ー第3項 戦意喪失した魔物と道を塞ぐ魔物の連携、攻略失敗が続きスポンサーから見放され始める焦り
第3項 戦意喪失した魔物と道を塞ぐ魔物の連携、攻略失敗が続きスポンサーから見放され始める焦り
さらに彼らを追い詰めたのは、ダンジョンの異常な変化だった。
翌日、五十階層から下への攻略を再開したレオンたちは、奇妙な光景に出くわした。
本来なら襲いかかってくるはずのミノタウロスが、武器を地面に置き、呆然と壁を見つめていたのだ。
「チャンスだ! 今のうちにやれ!」
レオンが剣を振り下ろす。
しかし、ミノタウロスは抵抗すらしなかった。ただ、悲しげな目でレオンを見つめ、深いため息をついて倒れた。
「……なんだこれは。手応えがない」
倒しても、達成感がない。経験値が入った気がしない。
まるで、鬱病患者を斬りつけたような後味の悪さだけが残る。
かと思えば、次のエリアでは逆の現象が起きた。
狭い通路を、武装したゴブリンロードの集団が塞いでいたのだ。
彼らは人間を見ても襲いかかってこない。ただ、盾を構えて通せんぼをしている。
「どけ! 雑魚ども!」
レオンが威嚇するが、ゴブリンたちは一歩も引かない。彼らの背後には、下層へと続く階段がある。
どうやら彼らは、「これから癒やされに行く仲間たち」を守るために、人間を足止めしているようだった。
『ここから先は通さん。俺たちの楽園を邪魔するな』
そんな意思すら感じる連携だった。
「ええい、鬱陶しい!」
魔導師が広範囲魔法を放とうとするが、ゴブリンたちは連携して魔法障壁を展開し、それを防ぐ。
以前のような、本能だけで襲ってくる単純な魔物ではない。明確な「守るべきもの(居酒屋)」を持った軍隊のような統率力があった。
結局、レオンたちはその日の攻略を断念せざるを得なかった。
成果なし。
持ち帰った素材も、戦意喪失した魔物の質の悪いものばかり。
街に戻った彼らを待っていたのは、スポンサーである商人たちからの冷ややかな視線だった。
「『金獅子の牙』も落ちたものですな。これでは、次の遠征費は出せません」
「待ってくれ! 次は必ず成果を出す!」
「もう結構。他の有望なパーティーに投資しますので」
契約打ち切り。
資金源を断たれたSランクパーティーは、ただの「過去の栄光」へと成り下がろうとしていた。




