ー第4項 ケダマによる絶対的な拒絶と物理的排除、装備を全損しダンジョン入り口まで吹き飛ばされるSランクの末路
第4項 ケダマによる絶対的な拒絶と物理的排除、装備を全損しダンジョン入り口まで吹き飛ばされるSランクの末路
「な、なんだこの化け物は……!」
聖女が腰を抜かす。魔導師が杖を構えるが、手が震えて詠唱ができない。
レオンだけが、恐怖を怒りで塗りつぶして剣を振り上げた。
「ふざけるな! 俺は選ばれた勇者だぞ! たかが荷物持ちと毛玉風情が!」
レオンが突っ込む。
だが、その剣がクロードに届くことはなかった。
ケダマがわずかに膨張したかと思うと、一瞬で「拒絶」の波動を放ったのだ。
ドォォォォォン!!
それは魔法ではない。純粋な物理的衝撃波だった。
「がはっ!?」
レオンの黄金の鎧が、紙細工のようにひしゃげ、砕け散る。
聖女の杖が折れ、戦士の盾が粉々になる。
彼らの体は、まるで木の葉のように吹き飛ばされた。
「お客様、当店は会員制です。会員証をお持ちでない方の入店はお断りしております」
クロードの声が、遠くなる意識の中で聞こえた。
「二度と来るな。お前たちの居場所は、ここにはない」
ケダマの追撃。
空間転移に近い、強制排出のエネルギー弾。
彼らの体は光に包まれ、百階層の深淵から、遥か上空――ダンジョンの入り口である地上一階へと、砲弾のように射出された。
「いやだぁぁぁぁぁッ!」
「俺の装備があぁぁぁッ!」
断末魔のような叫び声を残し、『金獅子の牙』は星になって消えた。
後には、静寂だけが残った。
店内の魔物たちが、一斉に歓声を上げる。
「大将! 今のカッコよかったぞ!」
「せいせいしたわ! あいつら、いつも上から目線でムカついてたのよ!」
クロードはふぅと息を吐き、改めてグラスを掲げた。
「さて、お騒がせしました。営業再開と行こうか。今日はケダマの機嫌がいいから、一杯目は俺の奢りだ!」
オオオオオッ!
魔物たちの宴が再開される。
クロードは、背中のケダマをポンと叩いた。
「サンキューな、相棒」
『……不味い空気だった。口直しに、極上の酒を頼む』
「ああ、とっておきを開けよう」
こうして、元パーティーとの因縁は、あっけなく、そして完全に断ち切られたのだった。




