19.作戦会議
夜になって俺とアスは村はずれのペルセウスの家にいた。メデューサも呼んでいるという事でちょうどいい。俺がノックをすると、声が返ってくる。
「ツン」
「デレ」
「合格だ、さすがだな。我が同志」
「ふ、簡単すぎて笑えたね。お邪魔するよ、ペルセウス」
「ちょっと待って!? 今のは何なの? 人間たちの儀式かなぁ!?」
「シオンは……ツンデレが好きだから……」
「そういう問題じゃないと思うんだけど……僕がおかしいのかな……」
扉を開けたペルセウスと俺が強い握手をしているとメデューサが大きな声を上げた。何を騒いでいるんだろうか? ツンってきたらデレって返すよね? わりかしメジャーだと思うんだけど……やはり魔物と人は文化が違うのだろう。
「それでいくつか話したいことがあるんだが……ペルセウスは行商人に会ったのか?」
「いや、私は会っていないぞ。ちょうど、村の見回りをしていたんでな。基本的に村の外からの人間は村長の元へ挨拶をしにいくことになっているんだ。会ったのは村長と数人だろう。それがどうかしたのか?」
ペルセウスの言葉に俺とアスは目を合せる。そして、アスがカバンの中から薬のしみ込んだハンカチを差し出すとメデューサがすさまじい視線でこちらを睨みつけた。
「これは……どうやって手に入れたの? 返事次第ではあなたたちを僕は許さない!!」
「おい、我が歌姫よ、どうしたというのだ? このハンカチがどうしたのだ?」
椅子から立ち上がって、ハンカチを奪い取るようにして掴み、戦闘態勢をとるメデューサをみて俺たちは確信をした。アスから事前に聞いていたがこの反応からして間違いはないようだ。
「この薬は……村長が行商人から買ったみたい……あなたなら意味はわかるよね……」
「そんな……ありえないよ……」
「さっきからどうしたのだ!? 我が歌姫よ」
信じられないという顔をして頭を抱えるメデューサをペルセウスが支える。抵抗をしないことからやはり信頼関係があるようだ。メデューサはお茶を飲んで気分を落ち着かせると口を開く。
「ありがとう、ペルセウス……おかげで少し落ち着いたよ。二人もごめんね……君たちはちゃんと話に来てくれていたのに……」
「気にしないでくれ、仲間の血なんだろ? 動揺しても仕方ないよ」
「フ、感謝するならば、罵倒を頼む。私にとっての何よりものご褒美だ」
「これさえなければなぁ……」
メデューサは深くため息をついてから、悲しい目でハンカチをみて口を開いた。
「この薬には僕たちメデューサの血が入っているね。しかも人間時のものだ。普通、ゴルゴーンは異種族の前では人の姿はとらないんだけどな……それに、これじゃあ薄すぎて僕らの毒は完治はしないと思うよ」
「そう……たぶんだけど……これを作ったやつは……完治はしないけど、症状が良くなるくらいに調整している……」
「つまり、私たちの村に来た行商人が怪しいという事か」
「ああ、そして、その行商人がゴルゴーンだよ。そこまで掴んでいる」
俺の言葉にメデューサは一瞬沈黙をしたが、納得したようにうなずいた。
「そういうことか……なら、人の姿をした状態で捕えられたのも納得だね。おそらく油断したところを襲われたんだと思うよ」
これで情報は出そろった。あとは怪しいゴルゴーンを見つける必要がある。
「誘拐されたのはね、人間たちと物々交換をしていたエウリュアレ姉さんなんだ……姉さんは心優しくてみんなに慕われていたんだ。そんな姉さんが同族に裏切られるなんて信じられないよ。やっぱり物々交換をしていた人間に騙されて、行商人のゴルゴーンも人間に脅されているっていうのは……ないよね」
よほどショックだったのか、メデューサが弱々しく呟いた。でも、自分で言っていてありえないとわかっているのか、語気は弱々しい。
「それはないな、アンドロメダはそんな奴じゃない。幼馴染である俺がそれは一番知っている」
「ふーん、ずいぶんとその人間の肩を持つんだね」
ペルセウスの言葉にメデューサがちょっと不機嫌そうに唸った。それをみたペルセウスは本当に嬉しそうに言った。
「まさか、嫉妬しているのか、我が歌姫よ!! 心配するな。あいつはただの幼馴染だ。私の心は君一筋さ」
「うるさい、僕が君に嫉妬するはずないだろ!!」
「む……幼馴染は……負けヒロインじゃない……」
ペルセウスの言葉になぜかアスまで反応をした。やばい、収拾がつかなくなってきた。とりあえずまとめないと……
「とりあえず、俺たちは次に行商人が来た時に話を聞いてみようと思う。ゴルゴーンの裏切者に心当たりはないか?」
「あるはずないよ、だって僕らはみんな家族みたいなものなんだよ!?」
メデューサが、心当たりがないというのならば、どうするか悩んでいると、ペルセウスが口を開いた。
「ならば私たちがゴルゴーンの里に潜入して、怪しい奴を探すのはどうだろうか?」
「潜入って……どうすればいいんだ?」
「フッ、私のギフトは『クリエイター』だ。姿を隠すアイテムくらいあるのだよ」
そういうとペルセウスは背後のなにやら色々な道具の山を指さして、どや顔でそういった
エウリュアレが名前だけですが出てきました。ゴルゴーン三姉妹はやはり有名ですよね。
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