第11話
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ー翌日。
あれからリリィは夢のことを思い出そうとしたが、なぜだか全然思い出せないでいた。
でも、何となくだが懐かしい感じがしたのだけは覚えていた。
それをレオンに言うと、レオンは「ならきっと、夢は見たけど完全に思い出す一歩手前ってところまで来てるのかもね」と、言った。
(本当にそうなのかしら?)
リリィは内心そう思ったが、レオンの言う事こと一理あるかもと思っていた。
〝懐かしい〟と思うことは、何かを感じたから。もしくは、何かを見て、実際に触れたからそう思うことだから。
それが無ければ〝懐かしい〟なんて思わないだろうとリリィは思っていた。
「はぁ……」
リリィは溜め息を吐くと、自分の部屋のソファーの上で体育座りをしながら考える。
『過去が知りたい』と、レオンは言った。
昨日は「体に負担もかかるから、今日の研究はこれで終わり♪」と言ってレオンに自室へと帰された。
深く追求してこなかったことに、リリィはきっと今日は過去について色々聞かれるだろうと思っていた。リリィは、それが少しだけ嫌だった。
怖かいのだ。
(きっと、あの人も私のことを気味悪いって思うわ……)
そこで、リリィはハッとなる。
「あれ? どうして、気味悪いって思ったのかしら?」
(何か大事な事を忘れているような……)
リリィは何も置いていないテーブルをジッと見ながら考える。だが、それは直ぐに晴れた。
「きっと周りの人が私のことを変と言うから、あの人も私のことを遠目で見るかもって思ったからね」と、思ったのだった。
街の者がリリィのことを変な目で見るように、レオンもリリィをそんな目で見るかもしれないという不安にかられたのだ。
自分自身納得すると、突然、体が引っ張られる感じがした。
「え? ……きゃぁぁぁぁ!!」
リリィは昨日と同じく壁をすり抜ける。引き寄せられる感覚が無くなる頃には、リリィはレオンの部屋にいた。
「レオン様! この力を使うのは止めてくだいっ!」
レオンは執務机に頬杖をつきながら優雅に微笑んでいた。
「でも、便利だよね♪」
「便利でも、私にとっては突然過ぎて驚きます!」
「うーん……まぁ、考えておくよ」
(絶対に、考えてくれないわね…)
ニコリと微笑むレオンを見て、半分以上諦めたリリィだった。
そして、ムスッとした顔でレオンを睨んだ。
見るからに、私怒ってるんですからね!という感じだ。
「それで、今日は何をするんですか?」
「そう睨まないでよ。まぁ、怒った顔も可愛いけどね♪」
「なっ…!?も、もう!そうやって、私をからかわないでって何度も言ってるじゃないっ!」
「あははは」
「〜っ」
「ごめんごめん。今日呼んだ理由は、君も分かっているんじゃないの?」
「…う。ま、まぁ。私の過去の事ですよね」
「正解♪さ、座って座って♪」
リリィはあまり気が乗らない感じだったが、断る事は出来なかったのでレオンの目の前のソファーに腰を下ろした。
するとレオンは残念そうに
「そっちかぁ」
と呟いたのだった。
「??」
リリィはレオンの呟きの意味が分からず首を傾げたのだった。




