ー第2項 カウンターの奥にいたのは死んだはずの荷物持ち、魔王を背もたれにするクロードとの衝撃の再会
第2項 カウンターの奥にいたのは死んだはずの荷物持ち、魔王を背もたれにするクロードとの衝撃の再会
バンッ!
扉が開く音と共に、店内の喧騒が一瞬にして静まり返った。
数百の魔物の視線が、入り口に立つレオンたちに突き刺さる。
普段なら恐怖で失禁する場面だが、今のレオンは怒りと疲労で感覚が麻痺していた。
彼はズカズカと店内へ踏み込み、一番奥にあるカウンターを睨みつけた。
そこに、男がいた。
清潔な白いシャツに、黒いエプロン。手には綺麗に磨かれたグラスを持ち、琥珀色の液体を揺らしている。
その背後には、天井に届くほど巨大な、漆黒の毛むくじゃらの怪物が鎮座しており、男はそのフカフカの毛に背中を預けて、くつろいでいた。
「……いらっしゃい。随分と騒がしい客だな」
男が顔を上げた。
見慣れた顔。見慣れた声。
だが、その瞳に宿る光は、かつての卑屈な雑用係のものではなかった。
「クロード……?」
レオンは我が目を疑った。
「貴様、生きていたのか!?」
聖女が悲鳴のような声を上げる。
「幽霊!? それともアンデッド!?」
クロードは苦笑いをして、グラスの酒を一口飲んだ。
「幽霊にしては血色が良すぎるだろ? 見ての通り、ここで店主をやらせてもらってるよ」
「店主だと……?」
レオンの脳内で、パズルが組み合わさる。
魔物が減った理由。深層の異変。そしてこのふざけた店。
すべて、こいつが原因か。
自分たちが苦しんでいる間に、こいつはこんな場所で、魔物を手なずけて王様気取りでいたのか。
怒りが沸騰する。
しかし、それ以上に「利用価値」が頭をよぎった。
こいつがいるなら、また荷物を持たせられる。水も食料も出させられる。
「おい、クロード! 生きていたならさっさとこっちへ来い!」
レオンは剣を突きつけた。
「俺たちの荷物を持て! 食事を用意しろ! そして、このふざけた魔物どもを追い払え! 俺たちはSランクパーティー『金獅子の牙』だぞ!」
当然の権利のように、レオンは命令した。
かつてのように、クロードが「はい、すぐに!」と頭を下げると思っていたのだ。




