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ー第3項 クロードによる安全保障の提案と『深淵の守護者』への就任、地上と地下を結ぶ平和条約の締結

第3項 クロードによる安全保障の提案と『深淵の守護者』への就任、地上と地下を結ぶ平和条約の締結


 宴もたけなわになった頃、クロードは団長と膝を突き合わせて話し合った。

「つまり、貴殿はここで魔物たちのストレスを解消させることで、地上への侵攻を食い止めていると言うのか?」

 団長が真剣な表情で問う。

「ええ。魔物が暴れるのは、腹が減っているか、縄張りを荒らされてイライラしているか、将来への不安(老いや死)があるからです」

 クロードは淡々と説明する。

「うちのオーナー(ケダマ)は、その『負の感情』を食べる。俺は酒と料理で彼らをもてなす。満たされた魔物は、わざわざ危険を冒して地上へ行こうなんて思いませんよ」

 それは、目から鱗の理論だった。

 今まで人類は、魔物を「殺して減らす」ことしか考えていなかった。

 だが、クロードは「癒やして鎮める」という、全く新しいアプローチでダンジョンを管理していたのだ。

「実際、ここ一ヶ月、深層からの魔物被害はゼロでしょう?」

「確カニ……」

 団長は唸った。

 もし、この場所を潰せば、また魔物たちはストレスを溜め込み、地上へ溢れ出すだろう。

 逆に、この店を公認し、支援すれば、王国は恒久的な平和を手に入れられる。

「わかりました。陛下には、私が責任を持って報告します」

 団長はクロードの手を握りしめた。

「貴殿こそ、真の勇者だ。いや、この国の守り神だ」

「やめてくださいよ。俺はただ、静かに酒が飲みたいだけなんです」

 後日、王国から正式な使者が訪れ、条約が結ばれた。

 一、王国はダンジョン最深部を『自治区』と認め、不可侵とする。

 二、クロードを『深淵の守護者(アビス・ガーディアン)』に任命する。

 三、王国は定期的に地上のお酒や食材を「供物(仕入れ)」としてダンジョンへ輸送する。

 これにより、クロードの居酒屋『解脱』は、国公認の施設となった。

 荷物持ちをクビになった男は、気づけば王国の命運を握る、最大の権力者(ただし引きこもり)になっていたのだ。

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