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未来の失敗が見える子供は、全部避けて進む ~一歩ずつ間違えない選択が、世界を変えていく~  作者: 黒川レン


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第15話 逃げ場のない襲撃

 次は、正面から来る。


 その確信は、もう揺らがなかった。


 罠は避けた。

 火も防いだ。


 なら――次は力だ。


 単純で、確実な手段。


 逃げ場を潰し、囲んで、終わらせる。


 馬車は進んでいる。


 狭い道。

 揺れる車輪。


 速度は遅い。


 だが、それが逆に不安を増幅させる。


 遅いということは――


 追いつかれる。


 僕は目を閉じる。


 断片は、もう見えている。


 囲まれる。

 剣。

 近い距離。


 つまり――


 接近戦だ。


 防ぐのは難しい。


 避けるしかない。


 だが、どうやって。


 ここは道の途中。

 左右は森。


 隠れる場所はある。

 だが、逃げ切れる保証はない。


 なら――


 形を変える。


 “移動”から、“戦闘準備”へ。


 それが必要だ。


 僕は、ゆっくりと身体を揺らした。


 馬車の中。


 狭い空間。


 視界は限られる。


 だが、それでいい。


「またか……」


 父の声が外から聞こえる。


 馬車が止まる。


 いい。


 時間ができた。


 僕は強く身体を揺らす。


 今度は、明確に。


 ただの不快ではない。


 “危険”を示すように。


「アルト、どうしたの」


 母が抱き寄せる。


 だが、止めない。


 続ける。


 繰り返す。


 異常なほどに。


「……おかしい」


 父の声が変わる。


 来た。


 認識の変化。


「周囲を見ろ」


 指示が飛ぶ。


 護衛が動く。


 音が変わる。


 静寂から、緊張へ。


 いい。


 これで、“待つ側”になる。


 不意打ちは成立しない。


 数秒後。


 森が揺れた。


 わずかに。


 だが、確かに。


「――来るぞ!」


 護衛の声。


 次の瞬間。


 影が飛び出す。


 複数。


 速い。


 一直線。


 迷いがない。


 狙いは――


 馬車。


 やはりだ。


 読み通り。


 だが、今回は違う。


 護衛は構えている。


 盾が上がる。


 剣が抜かれる。


 ぶつかる。


 金属音。


 短い。


 鋭い。


 だが――


 崩れない。


 初撃は防いだ。


 それだけで十分だ。


 流れが変わる。


 “襲撃”から、“戦闘”へ。


 対等になる。


 僕は目を開ける。


 外は見えない。


 だが、音で分かる。


 数は多い。


 だが、圧倒的ではない。


 押し返せる。


 問題は――


 次だ。


 このままでは終わらない。


 断片は“囲まれる”だった。


 つまり――


 まだいる。


 別働隊が。


 僕は、すぐに身体を揺らす。


 強く。


 今度は、別の方向へ。


 馬車の後方。


 見えない。


 だが、感じる。


「後ろも警戒しろ!」


 父の声が飛ぶ。


 間に合うか。


 一瞬後。


 別の気配。


 森の奥。


 遅れて現れる影。


 やはりだ。


 挟み込むつもりだった。


 だが――


 今は違う。


 護衛が振り向く。


 対応が間に合う。


 完全な包囲にはならない。


 崩れる。


 敵の形が。


 それだけでいい。


 戦況は、一気に変わる。


「押し返せ!」


 父の声。


 強い。


 確信がある。


 いい。


 流れは完全にこちらだ。


 数分後。


 音が減る。


 剣が止まる。


 息が荒くなる。


 そして――


 静かになる。


 終わった。


 完全ではない。


 何人かは逃げた。


 だが――


 壊れた。


 敵の攻撃は。


 僕はゆっくりと息を吐く。


 これで一つ。


 大きな山は越えた。


 だが――


 終わりじゃない。


 むしろ、ここからだ。


 父が馬車の扉を開ける。


 顔が見える。


 少しだけ血がついている。


 だが、問題ない。


「……無事か」


 短い言葉。


 だが、意味は重い。


 僕は静かに父を見る。


 逃げない。


 ただ、それだけ。


 父が、わずかに息を吐く。


「……お前がいなければ、終わっていたな」


 初めてだった。


 明確に、認めたのは。


 関係が変わる。


 完全に。


 ただの赤ん坊ではない。


 “戦力”として。


 それでいい。


 それが必要だ。


 その時。


 頭の奥で、最後の断片が弾けた。


 今度は――


 静かだ。


 王都。


 門。


 人の流れ。


 そして――


 その中に、さっき逃げた影。


 混ざっている。


 消えている。


 追えない。


 そこで、映像が切れる。


 理解した。


 敵は、ここで終わらない。


 王都にいる。


 待っている。


 つまり――


 これは、ただの前哨戦だ。


 僕は目を開ける。


 未来は変わった。


 だが、戦いは終わらない。


 次は――


 王都だ。

移動中の最大の山場を越えました。


ただ、敵はまだ消えていません。

むしろ、より大きな舞台で待ち構えています。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

もし面白いと感じていただけたら、ブックマークや評価で応援いただけると嬉しいです。


次はいよいよ――王都編に入ります。

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