第四話 悔しさ
キャンプ2日目
「昨日いいバッティングしてたな」
「ありがとうございます」
なんと声掛けてもらったのは同じセンターでレギュラーの勝原選手だった
勝原は経験豊富のベテランという事で2軍でじっくり調整し開幕に合わせていた。
2軍の若手からするといい機会だ。
そしてこの日発表されたのがBCSの日本代表メンバーだ
中本テントースからは境捕手、立田投手が選ばれた。
そしてまさかの落選となったのが原田内野手だ、ここ数年は毎オフ日本代表に選ばれていて今回も選出濃厚と言われた
しかしチーム内からは納得という声が多かった。
それもそのはずチームではなかなか好かれていなかったそうだ。
後輩にかなり厳しく怒ることもあるそうでその影響でチームがギクシャクした事もあったらしい。
ただ年齢は違えどドラフト同期入団の勝原の意見は違った
「あいつは口は悪いかもだが後輩思いの奴だよ」
勝原はそう言いながら悲しそうだった。
その夜散歩していると勝原と原田がなにやら話していた、そして遠くからでもわかるくらい泣いている声も聞こえた。
京崎はそこに留まって話を聞いていると勝原が近づいてきてこう言った
「聞こえてたのか?」
「途中からは聞こえていました」
そして原田が涙が光るなか言った
「このことは境以外には言わないでくれ」
「はい。 でもなんで境さんには言っていいんですか?」
原田より先に勝原が口をひらいた
「昔からの仲でな、まぁ詳しい事はまた話す」
そう言われそのまま3人で宿舎に戻った。
キャンプ5日目 2軍監督からこの日話されたのは、8日に1軍2軍合同で紅白戦をするという事だった。
「ここでアピールできれば」
そう思ったのもつかの間 監督が続けて言った
「2軍のルーキーは出場しない」
「なんでですか?」
思わず口に出てしまうほど唖然とした
そして監督は言った
「お前たちはまだ高卒1年目で体作りの段階だ焦らずに行こう」
自分は、 はい としか言えなかった。
ただ心の中では悔しさが大きかった
ミーティングの後、勝原から声を掛けられた
「悔しいだろうが体作りは大事だ」
続けて言った
「この悔しさを忘れるなよ」
「はいっ」
キャンプの第一クールが終わろうとしていた。




