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未来の失敗が見える子供は、全部避けて進む ~一歩ずつ間違えない選択が、世界を変えていく~  作者: 黒川レン


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第16話 戦後の配置

 次は、王都だ。


 だが――その前に、やるべきことがある。


 戦いは終わった。


 だが、それで全てが終わるわけではない。


 むしろ、ここからが重要だ。


 馬車は再び動き出していた。


 さっきまでの戦闘の気配は薄れている。


 だが、完全に消えたわけではない。


 空気は張り詰めたままだ。


 誰も油断していない。


 いい状態だ。


 だが――


 それだけでは足りない。


 戦いの後には、“整理”が必要だ。


 僕は静かに目を開ける。


 外の音を聞く。


 護衛の足音。

 馬の呼吸。

 車輪の軋み。


 その中に――


 新しい音が混じっている。


 引きずる音。


 捕虜だ。


 さっきの襲撃者の一部は、逃げた。


 だが、全員ではない。


 捕まっている。


 それが、次の材料になる。


「そいつはどうする」


 父の声が外から聞こえる。


 低く、冷静だ。


「一人だけ生きています」


 護衛が答える。


 いい。


 一人いれば十分だ。


 情報は引き出せる。


 問題は――


 どう使うか。


 僕は、ゆっくりと身体を揺らした。


 小さく。


 だが、確実に。


 反応する。


 父が気づく。


 すぐに。


「……またか」


 呟き。


 だが、否定ではない。


 もう理解している。


 この動きが“意味を持つ”ことを。


 馬車が止まる。


 いい。


 時間ができた。


 父が扉を開ける。


 僕を見る。


「何を見る」


 短い問い。


 答えはない。


 だが――


 示すことはできる。


 僕は、ゆっくりと視線を動かす。


 護衛。


 その奥。


 地面に座らされた男。


 縄で縛られている。


 顔は血で汚れている。


 だが――


 目は死んでいない。


 まだ、使える。


 僕は視線を止める。


 その男に。


 父がそれを追う。


「……そいつか」


 理解が速い。


 いい。


 話が早い。


「連れてこい」


 父が言う。


 男が引きずられてくる。


 近い。


 距離が縮まる。


 僕は、じっと見る。


 逃がさない。


 断片と照合する。


 さっきの襲撃。

 森。

 囲み。


 この男は、先頭ではない。


 後ろだ。


 つまり――


 “指示を受ける側”。


 いい。


 使える。


「名前は」


 父が問う。


 男は黙る。


 当然だ。


 簡単には口を割らない。


 だが――


 問題ない。


 目的は違う。


 僕は、視線を動かす。


 男の手。


 指。


 そこにある傷。


 細かい。


 繰り返しできた傷。


 これは――


 剣ではない。


 別の作業。


 紐。

 結び。

 袋。


 理解した。


 こいつは“運ぶ側”だ。


 つまり――


 罠の設置に関わっている。


 繋がる。


 門の火。

 地面の罠。


 全部。


 僕は父を見る。


 そして――


 ゆっくりと、指を動かす。


 結ぶように。


 ほどくように。


 繰り返す。


「……運びか」


 父が呟く。


 来た。


 理解が繋がる。


 男の顔が揺れる。


 一瞬だけ。


 だが、確かに。


 正解だ。


「お前は設置役か」


 父の声が変わる。


 確信を帯びる。


 男が黙る。


 だが、遅い。


 もう隠せていない。


「どこから受け取った」


 間。


 沈黙。


 だが――


 揺れている。


 分かる。


 呼吸で。


 視線で。


 あと一押し。


 僕は、ゆっくりと視線を動かす。


 男から――


 父へ。


 そして――


 道の先。


 王都の方向へ。


 繋げる。


 父の目が細くなる。


「……王都か」


 言葉になる。


 推測が。


 男の肩がわずかに落ちる。


 崩れた。


 完全に。


 いい。


 これで十分だ。


 名前は要らない。


 場所が分かればいい。


「連れて行く」


 父が言う。


 決定だ。


「王都で吐かせる」


 流れが決まる。


 敵の情報が、次に繋がる。


 いい。


 これで一つ。


 戦いは終わりではなく、次に繋がった。


 僕は静かに息を吐く。


 小さな勝利だ。


 だが、重要な一歩。


 その時。


 頭の奥で、断片が弾けた。


 今度は――


 王都。


 門。


 人の流れ。


 そして――


 この男。


 連れて行かれる。


 だが、その途中。


 消える。


 影に。


 誰にも気づかれずに。


 そこで映像が切れた。


 嫌な予感がした。


 情報源が消える。


 つまり――


 王都は、安全ではない。


 むしろ、敵の本拠地だ。


 当然だ。


 だが、改めて突きつけられると重い。


 僕は目を開ける。


 未来は変わる。


 だが、油断すればすぐに戻る。


 次は――


 中で消える。

戦いは終わりましたが、本当の意味での「勝ち」ではありません。


敵はまだ先にいて、しかもこちらの一手を読んでいる可能性があります。

ここからは情報戦の色がさらに強くなっていきます。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

もし続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。


次は――王都の中で起きる“消失”です。

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