ー第3項 他人に苦痛を押し付ける元仲間の本質を見抜き、クロードが下した冷酷な入店拒否の通告
第3項 他人に苦痛を押し付ける元仲間の本質を見抜き、クロードが下した冷酷な入店拒否の通告
だが、クロードは動かなかった。
ただ、哀れむような目でレオンたちを見つめただけだ。
「……変わらないな、お前たちは」
静かな声だった。だが、店内の空気が凍りつくような威圧感があった。
「俺がいない間、少しは苦労を知ったかと思ったが……結局、お前たちは何も学ばなかったのか」
「あ? 何を偉そうに……!」
「ここはな、『解脱』するための場所なんだよ」
クロードがカウンターを指先で叩く。
「生きる苦しみ、老いる悲しみ、病の痛み、死への恐怖。そういうものを抱えて、それでも懸命に生きようとする者たちが、ひと時の安らぎを得る場所だ」
周りの魔物たちが、うんうんと頷く。ヘル・ドラゴンが鼻息を荒くして同意している。
「だが、お前たちは違う」
クロードの目が鋭く細められた。
「お前たちは、自分の苦しみを背負おうとしない。全部他人に押し付け、自分だけが楽をしようとする。他人の犠牲の上に胡座をかいて、それが当然だと思っている」
「それがどうした! 強者が弱者を使うのは世の理だ!」
レオンが叫ぶ。
「なら、ここではお前らが弱者だ」
クロードが言い放つと同時に、背後の巨大な毛玉――ケダマが、ぬぅっと身を起こした。
その圧倒的な存在感に、レオンたちは息を呑む。
目も口もない黒い球体が、彼らを見下ろしている。
「ケダマ、こいつらの感情はどうだ?」
クロードが問いかける。
『……不味い』
脳内に直接響く、重苦しい拒絶の意思。
『腐っている。傲慢、嫉妬、責任転嫁……これらは熟成された苦悩ではない。ただの腐敗臭だ。食うに値しない』
ケダマの毛が、嫌悪感を露わにするように逆立った。
「だとさ」
クロードは肩をすくめた。
「うちの相棒はグルメでね。お前らみたいな『腐った魂』は、メニューにないんだよ」




