはないんだが、地味だ……。


 レベルとか経験値とかあったら、めっちゃ上がってたと思うんだが、そんな都合のいいものはこの世界にはありゃせんのだ。


 俺が変身した件については、この国のお偉いさんの指示で箝口令が敷かれている……ということをグラハム先生から聞かされた。


 あくまで俺の印象だが、国もグラハム先生も、正直、俺のスキルをどう扱うべきか決めかねている……そんな感じだった。

 そりゃ、あんなとんでもない現象を引き起こすスキルだもな。しかも発動条件が不明と来たもんだ。


 てな訳で、変身しなきゃ何にもできないもやし君の俺には、兎に角体力を付けろとの指導があったのだ。


 決められたコースを走っているとシアの姿を見つけた。

 そして、一瞬にして目を奪われる……。


「あ、あれはッ!? かつての世界で封印されし、ぶ、ブルマぁ!?」


 ブルマだった。まごうことなきブルマ。

 水色に白いラインが入ったちょっとオシャレな感じのヤツだったが、俺は生まれて初めて見る実物のブルマに感動してしまった。


 シアが俺の姿を見つけて手を振ってくれる。

 ヤベェ、これ萌えタヒぬヤツ。


 相当キモい顔をしていたと思うが許してくれ。

 だって、初めて見る本物のブルマが好きな子のだよ!?

 こちとら青春真っ盛りのおサルさんだ!

 いいじゃん、デレデレになったってさ……ッ!


 危うくステナビを構えそうになったが、教室に置いてきてしまったことで、犯罪者にならずにすんだ。


 ふう、危ない危ない……。


 脳内フォルダに、ちょっとエッチなポーズで記憶することで俺の劣情君には満足して貰うとしよう。


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