20.潜入
そうして俺たちはメデューサの案内でゴルゴーンの里へと侵入することになった。メンバーは俺とペルセウスに、シュバイン、ライムの四人だ。アスとカサンドラの二人は村で、行商人が来た時のために待機をしてもらっている。予定では二日後に来るそうだが、予想外に事がおきるかもしれないからだ。村長には話を通しておいているので問題はないだろう。
この四人にした理由としてはメデューサとずっと一緒にいたいとペルセウスが駄々をこねたのと、万が一メデューサと離れても、魔物の言葉がわかる俺がいた方がいいからである。そして戦力として火力担当のシュバインにヒーラーとしてライムがいる。
「それじゃあ、これをかぶってみるといい。効果を確認してみろ」
そういって何やら羽のついた兜をペルセウスに渡された。俺がどんな構造なのだろうと見ていると、目の前にいたペルセウスがいつの間にか姿を消していた。本当に影も形も見えない。つられて俺もかぶってみると自分の姿が消えた。自分の手は見てみると確かに感覚はあるのに本当に見えないのだ。なんだこれ? 違和感がすごい。
「ふははは、どうだ私のアイテムは!! ちなみに音は消せないから気をつけろ。アンドロメダの風呂を覗いた時、騒いでたらばれてぶん殴られたからな!! あの時の痛みはなかなか良かった」
「うわぁ、死ねばいいのに……」
ペルセウスの言葉にメデューサが不快そうな顔をして呻いた。こいつぶれないな……でも。男なら一回は想像するシチュエーションではある。正直気持ちはわからなくもない。俺も、アンジェリーナさんのお風呂とか覗いたら……いや、罪悪感に押しつぶされて死にたくなりそうだ。
『じゃあ、俺達は森で待機をしているな。何かあったら魔術を空に撃って合図を頼む。それまで、こいつらと遊んでるわ』
「シュバイン、腕試しはいいが相手に怪我をさせるなよ。トロルド……こいつが暴走しそうだったら止めてくれると助かる」
『ああ……任せろ……それに俺達も負けはしない……それと……仲間を頼む……』
俺は仲間を連れてきたトロルドに声をかける。ゴルゴーンの里に潜入して万が一ばれたときのサポートとして彼にも声をかけたのだが、彼はゴルゴーンの里で仲間を見つけたら、助けることを条件に力を貸してくれることになったのだ。
これで何かあっても、シュバインとトロルドとその仲間が助けにきてくれるのでだいぶ心強くなった。シュバインとトロルドにはアスが調合したゴルゴーンの石化を一時的に無効化する薬も渡してるので、身体能力では、はるかにゴルゴーンより勝るオークとトロルは大きな戦力になるだろう。もちろん、何も起きないのがベストなのだが……
「ライムも頼む、万が一の時はお前が頼りだからね」
『任せてよ!! ああ、でもどうせならメデューサにくっつきたかったなぁ』
「ライム……そんなことしたらペルセウスにぶっ殺されても知らないからな……」
ああ、でもペルセウスならライムとメデューサの絡み合いに興奮しそうで怖いよね……スライムのヌルヌルがたまらないとか言いそう。
『ああ、でもゴルゴーンの里は楽しみだなぁ、みんな女の子なんだよね。ハーレムじゃん。種族を超えた恋っていいよね』
「ああ、そうだね……」
まあ、こいつにはずっと俺の甲冑の間に隠れてもらうんだけどね。彼がゴルゴーンを見る時は正真正銘のピンチの時である。
「メデューサ、作戦会議は終わった。俺たちはいつでも行けるよ」
「ふふ、楽しみだな、ああ、そうだ。ご家族に挨拶をするのだ。何かプレゼントを持って行った方がいいだろうか? 我が歌姫をもらいますといわねばならないのだからな」
「なんの話かな!? 僕たちは裏切者を探しに行くんだよ!! ちゃんとしてほしいんだけど!! それにそういうのはまだ早いんじゃないかな……」
くだらないことをいうペルセウスに突っ込みをいれるメデューサだったが、なぜか後半になるにつれて声が小さくなっていった。こういうラブコメはよそでやってくれないかな?
俺とライムの無言の視線に気づいた彼女は顔を真っ赤にして、誤魔化すように言った。
「じゃあ、僕についてきてね。はやくしないと置いてくよ!」
そういって俺たちは彼女の後にいくのだった。
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