第5章 第1項 全裸で排出された元勇者たちの社会的抹殺と、死ぬことすら許されず汚泥を啜る終わらない地獄の日々
第5章 現世浄土の完成
第1項 全裸で排出された元勇者たちの社会的抹殺と、死ぬことすら許されず汚泥を啜る終わらない地獄の日々
地上一階、ダンジョンの入り口にある広場は、その日、阿鼻叫喚の巷と化した。
ドォォォォォン!!
という轟音と共に、地下からの謎のエネルギー波によって、四つの物体が噴き上げられたからだ。
それは、かつて王国の英雄と謳われたSランクパーティー『金獅子の牙』の成れの果てだった。
リーダーのレオン、聖女、魔導師、戦士。
彼らは広場の石畳に叩きつけられたが、奇跡的に命だけは助かっていた。ケダマの慈悲か、あるいはもっと残酷な意図か。
しかし、彼らの身を包んでいた最高級の装備は、分子レベルで分解され、消滅していた。
つまり、全裸だった。
「きゃぁぁぁぁぁっ!?」
「み、見ないで! 私は聖女よ!」
白昼堂々、大勢の冒険者や商人が行き交う広場で、彼らは醜態を晒した。
さらに悪いことに、彼らの体には「入店拒否」という焼印のような魔力の痕跡が刻まれていた。
「おい、あれは『金獅子の牙』じゃないか?」
「装備を全部失ったのか? 馬鹿な、全滅したってことか?」
ざわめきが広がる中、ギルドの職員が駆け寄ってくる。
だが、それは救助のためではなかった。
「レオンさん! スポンサーから契約不履行の訴えが出ています! 違約金は金貨五千枚です!」
「武器屋の親父からもツケの請求が来てるぞ!」
彼らは全てを失っていた。
名声、装備、金、信頼。
残ったのは、莫大な借金と、消えない恥辱だけ。
数日後。
王都の路地裏には、ボロボロの服を着て、ドブさらいをするレオンたちの姿があった。
「くそっ……なんで俺がこんな……」
レオンは汚泥にまみれながら呻く。剣を振るっていた手は、今はゴミ拾いのトングを握っている。
聖女は安酒場で給仕として働かされ、客に尻を触られても文句一つ言えない。魔導師と戦士も、日銭を稼ぐための重労働で体を壊していた。
死んで楽になりたい。何度もそう思った。
だが、死ぬことすら許されなかった。
借金取りが監視しており、彼らが倒れそうになると無理やり回復魔法で生かし、また働かせるのだ。
生、老、病。
死ぬことのない、終わらない苦しみ。
かつてクロードに押し付け、見下していた「底辺の苦しみ」を、彼らは死ぬまで味わい続けることになったのだ。
それは、ケダマが与えた「解脱」とは正反対の、執着と苦痛に満ちた修羅道だった。




